49話 5日目:夕 【母】決意
【マリアンヌ視点】
マリアンヌ夫人は。
手を繋ぐアダム伯爵とアナスタシア公爵令嬢を眺めていました。
息子の罪が晴れたのです。
一声かけたいところですが。
今はよしておきましょう。
息子に裏切られたのに関わらず。
アナスタシアは息子の罪を晴らすために一生懸命頑張ってくれたのです。
本当に出来たお嫁さんです。
息子にはもったいないぐらいです。
きっと。
アナスタシアがいなければ。
今頃息子も私も死刑になっていたと思います。
本当に感謝してもしたりないぐらいです。
私達にとっては命の恩人なのですから。
今の2人の時間の邪魔をしてはいけませんね。
死刑から救われた恋人達なのです。
きっと今の時間は大切でしょう。
何よりも充実した時間なのだと思います。
二人の間に漂う雰囲気を察すれば分かります。
それが読めないほど、私はヤボではありません。
年長者の勤めとして。
若い二人の幸せを祝福しましょう。
二人に幸あれ。
しかし・・・
問題は私です。
今回の事で懲りました。
もう、お酒は飲まない方がいいのかもしれません。
私の記憶さえちゃんとしていれば。
そもそも息子は今回の騒動に巻き込まれなかったのかもしれないのです。
私の責任です。
完全に私が原因です。
私の記憶さえちゃんとしていればよかったのです。
それにいい機会です。
何かの運命でしょう。
決めました。
今日から断酒します!
晴れ晴れとした気分ですし。
息子の罪も晴れたのです。
新しい人生を歩むのも悪くないのかもしれません。
今なら何でもできる気がします。
活力が沸いてきました。
それに。
ブラッドリー司祭からは、教団で暫く暮らしてはどうかと誘われています。
きっと。
私のお酒の問題を知っているのでしょう。
そんな気がします。
教団にいれば集団生活です。
お酒を断つ事ができるのかもしれません。
一人ではできないことでも、集団なら可能でしょう。
短い期間でしたが。
教団には多くの知り合いも出来ましたし。
小さな子供と遊んでいるのも楽しいです。
久しぶりの集団生活は有意義なものでした。
これから変わりましょう。
昨夜の事が思い出せないなどの失態は犯さないように。
新しい生活を始めましょう。
息子達と同じように。
私も新しい道を歩むのです。
私は鞄から酒瓶を取り出します。
最近は肌身は出さず持っていました。
どこに行くときも一緒でした。
最早私の体の一部でした。
でも。
今日。
今この瞬間からお別れです。
お酒の力で乗り越えられた問題もありました。
しかし。
これからはお酒に頼らず生きていくのです。
もう。
私には必要ありません。
今まで、ありがとう。
お酒さん。
私は酒瓶に感謝を述べ。
ヒョイ
ゴミ箱に捨てました。
そうしてマリアンヌ夫人は、部屋を出て行ったのでした。
彼女はとても清々しい表情をしていました。




