15話 3日目:夜 【従者&妻&盗賊】遭遇(中)
【盗賊二人視点】
依頼を受け、マリアンヌ夫人をユヌス教団から浚おうとした夜盗の二人。
情報を得ていた事もあり、信者に紛れ込み、最小限の見張りを倒すだけで進入できた。
しかし、当の部屋に夫人はおらず。
探している途中で信者にみつかり戦闘になり逃げた。
4人で忍び込んだのだが、他の2人はどうなったのか分からない。
それから相談をし、もしかしたら自宅にいるんじゃないかと思ってきたらビンゴ。
寝室で夫人を発見したのだ。
しかも寝ている。
酒の匂いもするので、酔ったまま寝てしまったのかもしれない。
盗賊の一人は小声で。
「これはもうけもんだな。これで依頼をしくじらずにすむ。
よかったな」
「あぁ、運が良かったようだ。
でもどうする。依頼ではバラシテ教団内部に放置しろって話しだっただろ。
ここでバラスのはまずい」
「そうだな。とりあえず縛って運ぶか。
幸い酔ってねているならそう簡単には起きないだろ」
「よし、何か縛るものわっと」
盗賊二人は部屋の中を歩き回る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【カミラ視点】
盗賊二人の足が動くのを、ベッドの下からカミラは見守っていた。
(奴ら、マリアンヌ夫人を手にかける気でしょう。
しかし何故でしょう。
依頼という言葉を聞く限り、どこかから頼まれたようですが)
このまま見過ごしてもいいものでしょうか?
アナスタシア様は、マリアンヌ夫人に死刑になってもらいたいようですが、盗人に囚われて殺される事を望むでしょうか?
いいえ、そんな事は決して望まないはずです。
裏切られた事を恨んでいるでしょうアダム様にさえ、早急に処理する事はしなかったのです。
それでしたら、ここでの行動は決まっています。
この部屋にいる二人の盗賊を排除し、マリアンヌ夫人を救うのです。
それが私の役目です。
そう決意し、私は懐を探りナイフを取り出します。
護身用、アナスタシシア様を保護するためにいつも肌身は出さず持っているものです。
盗人共の実力は分かりませんが、隙をつけばこちらが有利。
すぐに処理できるはずです。
盗賊どもの足がベッドに近づきます。
十分に引きつけて、射程内に入ったら二人の足の腱を切り裂くのです。
そうすれば、もし反撃されても相手の機動性を大幅に削ぐことが出来ます。
マリアンヌ夫人を起こさないようにするためか、足音を消して近づいてくる一人の男。
心が焦ります。
すぐにでも盗人の足を切り裂きたくなります。
ですがまた待つべきです。
もうちょっと、もうちょっとです。
もう一人の男が十分に近づくのを待たなければ。
盗人達の話では、この場では夫人を殺さないはず。
それなら十分に時間をとって、好機が訪れるの待つべきです。
二人いっぺんに処理できる時を。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【アナスタシア視点】
アナスタシタシア夫人は、トイレの窓から星空を見ていました。
すると苦々しい記憶を思い出します。
あれは、いつだっただろうか。
前夫アダムが外出した後をつけたのは。
あの日も星空は光っていたと思う。
その奇麗な星空の下、アダムは噴水広場を訪れた。
私はこんな星空の元、彼と話せたら素敵かもしれないと思い、そっと近づいて声をかけようと思ったの。
でも、どこからかいきなり第三王女がその場に現れ、彼とキスを始めた。
私は、『え、何、ちょ、えーっ』と言葉がなくなり、唖然とした。
幸福な気分が一瞬で暗闇に落ちた。
彼のために用意していた、出合って4年目のプレゼントを握り締めたまま、涙を流したのを覚えている。
プレゼントは、一ヶ月もかけて手縫いをした服だったけど、私はそれをぐちゃぐちゃにして握り締めてやった。
悔しさと胸に沸き起こる感情を発散するために。
第三王女との関係が親密なのは、目の前でキスしている二人を見れば分かった。
そんな男。
私を裏切っていた男のために、私は一ヶ月もかけてプレゼントを用意していたのが悔しかった。
自分がどんなに愚かなのか痛感した。
彼を信じるべきではなかったの。
私はその後、何食わぬ顔で家帰り、彼に接した。
彼もいつも通り過ごす。
その日でした、私が彼への復讐を思い始めたのは。
アダムも牢屋でこの空を見ているのだろうか?
死刑においやって、これまで心の中に溜め込んできた気持ちはすっきりした。
目的を半ば達成できた事で、彼への憎しみもわずかに安らいできた気がする。
それに・・・先程聞こえた足音も、いつのまにか聞こえなくなっていた。
この家に侵入した者は遠くへ行ったのでしょうか。
もう、家の中にはいないかもしれませんね。
それなら、少し様子を見てみましょうか。
私はトイレの鍵を開けました。




