私が猫耳美少女になった話
買い物に行くことにした。服がゴスロリ一着だけというのは寂しいのでもっとかわいい服を買いに行くことにする。ヒロに車で駅まで送ってもらった。ヒロは私をエロい目で見るから留守番だ。他二人の仲間も夕方にはうちに来るらしいし家にいて出迎えてもらわねば。留守番を告げた時のヒロは少し寂しそうだった。
というわけでスーと二人で電車で移動中だ。時間が遅めなので座ることがきた。周りから私たちはどう見えているのだろうか。仲の良い姉妹みたいな感じだろうか。向かいに座っているお兄さんが、私たちをチラチラ見てくるのが気になる。
そうこうしているうちに目的の駅に着いた。この駅にゴスロリ専門店があるらしい。早く行かねば。
座席を立つ。「お姉ちゃん、行こう」無邪気を装ってお姉ちゃん呼ばわりしてみる。スーは、冷ややかジトジトな目線を私に送りつつ、立ち上がる。
目的の店だ。かわいい服がいっぱい並んでいる。
「お姉ちゃん、どの服が似合うかな」
そう言いながらスーを見上げる。もともとスーより五センチくらい背が高かったはずだが今や小さい。今着ているゴスロリ服も私には少し大きい。
「ねえ、レン。あの人なんだか怪しくない?」とスーが耳打ちする。女性服売り場のフロアのゴスロリ専門店を男性が一人覗き込んでいる。
「めっちゃ怪しい。からかってくるね」というと私はその人に近づいてみた。スーがやめなよ、と言っているように聞こえた。
「お兄さん、こんなところで何してるんですか」胸を強調しつつ男に話しかけた。男と目があった。
次の瞬間男から猫のような影が二匹飛び出した。「エスペラスだ」と思った。一度地面に着地するとすごい速さで私の顔めがけて飛びかかってきた。私は後ずさろうとしたが、後ろには服の台があり逃げられなかった。二匹の猫は正確に私の耳に噛みつき、そのまま噛みちぎった。髪の中にあるのに正確に耳を持って行かれたようだ。痛くはなかった。ただ、何が起きたのかわからずに耳のあった場所を触った。髪の中には何もなかった。しかし、側頭部がムズムズする。両手で側頭部を抑える。
「ひゃうん」
変な声が出た。なんか気持ち良い。側頭部には毛の生えた何かがあった。慎重に触って形を確かめる。この感触は知っている。猫の頭に生えているあれだ。どうやら猫耳になってしまったらしい。昨日の変身のこともあり体の他の部分も確認する。大丈夫。普通に女の子している。私を襲った男を見るよりも先に、鏡を確認した。猫耳美少女がそこにいた。超かわいい。