46話 5日目:昼 【第三王子】裁き
【続・クラウディウス視点】
視界は塞がれ、口には布がつめられ、体は台に固定されている。
動く事も話す事も出来ない状態。
私はただ聞く事しか出来ない。
「静粛に、静粛に。
レムリア帝国第四王子、ティベリウス様からお話しがございます」
「皆様に悲しいお話しがあるのです」
「我が兄上、クラウディウス第三王子ですが、兄上から衝撃の告白を受けたのです」
「私は大変ショックでした」
「隠す事も出来ますが、ここは兄上の意思もありますので、正直に話させて頂きます」
なんのことだ?
私の意志だと?
私が何をいった?
「セレステ第三王女を殺したのは、実は、兄上だったのです」
ざわめく慣習。
うねりのような声が聞こえる。
「皆様の動揺も分かります。
しかし兄上はその罪を自ら告白し、死刑になると申し出たのです」
ティベリウスは何を言っている。
出鱈目ばかりを。
自らの行為を正当化しようとしているのか?
「罪を犯してしまった兄上ですが、私はその意思に感激しました。
兄上の意思は鉄の様に固かったのです」
「私は胸を裂く思いで、本日の死刑を実行したいと思います」
「それが唯一兄上に協力できる事なのです」
「では、これより刑の執行を開始します」
「まずは釘打ちです」
馬鹿な。
私は王族だぞ。
その私に拷問まがいの事をするというのか。
「お願いします」
右手が押さえられ、手のひらを広げられる。
手の平の中央に、冷たく固い尖ったものが押し当てられる。
次の瞬間。
「ギュッ」っと肉が潰れる音がし、何かが手の平を貫く。
「んんんん。んんん」
ぐあああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
今まで味わった事が無い激痛が走る。
肉の裂かれる感覚と、ジンジンとした光の様な痛み。
嵐の様な刺激が私を襲う。
「次の方、お願いします」
今度は左手が抑えられ、同じように冷たい感触が手の平に当てられる。
その感覚で次に来る痛みを予想してしまう。
パニックになったように心が焦る。
台に固定されながらも全力で抵抗する。
無駄だと分かっていても動かずにはいられない。
待て、やめろ。
やめてくれ。
もうやめてくれ。
私は手を閉じようとするが、無理やり広げられる。
そして。
「んんんん。んんんんんんん」
ぐあああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
同じ痛みが走る。
口を塞がれているので叫ぶ事も出来ない。
尋常ではない痛みで体がのけぞり、頭の中はパニックの様に思考が乱れる。
体中が緊急信号を溢れかえっている。
痛みの事だけしか考えられない。
「では、次の方」
感情の無い無慈悲なティベリウスの声。
彼の声が合図になり、何箇所も体に釘を打たれた。
その度に私は狂ったように反応した。
ぐあああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐああああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐあああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐあああああああああああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
打たれるたびに痛みで意識が飛びそうになるが。
鋭い痛みで意識が回復する。
簡単に意識を失えたら。
すぐに死ねたらどんなり楽だったか。
いっそ殺して欲しいとさえ思った。
意識を回復した瞬間に激痛が走り。
気絶するほど激痛を味う。
意識が落ちると、再度痛みで飛び起きる。
それの繰り返し。
何度も何度も繰り返す。
ぐあああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐあああああああああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐああああああああああああああああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私の精神はゆるやかに壊れていく。
気づくと周りの声もよく聞こえなくなっていた。
これまで耳にしていた観衆の声も、風音さえ聞こえない。
私の世界は暗闇と痛みだけ。
激しい痛みの信号が世界の全てだった。
今でもかろうじて聞こえるのは、ティベリウスの声。
「では、第三王女様の冥福を祈りまして、炎の点火です」
彼の声と同時に体中が熱くなる、
もはや痛みは感じない。
釘打ちで麻痺しているのだ。
徐々に明るくなっていく視界と、暖かい煙に囲まれる。
体中が振動し、感覚がなくなっていく。
ふわふわとした感覚に体が包まれていく。
頭巾が燃えてやっと視界が回復すると。
目の前に見えるのは、血と炎で赤く染まった世界。
真紅の世界の中では、見慣れた観衆も、広場も。
空でさえ新鮮味をもって見えた。
まるで始めて見た世界のようだった。
新しく生まれかわったかのようだ。
私が新しくこの世に誕生したのだ。
そのせいか。
記憶がフラッシュバックする。
二日後。
完結です。
※明日もこれまで通り投稿します。




