白雪姫
とある王国、お城にて、マッチョな王妃がおりました。
王妃:「鏡よ鏡〜、世界でいちばんマッチョなのはだぁれ?」
鏡:「王妃様でございます」
王妃:「オーッホッホッホ、ふんっ!」ムキムキムキムキ
この国の王妃はゴリマッチョ。
いつも、魔法の鏡の前でマッスルポーズをとって、僧帽筋やら上腕二頭筋やらをながめてニヤニヤしておりました。
ところがある日……
王妃:「鏡よ鏡、この世でいちばんマッチョなのはだあれ?」
鏡:「白雪姫でございます」
王妃:「ぬぁぁんですってぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
バリィィィィィン!
ガッシャーン!!!
王妃:「こうしちゃいられないわ、突撃よ!」
王妃はプロテイン売りに化けて、お城を飛び出してしまいました。
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暗いくらい森の中、一軒家に見せかけたジム、白雪姫と7人のマッチョが筋トレをしております。
マッチョ:「はっはっはー」
マッチョ:「今日もキレてるよ!」
マッチョ:「腹筋スノーマウンテン!」
白雪姫:「みんなー、ありがとー」
豪雪地帯の山脈のごときゴリマッチョな姫は、嬉しくなって野山を時速70キロで駆け回ります。
白雪姫:「うふ、うふふ、うふふふふ〜♪」
すると突然……
王妃:「マーッチョマッチョマッチョマッチョ〜♪」
オペラもびっくり、とんでもない歌声が響きます。
王妃:「プロテインはいかがー、期間限定リンゴ味だよー、無料お試し期間だよー」
白雪姫:「飲みます飲みます!」
釣られたッ!
プロテインに釣られたッ!
チベットオオカミのごとく食いついたッ!
王妃:「はいどうぞ」
白雪姫:「わーい」ごくごく
無警戒にグイッと飲むと……
王妃:「スキありッ!」ドス
白雪姫:「ガッ!? ゲホゲホゲホ」
卑劣ッ!
なんという不意打ちッ!
飲んでる時に、腹パンッ!
白雪姫ッ、プロテインが肺に入ったァ〜!!
王妃:「オホホホホー、さすがのマッチョも息が止まれば動けないでしょう!」
白雪姫:「ンンッ、グ、ガハッ……」
馬乗りで、喉に親指を立てて、ひたすらに窒息を狙う戦法だー!
マッチョ:「大丈夫か白雪姫!?」
王妃:「チッ、援軍か」
マッチョ:「がんばれ白雪姫!」
マッチョ:「ファイトー」
マッチョ:「思い出せ、あの眠れぬシェイプアップを!」
マッチョ:「思い出せ、プロテインの味を」
マッチョ:「そして汗の匂い」
マッチョ:「熱気!」
マッチョ:「うおおおおおおお!!!」
白雪姫:「うおおおおおお!!!!!!」
復活!
白雪姫、完全復活だァ!!
王妃:「バカなッ、あの状況から気合いで復帰したというのか!」
白雪姫:「気合いじゃないわ、友情、友情パワーよ!」
王妃:「認めないッ、友情なんて」
白雪姫:「見せてあげるわ、友情パワーの極地! はあああああああ!!!!!」
巨大化だぁッ!
身長8倍! 16メートルッ!
森からズボッと顔を出したァァ!!!
王妃:「クッ、こうなったら、やむを得ない」ゴクリ
>>>王妃は【魔女の秘薬】を使った。
ドォォォン
巨大化したぁ!!
16メートル、白雪姫と同じだぁ!!
王妃:「フゥ、フゥ、さあ始めよう、最後の戦いを!」
白雪姫:「受けて立つわ!」
こうして白雪姫と王妃は殴り合いました。
空は鳴り、大地は裂けて、国は滅び、それでもなお、殴り合いは続きました。
一週間後、やがて二人は倒れて1ヶ月も寝込みました。
筋力は落ちましたが、7人のマッチョにかいがいしく世話をされて、再びマッチョになって殴り合いながら、絆を育み、やがては腕を組んでスキップする仲になってしまいました。
めでたし めでたし
次回、かぐや姫
お楽しみに〜