17話 1日目:夕 【妻】公爵令嬢アナスタシアの交渉術(下)
どうも、赤ポストです。
少しタイトル変えてみました。
【続・アナスタイシア視点】
部屋の中には私とカミラのみ。
暫くして私はふと笑ってしまった。
おじさまったら、やっぱり押しに弱いんだから。
「カミラ、上手く行ったわね」
「はい。アナスタシア様。中々お上手な説得でした」
「ベネット侯爵はお人よしだから。
こういう風に頼めば弱い事は知っていたの。思ったより簡単だったわ」
「さすがアナスタシア様。
ですがアダム様に会う事は本当に出来るのでしょうか?
居場所が秘匿案件になっている程なのですが」
「大丈夫よ、ダイ・ジョウ・ブ。
侯爵はあの通りちょっとゆるいけど、仕事は出来る人よ。
出来ないことを約束する人じゃないわ。
それにまだ彼は容疑者なんだから」
「そうですか。さすが奥様の知見」
私は目力を使ったためか、目がしょぼしょぼしてきた。
「カミラ、目薬を頂いてもいいかしら。潤い不足みたい」
「はい、アナスタシア様。すぐにご用意致します」
カミラはポーチから目薬を取り出す。
私はそれを見計らって椅子に座ったまま、顔を天井に向け、目をパチパチさせる。
「いいわよ、カミラ。やってちょうだい」
「はい、アナスタシア様」
カミラが私の目の上に目薬をセットして垂らすと、雫が目に入り眼球に圧力を感じる。
ピタン、スー、ジュワーって感じで瞳が潤ってくる。
でも、この感触。
いつ感じてもアンニョイな気分になっちゃう。
それに潤いが足りないみたい。
もう一液必要そうね。
「カミラ、まだまだいけるわよ。私を潤わせて」
「分かりました。
ではアナスタシア様、いかせてもらいます」
「ええ、やってちょうだい。ドバっとね」
「はい。勿論でございます」
目薬がザーザーと雨の様に降ってきた。
嵐の日に目を大きく見開いているような感覚だ。
私はその水流と小刻みにくるポツポツとした感触にアップアップしてしまう。
うわぁ!たんま、たんま!
やりすぎ、瞳に液体が溢れて目が洪水起こしてる。
池で溺れそうになった時みたい。
私は慌ててパンパンと椅子を叩き。
「カミラ、ストップ!ストップ!ヤバイわよ。
ダメ、だめだから」
「はい、アナスタシア様」
やっと目薬の放流がとまる。
カミラがさっと目元を布でぬぐってくれる。
やっと回復した視界の前では、カミラがクスクスと笑っていた。
「カミラ、もう、ビックリしちゃった。目がヒリヒリ」
「すいません。ついつい遊び心が出てしまいました。
どこまでアナスタシア様の眼球が目薬を受けいられる事が出来るのか興味がございました」
「いいわ。カミラだから許してあげる。
でも、私の目の液体許容量は分かったわね」
「はい、さすがアナスタシア様。
中々の容量でございました」
「でも、次はやっちゃだめよ。
溺れて死ぬかと思ったんだから。
久しぶりに水に恐怖を抱いたわ。世界が水没したわ」
「はい。次は気をつけ、最適の量を目指します」
私は部屋の鏡に移る自分の姿を確認すると。
「でも、これじゃまるで泣いた後みたいね。
目が真っ赤っか」
「確かにいささか目が充血しておりますね。
私もからも赤く見えます」
だよねー。
赤目になってる。
ちょっと人間離れしてる。
「まぁいいわ。夫の事を思ってこの部屋で泣いていたことにしましょう。
カミラもちゃんと話をあわしてね」
「勿論でございます。アナスタシア様」
「でも、元々アダムと会ったら泣いてあげようかと思ってから、それが少し早くなっただけね。
結局はこれでよかったかも。
もしかしたら上手く泣けない可能性もあったから」
「いいえ、アナスタシア様なら涙の一つや二つ。
簡単に流すことが出来るかと」
「もう、それじゃ私の涙が軽いみたいじゃない」
「いいえ、アナスタシア様の演技力を賞賛しているのです。
しかし、涙を流す必要はあるのでしょうか?」
「念のためよ、念のため。
しっかりと準備しておいたほうがいいわ」
「そうですね」
そうして私は夫との面会に備えた。
新連載始めました。よろしくお願いします(ページ下のリンクになります。)
※こちらもこれまで通り更新していきます。




