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異世界に召喚依頼の適当言う者   作者: 超究明蝶助
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異世界神でも読めない勇者?

広い石壁の綺麗な部屋で目覚めた青年は思った。

(これってハズレだよな…まあ分かってはいたけど。)

足元には淡く光る魔法陣、周りを見渡せば銀色の鎧を着込んだ男達と黒地に銀の刺繍の入ったローブを着た男、その後ろには派手な服を着た男達が見えた。

(騎士に魔法使いか、魔術師かな。後ろの奴らは貴族ってことだろうな。)

青年は片膝立ちの姿勢で顔だけ上げたまま、無言で見回しつつ考えていた。

(この雰囲気でいくとどうなる?即拘束は無いにしても、持ってる力の確認や言質取ったり、最悪は隷属だろうしな。)

暫くすると周りの貴族らしき物達がザワつきだした。

「何とも頼りなさげだな」

「鍛える前に潰れそうでは無いか?」

そんな言葉が微かに聞こえてきた。

(歓迎的じゃ無いな。…あ!そうだった先にやる事があったんだっけ。…能力の確認と…自分で決める事が出来るのか試して…)

「そこの者をこちらに連れてまいれ」

「は!」

魔法陣を取り囲む騎士達の後ろから威厳のある声が聞こえ、騎士達がその言葉に一斉に答え青年に向けていた槍の先を天井に向け、抜いていた剣を鞘に収めた。

(ふう、やっと動ける。…よし、ここからが大事だしな)

青年は身体の緊張を解いた。元いた世界では普段身近に無かった槍や剣を向けられていた事で、いつもであればもっと動揺していてもおかしくないはずの、自分の心の変化に少し不思議に思いながら。

ゆっくりと立ち上がり、騎士の肩越しに前方奥の段上に座る男を見た。

白い顎髭を生やした体格の良い壮年の男がこちらを見据えているのが見えた。

「さあ、前へ」

目の前にいた騎士が一歩引いて半身になり青年に向かって促した。

(…この能力確認の文字とか、他人からは見えてないな。思考で操作できるみたいだし、このままで様子を見るか)

そんな事を考えつつ青年は一歩ずつ歩き出す。

青年の名は 木崎鱒太 地球は日本で生まれ山に囲まれた所に住んでいた。

平凡な25才で、とある依頼でこの世界に召喚された事になっている英雄である。

王の手前5メートル程で騎士が立ち止まり続けて歩を止める鱒太。

「召喚されし英雄よ。よくぞ参った。余はハバルキ王国国王ドベデス・ベデル・ハバルキだ。」

(ここはまだ言葉も理解していない振りだな)

「…?」

「おい!貴様無礼だぞ!返事をせんか!」

壁際の貴族から怒鳴り声が聞こえた。

(やっぱり騒ぐ奴はいるか)

「…?」

「無視をするとは!平民の分際で!」

他の貴族からも声が挙がった。

「…まあ良い。今この国は魔族や魔物の脅威に晒されておる。…召喚されし“英雄”の力を使い民に平和を取り戻してくれ。

「……」

(やっぱり碌でもねえな。あの作戦でいくか)

「不敬にも限度がある!許されんぞ!」

(五月蝿い外野は発言権があるのか?言葉を遮らなければ良いとか?身分が高いのかもな、公爵とか侯爵とかか?講釈だけに…うわ。俺つまんね〜親父ギャグ考えちゃったよ)

その時王の左側にいた男が王に近づき小声で何か話すところが見えた。

鱒太は視界の端に浮かぶ能力確認の文字列に目線を動かし、スキルを使って聞き取れないかと考えた。

(取得したばかりの空間操作のスキルを使って聞けないかな?向こうの口元とこっちの耳元を筒状に繋ぐイメージで…やってみて…)

「…このままでは協力するとの言質も取れません。呼び出された混乱もあると言う事にして、要人用の軟禁室で監視をしては如何かと」

「うむ。なるほど…」

ドベデス王が微かに顎を引くように頷きながら言うと、男はスッと元の位置に下がった。

スキルを解き聞いていた事を顔に出さないようにして、鱒太は更に考えていた。



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