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第15話 やり取り

 (ひっ!ひっ!ひぃっ!)

 匂い違いの攻撃を、回避に(てっ)する事で、何とか防ぐ。

 

 脚遣いの上手い相手ではあるが、脚力自体はそれ程ないらしく、相手の体を足先で目一杯押す事で、牙の届かない範囲に身を()らしているのだ。


 しかし、俺の脚はこれ以上伸びない。対して、相手は、距離を最大にとった、俺の背後で足先を絡めている。逃げ場はなかった。

 

 相手が、噛みつこうと、身を揺らす度に、その細くて、ツルツルとした胴体から、足を踏み外しそうになる。

 もし、一歩踏み外せば、そのまま、その長い足に引き付けられ、強靭な顎で粉砕されるだろう。

 

 足が滑りそうになる度に、冷や汗が伝う。

 眼前で開閉する、その鋭い牙に、恐怖を覚える。

 

 (む、無理だ!無理だ、こんなの!)

 俺が、パニックになりかけていると、相手の足の拘束が弱まる。


 咄嗟に、体をひねり、相手を蹴って、その懐から飛び出した。

 刹那、ボロボロのクリナさんが、匂い違いの足を引っ張ってくれている様子が目に映った。


 俺は体勢を立て直すと、すぐさま、匂い違いの方を振り返える。

 もう既に、匂い違いは、クリナさんを組み伏せようとしていた。

 

 そうはさせまいと、匂い違いの足を引っ張る俺。

 拘束から逃れたクリナさんの口にも、匂い違いの足が咥えられていた。

 

 俺達は、綱引きの様に足を引っ張る。

 こちらに噛み付こうと暴れる匂い違い。しかし、二つの足を逆方向に引っ張られている為、体が思うように動かず、鋭い顎が、空を切る。

 

 そのまま二人で綱引きを続けていると、俺の引っ張っていた脚が、根元から千切れる。

 瞬間、拘束が解けた匂い違いが再び、クリナさんに襲い掛かった。


 俺は必死の速度で、体勢を立て直すと、クリナさんを拘束する、匂い違いの脚の付け根に噛み付き、暴れる。

 

 そんな俺に構く事無く、クリナさんを襲い続ける匂い違い。

 そのまま、脚を切り落とすが、それでも、こちらに注意を向ける事はなかった。

 

 未だ、猛攻にさらされ続けるクリナさん。

 俺はクリナさんを助けようと、必死に足を噛み千切って行く。


 脚の残りが、2本となったところで、クリナさんは、拘束から逃れ、地面に放り出された。

 匂い違いも、もう立つ事ができないのか、その場でひっくり返りながら、暴れるだけ……。

 

 (……やった……のか?)

 俺は、未だ暴れ続ける匂い違いを警戒しながらも、安堵(あんど)の息をつく。

 

 (ク、クリナさん………)

 俺は、呼吸を整えると、ボロボロの体を引き()って、クリナさんの転がって行った方へと、足を進めた。


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