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強敵『スライム』



時間は朝の7時半くらいだろうか。



適当に朝ご飯を作り、それを食べ終えると、依頼の書かれた紙を持ったランドが帰ってきた。

どうでも良いことだが、依頼を持ってきた人は、ちょっと朝御飯が豪華になる。


それを貪るランドに問いかける。


「んで、依頼は?」


朝ご飯も食べたし、本当は一息つきたいところだが、少しでも多く依頼をこなしていかないと、本当に食うもんが無くなる。


勇者とかなら飯代とか、宿泊費とか全く気にしないんだろうが、俺らは魔王なんかよりも金。裏ボスより金だ。


「ん」


ランドは他三人よりも少し豪勢なご飯を頬張りながら、3枚の依頼が記された紙を机の上に出す。


3枚!?そんなに受けるの!?と思ったそこのあなた。

バイト1つで四人の家族を養えますか?養えませんよね?そういうことです。察してください。


早速依頼を見たサリナがまたもや机にへたれこむ。今度はなんだ。


「えぇ、また森? もうちょっと開けたとこが良い」

「まぁ仕方ないでしょう。最近森の魔物が活発になってきましたし。これを機会に火の魔法以外を頑張れば良いじゃないですか」


「そうだけどさー、私の事も少しは考えて欲しーなー」


サリナが森の依頼を嫌がるのは、魔法にはルールが多く、今回で言えば森で火の魔法は使えないからである。

当然と言えば当然の話なのだが、火を使えば木に燃え移り、広がる。


そうなれば当然罰金で、即借金。


この世界にはファンタジーもへったくれもない。


いや俺も、さすがにこんな所まできて金の心配するとは思ってなかった。あらビックリ。


「ゴブリンと、スライムと、子供のお守りか。…………え?なにこれ最後のいる?」

「昼までにゴブリンとスライム。午後から暗くなるまでお守りって計画なんだけど駄目?」


いやお守りなげぇよ。

しかもその依頼俺らじゃなくても良くね?その辺の人知り合いに頼めば良いのに。


行きたくない。モン○ンの卵納品するクエスト並みに行きたくない。


「えー、でもそういう系の依頼報酬少ないやんけ」

「安心しろ。この人依頼初めてなのか知らんけど、報酬は結構高めだ」


…確かに依頼主の家も森の近くで討伐が終わったらすぐに行けるし。

面倒だが、生活のためならもう仕方ない。依頼も良いのは残ってないだろうし。


「んじゃ、まずはスライムから行くか」



─────────────────────



ちょっと深い森の中。

ちゃんと道のりには来たものの、本当に帰れるのか不安になってくるくらい深い森。


「なぁ、そういえばスライムって何体倒すんだ?」

「討伐って書いてあったし、分からん。まぁ5体くらいだろ」

「…中々面倒な数ですね」


スライム何て、level3くらいでワンパン出来るだろと、そう思うかもしれないが、こっちのスライムはゲームとは違って中々強い。


剣で切っても分裂して増えるし、打撃はあのぷにぷにのせいで勿論効かない。

特定の魔法でしか消せないと言う中々厄介なモンスターである。


それが森にいるとなると、木に燃え移るせいで火の魔法では倒せない。

最早攻撃以外なら弱点なしと言っても過言ではない。近接での耐久力は魔王並みに強いわけである。


すると、前を歩いていたランドがピタッと止まる。


「依頼で書いてあったのはこの辺っぽいな」

「だな。んじゃ後は手分けして探しますかね」


耐久力最強と言ってもスライムはスライム。攻撃手段はない。なら放っておいても良いんじゃないかと言う話だが、寝ているときに覆い被せられたら窒息死する。


まぁ森で暮らしてる人は普通に怖い。


ホラーゲームした後にやたら寝るとき不安になる時と同じ感覚。


「あ、いたいた。こっちに3体固まってるぞ!俺魔力あんまないから誰かきてくれ!」


木の木陰でバレないように寝そべっていると、やってやったぜと言わんばかりのランドの声が聞こえてきた。

ちっ。中々発見が早いな。もうちょっと休みたかった。


「見失わないようにしろよー」

「はっ、任せろ!」


このパーティーでなら一番身体能力の高いランドなら大丈夫だろうが、問題はスライムをどう倒すかだ。


剣じゃ切れない、打撃は効かない、火の魔法は使えない。となれば選択肢は限られてくる。


「…一体なら俺だけでなんとかいける、後はサリナの方に誘導でもして倒してくれ」

「誘導!?スライムに目とかないのにどう誘導するんだよ!」


そんなランドのツッコミを聞き流し、俺は一匹のスライムに手をかざす。

そして、なんかこう。ぐぅー。ってやったら魔法が出る。ごめん。説明は無理。


因みに掛け声的なものはない。


「ふははははは。凍れ凍れ!」


スライムを倒す方法は、特に何の捻りもなく。凍らせるだけ。

スライムの中の細胞を凍らせる。多分だが水分の多いスライムだからこそ出来るんだと思う。


ごめんなさい。ホントは分かんないです。適当にそれっぽいことを言ってみただけです。ごめんなさい。


「よしっ、こんなもんだろ」


魔法でカチカチに凍ったスライム。これを何でも良いので粉々に叩き割る。

これで討伐は完了し、スライムを討伐したことがカードに記載される。


しかしあれだ。叩き割るのは手が痛いね。うん。めっちゃ反動来た。あばら2、3本持ってかれる勢い。


ちょっとビリビリする右手を押さえながら、ランドが追いかけていった辺りを見渡す。


「おーい、そっちは大丈夫かー?」

「……おーう。カリンが2匹とも凍らして倒した。素手で氷を叩き割るほどの威力あるなら、やっぱ武道家の方が向いて」


話している途中でランドの声が途絶える。

怖い。カリンさん怖い。あれか。ツンデレなのか?本当に後でデレるのだろうか。


「……ってかサリナどこ行った。またサボってんのか」


いや俺もさっき寛くついでたから人の事を言える立場ではないんだが。バレなければ罪ではない。よって無罪だ。


「おーい、サリナさーん。どこに……」


サリナの行った方向の木の後ろを確認していくと、案の定そこにサリナがいた。


そう、爪先つまさきにスライムをまといながら、呑気にぐーすかと寝ているサリナが。

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