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29話 4日目:夜 【妻】訪問


【アナスタシア視点】



 アナスタシア公爵令嬢は、王城で第三王子と面会した後。

 家に帰って仮眠をとっていました。

 昨晩寝れなかった分を回復させるのです。

 睡眠不足は健康に良くないのです。


 

 私が数時間寝て起きた後。

 すっかり辺りは暗くなっていました。


 そこにカミラが現れます。


「アナスタシア様。お目覚めの紅茶です」

「ありがとう、カミラ」


 紅茶を受け取って飲むと、意識が回復していきます。


「アナスタシア様。お伝えしたい事があります」


 カミラも昨晩は一緒に夜更かししたはずなのに、疲れが全く見えない。

 多分、私が寝ている間も働いていたと思うのに。

  

 一体どうなってるんだろう?

 元気の秘訣を聞いたほうが良いかも。


 そんな事を考えていると、おっといけない。

 カミラが私の返事を待っているようだ。

 寝起きで頭がぼーっとしていた。


「なんですか?」

「こちらの手の者に第三王子様の部屋を見張らせていたのですが。

 王子はユヌス教団の司祭と会っていたようです」


 司祭?

 確か・・・名前はブラッドリー司祭でしたかね。

 審問の後に王城内で会った。

 少し面倒そうな人でしたね。


「そうですか・・・

 元お母様の件でお呼びしたのでは?

 教団が匿っているのです。

 彼女を取り返そうとしている第三王子なら会っていてもおかしくありません」

「はい、それはそうなのですが・・・」


 うかない表情のカミラ。

 私に何か伝えたい事があるみたい。


「何かあるのですか?」

「はい。少し気になる事がありまして」


「何でしょう?」

「どうも、第三王子側は司祭に監視をつけているようです。

 私達の監視の者がその者を見つけたと」


 まぁ!監視者を監視者が見つけたのですか。

 

 それって大丈夫なの?

 仕事的に一番見つかったいけない人達だと思うけど。

 でもまぁー見つかったのは王子の手下で、私の味方じゃなくて良かった。


「教団が気になるから探っているのではないですか。

 少しでも早く元お母様を取り戻すために」

「それもあると思うのですが。

 司祭が教会に戻ると、すぐに数人の信者が再び王城を訪れ、何かを第三王子に渡したようです。

 教団側と第三王子側で何らかの取引があったとみて間違いないかと」


 それは気になるわね。 

 第三王子と教団の組み合わせは予想していなかったけど。


「取引ですが・・・

 教団が欲しがるものはたくさんあるでしょう。

 資金もそうでしょうし、王城の便宜も欲しいはずです。

 ですが第三王子側は分かりませんね。

 マリアンヌ夫人の解放が一番だと思うのですが、それは行われていないのでしょう?」


「はい。まだ教団に匿われたままだと」

「それですとおかしいですね。

 一体教団は何を第三王子に差し出したんでしょうか?」


「分かりませんが。

 袋に入るほどのものなので、それ程大きいものではないかと」


「そうですか。

 何を渡したにしろ、第三王子と教団に結びつきができているということですね」

「はい。そのようです」


「とすると、元お母様関係で第三王子側が恐れている事は。

 教団側が渡した物だったのかもしれませんね。お母様自身ではなく」

「その可能性が高いかと」


 その時。

 部屋にメイドが入ってき、カミラに耳打ちをする。

 

 それを聞いた彼女は驚いたように目を見開く。

 ぎょっとした表情というのがピッタリな顔。


「どうしたの?カミラ。何かあったのですか?」

「はは。アナスタシア様。実はお客人が参られたようです」


 誰だろう?

 カミラが驚くなんて、普通の人じゃない事は確か。

 

 それに・・・


「今日は誰も訪問してこないはずですが」

「その予定だったのですが・・・」


 カミラは困っているのだろうか。

 表情を硬くしている。


「それなら断っても問題ないでしょう。

 私は元夫が死刑になったばかりなのですから。

 相手もわかってくれるでしょう」


 寝起き時には親しい人意外とは会いたくないの。

 頭がぼーっとして上手く会話が出来ないかもしれないし、表情が活き活きとしないから。


「通常ならその通りの対応で問題ないのですが。

 今回は会われた方が宜しいかと」


 カミラの言い方だと、まるで誰か偉い人でも来るみたい。

 そんな人ってあまり思いつかないけど。

 それにそういう人だったら行き成なり来ず、手続きをちゃんとするだろうし。 


 誰なんだろう?


