第100話 逃げきれない課題
「これをこうやって……。こう投げる。……やってみな」
俺は河原で、ゴブリンとコグモに投網の使い方を教えていた。
「こうやって……。こう!」「ヴワゥ!」
ゴブリンとコグモは同時に、木で出来た、それぞれの標的に向かって、投網を投げる。
「あ、あれ?」
コグモが投げた投網は空中で開く事なく、ぐっちゃぐちゃになったまま、素早く地面に落ちる。
対して、ゴブリンの投げた投網は、標的を包み込みはしなかったものの、真っ直ぐと飛び、空中で上手く開く事が出来た。
「ゴブリンは上手いな。その調子だ。コグモはもう少し、早めに投げて、投げる角度を上にすると良いぞ」
俺はアドバイスをしながら、時には糸を使った人体操作で、様々な道具の使い方を教えて行く。
やり投げや、しなる木と糸で作った弓の作り方と使い方、砲丸投げや、投石装置の様な腕と木のオタマを使った石の当て方。
道具は使いようでいくらでも武器や遊びになる事を教える。
「今回は的当て中心だったけど、どれか楽しいのはあったか?」
水切り石を投げ、川の上を跳ねさせながら聞く。
「ヴァゥ!ヴァゥ!」
ゴブリンは投網とやり投げの槍を手に持った。
どうやら、その二つが楽しかったらしい。
「私もやり投げは気持ち良かったです。後は、この弓ですかね。どちらも、狙った所に当たると、グサッと、刺さって、気持ちが良いです。……後は、悔しいので、投網の練習はしたいですね」
コグモは肩の力を抜くのが下手な為、投網がなかなかうまく投げられなかったのである。
「そうか。まぁ、今日使った道具はお前たち様に作ったものだから、全部やるぞ。……まぁ、砲丸投げは二度とやらないかもしれないけどな……」
グルグル回るから疲れるわ、狙った所に当たらないわ、戦闘ではほとんど使えないと言う意見も早々に出た為、使われなくなった一品だ。
「あはは……。でも、これ、長いただの布ですし、タオルとして使えば大丈夫ですよ!」
フォローしてくれる優しいコグモ。
それでも、本来の使い方をしようと言わない辺り、本来の用途としては完全に救いようがないらしい。
「……まぁ、お昼には良い時間だし、気に入った道具だけ持って、お昼ご飯でも狩りに行こうぜ」
なぁんて、言ってから思い出した。
俺は狩りが出来ない事に。
この頃は下処理された食事ばかりを目にしていたので、完全に忘れていた。
口に出した後に盛大に後悔をするが、もう遅い。
今更「あ、やっぱり、俺、狩りを見る事も、する事も出来ないんだ!何なら死にかけの個体も見れないぜ!」なんて、言える訳がない。
「……どうしました?」
固まる俺に、コグモが話しかけて来る。
「い、いや、何でもない!さぁ、狩りに行こうぜ!狩りに!」
「おー!」と言って、元気な声で誤魔化すと、俺達は再びゴブリンの肩に乗る。
俺はこの事態をどう乗り切るか、冷や汗を流しながら、考え始めた。




