ピーターパン
飛んでみようよ〜
星空をそよいで〜
ロンドンの街
時計塔の針
夜の8時〜
マッチョッチョ〜 マッチョッチョ〜 マッチョッチョ〜♪
マッチョの声「もう怒ったぞ!
お前たち、明日から トレーニングだ」
でっででー
いったいどういうことなのだ?
◯ロンドンの街・航空写真
時計塔から右上の地区、青い一軒家がある。
犬小屋のある、普通の家だ。マッチョリー家
窓から金髪、美少女の首が出たり入ったり、
キョロキョロして、うっとりするのだ。
彼女はウェンディ、まだ普通のマッチョである
◯マッチョリー家・子供部屋
子供「ピーターパンごっこだ」
子供「いいね」
ピョンピョンしながら、
ハンガーと棒切れを取って、
子供「追いつめたぞピーターパン、かくごー」
子供「きたないぞ、フック船長」
振りかぶり、思いっきり振りおろす。
危ないぞッ!
べしべし
なお、ウェンディは、ダンベルスクワット中。
ウェンディ「こらマイケルッ! んんっ
フックは左手でしょ はあはあ」
子供「あ、ごめんごめん。そうだった よいしょ
えいや、とう、しねピーターパン」
子供「負けるものかー(棒読み)」
べりっ
わーお、ベッドのシーツが破けたぞ。
なお、ウェンディは、ダンベルフライ中
父「おいウェンディ、ワタシのダンベル
見なかったか? うわなんだ
この散らかりようは」
ウェンディ「あらダンベル? わかったわ。
えーっと、私の貸してあげる」
父「ああ、ありがとマッチョ」ブンブン
父親は筋肉主義者で、ある。
腹筋だいすき!
ウェンディ「ダンベルなら、黒い宝箱の中ね」
父「宝箱だって? どういうことだ」
子供「げっウェンディ、どうして分かるの」
子供「そうだよ、宝の地図がないと」
宝の地図……プロテインの袋に、落書きである
父「あ゛あ゛ー、それは
50ポンドのホエイプロテインだぞッ!」
母「まあまああなた、ただの落書きではありませんか」
父「いかーん! ホエイプロテインは神様だ、
マッチョ神さまの、生き血なのだー!」ぷんすか
ウェンディ「あったわ、黒い宝箱よ」
父「オーマイガッ、旅行のトランクじゃないか
また落書きして」カパ
子供「あ」
子供「罠を解除しないと」
父「え、なんだっt」
>>>インクが吹き出したッ!!
父「ぶへー、ペッペッ、なんじゃこりゃー」
ぬとぉ。黒いドロドロインクだ。
床にしたたる、水たまりになる。
>>>追撃のダンベル落とし
ヒ
ュ
┃
ン
ごちん
父「ッ〜!!!!! 誰だッ、
ダンベルちゃんを粗末にしおって〜」
>>>追撃のプロテインパウダーぶっかけ
ざー
ーーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー
父「ぶひゃ、ああっー、100ポンド分の
ホエイプロテインがーッ!」
マッチョの顔も、三度まで
子供「あーダメだよパパ」
子供「宝箱にはね、トラップがあるんだよ」
父「うがーーー、なーにがトラップだ!
ダンベルちゃんダンベルちゃん
……あ゛あ゛ー なんじゃこりゃー」
ダンベルちゃん、インクでべとべとである。
筋トレ時に、手が気持ち悪いこと間違いナシ!
父「ぬおおおおおおお!!!!!
もう怒ったぞ!
お前たち、明日から トレーニングだ」
子供「「ええー」」
父「黙れッ! オモチャは没収だ!
ダンベルの偉大さを
インナーマッスルまで思い知らせてやる」
ウェンディはダンベルくるくる。
父「ウェンディ、明日から筋トレ禁止ッ!」
ウェンディ「ええっ!?」
ただのとばっちりである
父「女子ボディビル会はもう過疎ってる
それに女子は、鍛えても最強にはなれない」
ウェンディ「そんな、ひどい!」
めちゃくちゃ傷ついた。
父「おまえはいつか、淑女になるんだ
筋肉とは結婚できんのだぞ」
ウェンディ「うわーん」
▼
子供「ぐすっ、ひどいよー」
子供「マッチョになりたくないよー
ピーターパンみたいになりたいよー」
と言いながら、すやすや……
ウェンディはなきながら背筋運動
▼
◯マッチョリー家・屋根
チリーン
屋根に誰かが立っている。
ニヤリ!
口元が、ベルの色
ふわーり
飛んでいる! 影絵の動き、トリッキーだぞ
窓を見て、よーい、どーん!
がらがらがらどどーん
ピーターパン「いっててー、よし侵入成功」
こいつは緑の少年だ。
ティンカーベル「」りりりりりん♪
この子は金の妖精さん。手のひらサイズさ。
ピーターパン「それじゃー、子供たちを起こ──」
ウェンディ「まあピーターパン!」
ピーターパン「!?」
背後にダンベル少女!!
なんと、筋肉を見せつけはじめたぞッ!
ウェンディ「来てくれたのねピーター
もう大胸筋がうずいて仕方ないのよ
でも上腕ニ頭筋ったらちっとも喜ばないの
▼
ウェンディ「失礼しちゃうわ
せっかく本物のピーターパンなのよ。でも
外眼筋はみんなお魚みたいにはしゃいでいるわ
▼
ウェンディ「それでね、見て、脊柱起立筋なの
触ってみて、ほら、ゴリゴリしてるでしょ
そして三角筋はさざなみのように──」
ピーターパン「女の子は話がながいッ!」
さすがピーターパン。容赦ないぞ
子供「うーん、なにー、ハッ!
