ふつうが一番9
読んで頂きありがとうございます!
なーにーがーようこそだ!!
私達は訳かわからないまま、魔王城の離れらしい所に監禁された
監禁と言っても、建物中は自由に行動できるし待遇も客人として丁寧にもてなしてもらっている
魔物のメイドが3人と執事っぽい人がひとり建物内に常時待機しており建物の周りには結界がある
おそらく魔王が張ったのだろう
「アルフォンスさま、どうでしたか?」
あれから、夜があけ用意された朝ごはんをしぶしぶ食べるながら部屋に帰ってきたアルフォンスに尋ねると
「さっき結界が壊れないか試してみたが駄目だった」
軽くため息をして、食事が出されているテーブルの椅子に座った
「噂には聞いていたが、まさかこれ程強力な魔力とはな・・・・・」
アルフォンスはグラスに水を注ぎ一気に飲み干した
「どうして私達を捕まえておくのかな?」
私は不思議だった
騎士団長アルフォンスを殺しに来たのなら、何度もチャンスはあった訳だし
今も私と一緒に捕えておく必要はない
『誰が来ても渡さないで』
と、言った姉はゼロがアルフォンスを迎えに来るとわかってたのかな?
そのゼロから救った?のが魔王
でも、インキュバスとしてアルフォンスを狙ってた訳で・・・・・
うがーーー!!
意味がわからん!!
私は頭を掻きむしり悶えた
「ぷっ・・・・・、すまない」
それを見ていたアルフォンスは笑っていた
「もう!アルフォンスさま、何がどうなってるんだか」
私は膨れっ面をして目の前のパンを手に取りプチプチちぎる
「なんにしても、狙いはわたしだ。ファナは何とか無事に帰してもらえるようにするよ」
「アルフォンスさま・・・・・」
「確か同じ位の歳だ、アルと呼んでくれないか?」
アルフォンスはテレながら言うと少し頬を染めてニコッと微笑む
私はなんだか嬉しくなった
なごやかムードだったが次の瞬間一変した
アルフォンスの表情は固く緊張し、朝食を食べようとしていたナイフとフォークを下ろし部屋の入口を睨む
コツコツコツ
足音が近づいてくる
「魔王がきた・・・・・」
アルが呟いた
ガチャ、ギギ・・・・・
「おはよう。よく眠れた?」
昨日のインキュバス、美少年が微笑を浮かべ現れた
まぁ、魔王らしいが・・・・・
「そんなに警戒しなくてもいいよー」
魔王は私達の食事が並んでいるテーブルの椅子に腰掛け、フルーツの苺を摘み口に頬張った
私達はその様子を静かに見守っていた
魔王は唇についた苺の果汁を指先でとりペロリと舐めると静かに語り出した
「賭けをしてるんだよ」
「賭け?」
「そう、魔術師ゼロとね。エドが君の事が好きだと言い出してね・・・・・」
エド?
私はわからないのでアルを見ると顔が青ざめている
「エドリクス殿下が?」
「僕がいるのに、酷いと思わないかい?」
ちょっと待て待て!魔王と王子が恋仲って事??
変な汗が出てきた
「騎士団長アルフォンス、君はとても真面目で堅物らしく僕のエドには興味がないらしい。ゼロは君とエドをくっつけたいみたいでね。一昨日、僕とゼロどちらが君を捕まえるか賭けたんだよ。月光の日、つまり明日の0時に君を捕まえていた方が勝ちってルールでね」
魔王はもうひとつ苺を摘み、口に入れた
魔王の説明を聞いて、私は呆れていた
アルは頭の中で魔王の言葉を理解出来ない様子だ
「王都を破壊してでも君を捕まえようとしたらさ、まさかの邪魔が入ってねーシュリナって言ったかなーゼロの弟子の。彼女が邪魔をしてくれちゃって。まあ、結果ここに捕まえられてるから、ボクが勝ちそうだよ」
魔王は立ち上がり、アルに近づき右手で優しく頬をなぞる
アルは私には感じられない圧倒的な魔力の圧力を感じ動けない
「賭けが終わったら、君は僕の餌になってね。ちょっと味見したら、あまりに美味しくって・・・・・」
魔王は今にもアルを捕食しようとする獣の目をしている
アルは怯えた瞳を一瞬したが、目を閉じゆっくりと開けた
「か、彼女ファナは・・・・・関係ないだろう。帰してくれ」
「アル・・・・・」
こんな状況でも私を庇うなんて、心が締め付けられた
魔王は私をみて、少し考える
「面白いんだよね・・・・・お姉さん。ボクと友達になって欲しいなー」
「はぁ?」
私は不愉快な顔をした
冗談じゃない、こんな自分勝手な奴(魔王)と友達なんて
こういう奴は姉ひとりで十分だ
「じゃあ、アルを逃がしてくれたら友達になってあげてもいいわよ!」
私が偉そうにふんぞり返ると魔王とアルは驚いた顔をした
「あははは!参ったな~でも、逃がすのは駄目だよ。賭けが終わったらどうするか考える。おっと、戻らなきゃ、また来るね!」
笑いながら魔王は帰って行った
「ファナって、変わってるな・・・・・」
呆れた顔で私を見ていた
昔から、物怖じしない性格なのですよ
あんな姉や兄に比べれば普通ですよね?
さて、これからどうしよう・・・・・
このまま、大人しく0時になるのを待つしかないのか
基本主人公は巻き込まれ体質なのかな・・・・・