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第77話 誘導尋問

 「なるほど……。にわかには信じられませんが、貴方の言い分は理解しました」

 何とか、納得してくれる彼女、もとい、コグモ。

 リミアに名付けられた、名誉ある名前らしいが、多分、それは、小蜘蛛と、呼んでいただけでは……。思っても、言わんけど。

 

 「納得してくれたならよかった……。そろそろ、この糸外してくれないか?」

 俺の要求に。コグモは「だめです」と、短く答える。

 

 「な、何でだよ?!」

 食い気味に質問する俺。


 「今し方、言いましたよね?信じられないと」

 ……確かに言っていた。

 

 「それに、私の役目は、貴方をお嬢様の元へ運ぶ事です。それにあたって、貴方の拘束を解く必要はないと判断します」

 そう言うと、彼女は小蜘蛛達を呼び寄せて、俺を担ぎ上げさせる。

 

 「……まぁ、それならそれで良いが、帰り道が分からないんだろう?いつまでも俺を運ぶのは疲れるんじゃないか?」

 適当な事を言って、解放を(うなが)してみる。

 まぁ、話している間に、こいつらの中に残っていた、リミアが使っていたであろう操りの糸の残骸に、俺の糸を接続済みなので、その気になれば、いつでも逃げる事はできるのだが。

 

 「まぁ、そうですね。……それこそ、貴方が(おっしゃ)っていた事が、真実なら、私達の体を操作して、抜け出せば良いのでは?」

 俺の思考を読んだかのように、タイミングよく返してくるコグモ。

 

 「知らねぇ相手を操作するのは大変なんだ。下手に操作しようとすると、死んじまうからな」

 俺の答えに「そうなのですか」と、答える彼女。

 素直と言うより、彼女は嘘かも知れない情報として、すんなりと受け入れているだけなのかもしれない。

 

 「ただ、お前が手足をしばらく動かしてくれれば、俺も、動かし方を覚えて、操作できるようにはなる」

 「なるほど、だから、あの時、お嬢様は……」

 考え込む様な表情を見せる彼女。

 リミアとの相似点でも見つけたのかもしれない。

 

 「他に弱点はないのですか?」

 少し、食い気味に質問してくる彼女。

 

 「他?他には……。皮膚から糸を通せないからな、外皮の弱い場所、あるいは、傷ついて、肉がむき出しになっている場所を探さないといけない。頑張って繋いでも、距離が離れると、千切れるし」

 彼女は「ふむふむ」と言って、真剣に聞いている。

 

 「後は……。大型の獲物程、糸を通すのに時間がかかったり、糸が軽くて細い分、射出中に風に(あお)られると操作が利かなくなるな……。こんなの聞いて、どうするんだ?」

 真剣に聞き続ける彼女に疑問をぶつける俺。

 

 「もし、貴方とお嬢様が似ていた場合、弱点を知って置く事で、その部分を埋めて差し上げられます」

 彼女は「お嬢様は多くを語らないので……」と、少し寂しそうに呟いた。

 

 やはり、リミアの仲間と言うだけはあって、不器用ながら、良い奴の様だった。


 「他には?他には何かないのですか?」と、食いついてくる彼女。


 「後はだなぁ……。細くて、伸縮性も無い割には、束ねると意外と切れにくい所とか?」

 彼女に気圧(けお)され、適当に口を開いてしまう俺。


 「それは、良い点です。……しかし、悪くはありません。もっと教えてください」 

 先程までとの熱量の差に狼狽(うろた)えつつも、彼女の質問に答えて行く俺。


 そんな好奇心(あふ)れる、彼女の純粋で幼い顔を瞳ていると、甘えて来る小型犬の様で、無下には出来なかった。

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