ピーターパンだ!
マイケル起きろ」
子供「うーん? あっ! ピーターパン!」
ピーターパン「やあ! 大丈夫かい?
明日から子供部屋は卒業なんだろ
それはダメだっ、ネバーランドへ行こう」
わーわーわー 盛り上がる。
ティンカーベルは、鏡で遊んでいる。
ウェンディ「そんなことより……いたわ」
ティンカーベル「!?」リリリンッ
ウェンディの、目がこわい!
ティンカーベルは、鏡の上で、背中をゾワリ
ウェンディ「ねえあなた、知ってるかしら」
じりじり接近
ティンカーベル「」リリん
じりじり後退
ウェンディ「女の子は腕が太くならないの
どうしてだかわかる?」
ティンカーベル「???」リリリン
ちっちゃな足を、ぱたぱたさせて後退、
おっと、後は壁だ
ウェンディ「それはね、愛と優しさなの、
愛が筋肉をじゃましてるのよ
だから……愛なんていらないッ!」
ガシッ
ティンカーベルを、わしづかみ!
頭上でふりふり リリンリン
ウェンディ「ドーピング、バンザイ!」
ドーピング粉、ふりかけるッ!
ウェンディに、ふりかかるッ!
頭に、足に、全身に、
金キラ金に、ふりかかるッ!
ムキムキ ムキムキ ムキムキ!!!
>>>想像力が、筋肉暴走を、まきおこす!!!
子供「うわー」
子供「なんだこれー」
ピーターパン「おいウェンディ、なにやってる」
風船みたいに膨らんで、
ドォォォォォォォン(家粉砕)
雲までとどけ、ウェンディのマッスル!
デデーン
ゴールデンマッチョの、できあがりー
巨大ロボより大きいぞ
ウェンディ「あははー、うふふー、楽しいなー
ロンドンの町がまるで、おはなばたけ〜」
ドシドシ ドガシャーン
これはひどい。
ブゥゥゥゥゥ✈︎
おおっと敵国の爆撃機だー
ロンドンの町を焼きに来たのだー
(細かいことは知らん)
ウェンディ「あはっ、ちょうどいいオモチャね
それ」と飛行機をつまんで、
ミシミシミシ
ウェンディ「ねえねえパイロットさん
どんな気持ち? 美少女の手の中で
何もできずに終わってしまうのよ
▼
ウェンディ「ああ悲しいわ むなしいわ
男の人って、なーんて弱々しいのかしら
うふふふふ〜」
ぷち
こうして現実世界を踏みあらし、
子供部屋より散らかして、
ようやく飽きて、空を見て、
次元の彼方、ネバーランドへ
ウェンディ「あはは、あはは
マッチョは飛べるのー」
◯ネバーランド・海・海賊船
海賊たちが踊っている。
海賊たち「「「ヨホー ヨホー ヨホー」」」
めっちゃ歌ってるぞ
太ももと、二の腕が、ビクンビクンしている。
彼らもまた、マッチョなのだ。
そして前方では、フック船長がタコみたいに
だらんとしている。
フック船長「こわいよー、
ワニに腕を食べられるよー
ピーターパンに手を斬られるよー」ぶるぶる
Mrスミー「はい船長、今行きます。
おおーう海賊の暮らしは〜
しんで海におちてサッパリ〜」
海賊「おいミスタースミー」
Mrスミー「へーい」
海賊「ふやけた船長をなんとかしろ」
海賊「いつまでピーターパンと遊ばせる気だ」
海賊「ああ腕がなまっちまうぜ」
海賊「たまには大物を仕留めたいぜ」
Mrスミー「へーい。おまちをー
船長、船長、ハウッ、たいへんだ、
真っ赤な干物になっちまった。お湯をー」
部屋のドアばたん
ヤカンのお湯、ピィィィィ
じょー
フック船長「うあっちーーーー
おいこらボケ親父、なんてことしやがる」
とまあバカやってると、
海賊「巨人だー、巨人が出たぞー」
フック船長「んなぁにぃ?」
Mrスミー「お、お、お、うわー」
どしーん 雲より高いマッチョ
ウェンディ「うふふふふ〜」
船をつかんで、眼球ぎょろり
フック船長「ぎゃああああ、やだやだー
これ以上 トラウマを 増やさないでくれー」
ウェンディ「あらその声は
フック船長、ごめんなさい
ゲソみたいで 気づかなかったわー」
ウェンディ、悪にそまる
Mrスミー「うわわわわー、逃走、逃走〜
ハイパードライブ、かいしーー」
海賊たち「「「ハイパードライブだー」」」
ぶっはーーー (噴射)
海賊船と思ったら、まるで宇宙船だった。
次元の彼方へ さあ行くぞ!
◯宇宙
フック船長「はあ、はあ、どうしてこうなった」
Mrスミー「ははっ船長、こんな時も
たまには ありますよ」
フック船長「あってたまるかー!」
Mrスミー「まあまあ、さあ横になって、
どうどうどう 髭そりしましょ」
バリバリ、次元の裂け目、すごく重たい
ウェンディ「アハっ♪ どこへ行くのかしら〜」
フック船長「ギャー」
どうしてこうなった
どうしてこうなった