 ええい。もう聞いちゃお。

 名前を聞いたほうが早いしね。

 別に名前を聞くだけでどうこうなるわけじゃないし。


「カミラ、誰が来たのですか?

 随分、驚いているようですが」

「はい。それは・・・○○○様です」


 私はその名前を聞いて、一瞬意識が止まってしまう。


 え?なんで?なんで?

 なんでそんな人が私の家にくるの。

 全然意味が分からない。 


 だって全く予想もしていなかったし。

 それに理由も全然思いつかない。


 カミラが驚いた理由も分かる。


 ○○○様が家にいきなり来れば、驚かない方がおかしい。


 でも、本当なんで?

 なんで私の家に来たんだろう。


 もしかしてまずいことかな? 

 私が知らず知らずのうちに何かをしてしまったのかも。


 頭の中で記憶を探っていくが、該当するものは無い。

 

 多分、大丈夫だと思うけど・・・

 

 目の前のカミラも、頭の中では問題になりそうな事が無いか思い出している様子。

 でも私同様答えは出なかったみたい。

 

 そうよ。でも悲観する事はないわ。

 もしかしたら私にとって良いことかもしれないし。

 ただ、なんとなく寄っただけなのかもしれない。

 

 いいや、それはないか。

 『ただ、なんとなく』で私の家に来る人ではないのは確かだ。


 頭の中でいくら考えていても仕方が無いので口を開く。


「カミラ。その話は本当ですか?

 何故、その方が私の家にくるのかよく分からないのですが」

「はい。恥ずかしながら私も心当たりがございません。

 こちらに不利になるような事はないと思うのですが」


 やっぱりそうよね。


「私も思いつきません」

「ですがアナスタシア様。

 直ぐに出迎えの準備をしなければなりません」


 ですよね。

 無礼な態度はとれないし。

 変なところでミスをしたくもない。


「そうしましょう。

 カミラ、○○○様は直ぐに控え室にお通しして。

 馬車の中で待ってもらうのは失礼でしょうから」

「はい。直ちに」


「それと、私が出向くまでのもてなしを頼みます。

 私も直ぐに身なりを整えますので」

「かしこまりました」


「カミラ、出来れば私が○○○様と話す前に、何か情報が得られるよう頼みます。

 事前に訪問の意図も理由も分からない状態で話すのは良い事ではありませんから」

「お任せ下さい。

 出来るだけ情報を集めてみます」


「でも、やりすぎないでね。

 変に警戒されて後ろめたい事があると思われたくは無いから」

「はい。その辺りは注意いたします」


「それじゃ、お願いね」

「はは」


 すると、カミラは部屋を出て行った。


 別に私が注意しなくてもカミラなら当然やってくれる事だろうけど、今回は口が出てしまった。

 私はそれぐらい焦っているのかもしれない。


 でも、そわそわしてはいられない。 

 私も直ぐに行動しなきゃ。

 

 化粧室に移動しようと思ったけど、机の上の紅茶に目が留まる。

 ゆっくりと紅茶を飲んでいる場合ではなかったけど、残すのは勿体無いので全て一気に飲む。

 

 胃にぐっとくるが、すぐに化粧室に移動しメイド達に身なりを整えてもらった。

 心なしか、私をセットする彼女達もどこか緊張している様子だった。

 


 そして暫くして。

 普段より豪華にセッティングされた客間で、私は○○○様を迎えた。


 

 

 ◇




 面会を終え、 ○○○様を見送った私は。

 カミラと共にユヌス教団に向かっていた。 


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連載始めました↓
彼女が二股していたので、腰が砕ける程衝撃を受けた。

 

連載始めました。よろしくお願いします。↓
転生したら吸血鬼さんだった件~チートで世界最強です~

 

さくっと同時連載中。↓
もう、結構ですわっ!

 

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