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9/12

治されて金髪碧眼

 帰宅した後ドクにスキャンしてもらった。身体が悪くないか不安だし。おかしな能力で原形をとどめていないし。ドクはエスペラスをためらうことなく出した。ドクのエスペラスは医療用ロボットのような姿をしている。さびたボディ。左腕だけ色が合ってない。ホームベース型をした顔にはカメラのような目が二つ光っている。本人曰く目はスキャナーになっているらしい。

「じゃあ、スキャンするよ。服を脱いで大人しくしていてね」

 ヒロはもちろん外だ。女三人私の体を見守る。ドクのエスペラスは私のあちらこちらをじーっと見て回る。ちょっと恥ずかしい。右手がころころといろいろな器具に変わり、私を弄くる。また耳を執拗に触られた。五分くらい経っただろうか。ドクのエスペラスが動きを止める。

「プリンタ借りていい?結果を出力するから」

 服を着ながら私は「うん」と答えた。またゴスロリだ。スーがヒロを呼びにいく。

「ヒロー入ってきていいよー」


いざ、健康診断をすると結果が気になる。それはスーもヒロも同じだったようで、じっとドクを見つめている。

紙を見せながらドクが説明する。

「結論から言います。レンはほぼ健康体です」

 三人でほっと肩をなで下ろす。

「ほぼ、と言ったのを聞いてた?」

 私はぴくっとする。

「まず、耳については始めからこうだったみたいになってる。耳は健康そのものだから私の能力でも治せない」

「ってことは一生このまま?」とスーが聞く。

「解除する能力者がいなければそうなるね」

 私は耳をぴくぴくと動かしてみた。

「なぜかわからないけど耳に神経が集中しているから耳はかなり敏感な器官になっているみたい」

「へー、そうなの」とヒロが触ろうとする。スーはその手を掴んだ。

「ダメ」にっこりと笑ってヒロを威嚇する。ヒロはすごすごと手を引っ込めた。

 そんな二人の様子を見ながらほほえんでいると、

「それで、問題はここからなのだけど」とドクが話し始めた。ふざけた雰囲気を止め、三人で耳を傾ける。

「頭の中に何かが埋め込まれているのよねー。どうも、髪の色とか目の色を操作するものみたいなんだけど。」

「怖い話はやめてくれ」とヒロ。血が怖いレベルでこの手の話が苦手なのだ。

「と言われても事実だからねー」とドクは気にせず話を続ける。

「私なら簡単に取れるからとっちゃおう」

「取ったらどうなるの?」とスー。

「取らなかったらどうなるの?」と私。

 ハモった。

「確実にどうなるとは言い切れないけれど、変な影響を受けて髪が禿げたり、逆に生えすぎたりするかもしれない。健康被害が出る可能性があるから、取った方が良いね。ちなみに取ることで起こるデメリットは、今と髪と目の色が変わる可能性があるくらいかな。まあ、仕方ないね」

「今の可愛さが失われる可能性は?」と私が聞く。自分で可愛さとか言ってしまった。

「今と容姿が変わる可能性は大いにある。でも、ほっといて出る被害の方がはるかに大きいだろう。どうも変わるのは色と長さだけみたいだから、最悪染めればいいし」

「人の容姿だからそんな適当なことを言って」と私が言う。

「あなたの容姿なら、髪と目の色がどうなっても可愛いから大丈夫」

 少しにやけてしまった。

「うーん。じゃあお願いします」

「はいわかりました」

「手術に危ないことはないのよね?」とスー。

「絶対安全な手術なんてない。ないけど、私の能力なら何も問題ない」どっちなんだよ、と突っ込みたいのをこらえる。

「じゃあ、ベッドに仰向けになって」

 私は言われるがままに横になる。胸がずっしりと重い。ドクのエスペラスが私の額に手を当てる。ドクはフーッと息を吐くと

「はい、手術完了です」と言った。あまりのあっけなさに拍子抜けだ。

 ふっと起き上がり髪を見ると綺麗な金髪だった。

「変なところない?」と私は尋ねる。

 ドクは満足げに微笑み、スーは私をじっと見つめ、ヒロは目をそらした。

「鏡。鏡をとって」と私が言うとドクが姿見を持ってきてくれた。そこには、金髪碧眼の猫耳美少女が座っていた。

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