7話 3日目 【母】教会(上)
【マリアンヌ視点】
マリアンヌ夫人は、ユヌス教団に囲まれて王城を出る際、途中でアナスタシアに出会った。
でも、私の存在をアナスタシアに知られるわけにはいかなかった。
その場合、私がここいることが問題になり、他の騎士達が駆けつけてくるかもしれません。
司祭とアナスタシアが話しているのを聞きながら、騎士達がすぐにくるんじゃないかとひやひやしていました。
話が長引きそうな気がしましたので、私が出ていてアナスタシアに訳を説明しようと思いました。
優しい彼女、私の味方の彼女なら、教団が私を庇うために動いてると知れば、直ぐに道をあけてくれると思ったからです。
しかし私が行動する前に、少し前にいる女性信者が前に出て行ってしまいました。
私は騎士団を心配しながらやりとりを聞いていると、悪い予感が当たってしまいました。
『いたぞー!あそこだー!』
『こっちた、いたぞ、奴らはこっちだ!』
騎士達の声が聞こえた後、私達はすぐに走り出しました。
ですがその際に。
アナスタシアと一瞬目が会った気がしたのです。
彼女は気づいているか分かりませんが。
それからは必死でした。
皆で走ってなんとか城内を駆け抜けました。
何人かの信者は迫ってくる騎士達を抑えるために、手段から離れて騎士にぶつかっていきました。
そうして少しづつ集団を小さくしながら城門まで進むと。
そこに10人以上の騎士が待ち構えていました。
さすがにだめだと思いました。
これは無理ですと。
これまでは人数の差で押し通してきたのですが、現状ではほぼ同数。
いいえ、相手の方が人数が多いですので。
しかも相手は屈強な騎士の男達。
こちらにも同じような方もいますが、数は少なく、女性信者も半分含まれています。
力押しでは適いません。
もうだめです。
騎士達に捕まってしまうと思いました。
「止まれ!大人しくすれば穏便な対応を取る。
今すぐ全員ローブを脱いで顔を見せろ。
マリアンヌ夫人以外は解放する。彼女だけ置いていけ」
ついに終わりですか。
ここまで来れただけでも大したものです。
本来なら、私はもっと前に騎士達に拘束されていたでしょうから。
相手の騎士は私の名前を叫んでいます。
この中に私がいる事はばれているのです。
ここは私自ら名乗り出て、ここまで頑張ってくださった教団の皆さんを救うしかないかもしれません。
彼らが私のせいで罪に問われる必要はないのですから。
私が集団の中心から歩き出そうとすると。
司祭が。
「夫人の行方は知りません。
私達は急用がありますので、そこを通して頂きたいのですが」
「それは許可できない。
従わないのであれば、強制的に顔を確認させてもらう」
「私達はただ家に帰りたいだけなのです。
あなた達も帰宅を邪魔されたくないと思いますが」
「話をするつもりはない。
10秒以内にローブをとって顔をだせ。
もしくはマリアンヌ夫人が名乗り出ればよし。
そうすれば他の者は解放する。
では、10。9」
相手の騎士は交渉する気など無いようです。
「分かりました。話は通じないようですね」
「7、6、」
「通させてもらいます」
ブラッドリー司祭が空に向かって何かを投げると。
「バン!」っと大きな音がしました。
すると、城門の反対側、街側からユヌス教団の一団が押し寄せてきます。
「な、なんだこいつら。一体どこから?」
「ど、どうします」
「とりあえず拘束しろ。だが夫人は逃がすな」
「そ、そんな無茶な」
「押せ押せ、司祭様を通させろ」
「押すのです。押すのです」
城門の兵士とユヌス教団がごちゃごちゃになりました。
乱戦状態で誰が誰だが分かりません。
それを満足げに見たブラッドリー司祭は。
「皆さん、今のうちです。
夫人を教団までお連れするのです。
同胞が頑張っているうちに」
「「「はい」」」
乱戦状態になっている城門をくぐり抜け、私達はなんとか王城を後にしました。




