かわいい服の魅力には抗えない
ピンポーン。
チャイムの音で目を覚ました。
「あと五分……」二度寝する。
ピンポピンポピンポーン。
むにゃむにゃ。
結局あの後裸で寝た。一応シャワーは浴びて寝た。どうやらまごうことなく完全な女になったらしいことはわかった。頭がポケットするものの身体の感覚の違いを肌で感じる。特に胸の重さはなんとかしたい。少なくともブラがないと辛い。
この時間に来るのは家の近いスーだろうか。むくりと起き上がると廊下を歩いて行きドアを開けた。
「おは……服を着なさい」
挨拶する前に怒られた。服を着なさいという割に私の体をまじまじと眺めている。じーっと。
「本当に女になったみたいね」
スーはふわっとした白いスカートにパステルイエローのカーディガンを着た女性だ。スタイルが良い。手を顎に当てて何かを考えている。
「うん。いろいろ触ってみたけど完全に女性だった」
「いろいろって……。深く聞かないことにするけど。アスファルトに腕の埋まった男性を警察が取り囲んでいたのを見たよ。あなたの能力あんなこともできるのね」
私たちはお互い能力の詳細を教え合っていない。そのためお互いへの好奇心は尽きない。
「それで、服は持ってきてくれた?」
「もちろん」
ドアを閉め廊下を歩きながら訊ねた。昨日の夜、もっとも体型の近いスーには服を頼んだ。部屋に入り、椅子とベッドに腰掛ける。スーは持っている紙袋から黒と白のふわふわひらひらした服を取り出した。
「ジャーン。買ったはいいけど洗ったら小さくなって着られなくなった服なの。ゴシックロリータ」
「もう少し普通の服が来ると思ってた」
「んー?」スーは悪戯っぽく笑う。「あ、あと下着ね。ブラはサイズがわからないからショーツだけそこのコンビニで買ってきた」
「ありがとう」と言うや早速下着を身につける。そしてゴシックロリータに手を伸ばす。
「あ、着るのね。一応普通の服も持ってきたのだけど」
私はその言葉を無視した。「ワンピースって上からかぶれば良いんだっけ?」
スーに手伝ってもらいながら私はゴスロリを着た。ご丁寧にリボンまでつけてくれた。