感謝の贈り物(後編)
「ガーラントさんの部下の方は今村長の家に居るみたい、挨拶が済み次第こちらに向けて出発するらしいわ」
フィリエルさんは扉を閉めてこちらへ振り返る。
さっきの扉を叩く音は村の人が到着を伝えにきてたのかな。
「ふむ、それでは外にでるかのう。 出迎えた方が相手も嬉しかろう」
室内を見回しながら言うレリックさんに小さく頷いて返した。
外に出ればお日様が出迎えてくれ、レリックさんは眩しそうに目を細めている。
「到着する前に起きれて良かったのう」
「むぅ……そんな事を言うレリックさんには僕が一生懸命作ってた物はあげないもん」
さっきの出来事を蒸し返され、面白くない僕は頬を膨らませてそっぽを向く。
……でも本心は受け取って喜んで欲しいという期待で一杯で拗ねた振りをしているだけだったりする。
「それは困るのう……昨日から楽しみにしておったのに」
いつもとは違う声色に、慌てて振り向いてみれば、今まで見た事がないくらいに落ち込んだ様子のレリックさんの背中が見えた。
「じょ、冗談だよ。 レリックさんに渡さない訳ないでしょ」
慌てて前言撤回してレリックさんの正面にまわると楽しそうに微笑む顔が見え、
「リーラが拗ねた振りをしたからわしも落ち込んだ振りをしてみたのじゃ、中々うまいもんじゃろう?」
その一言に、経験の差から役者が一枚上である事を思いしらされた。
「わしは何が貰えるのかのう?」
興味津々といった感じで僕に尋ねる。
「それなら、僕が耳元で囁けるぐらいの高さまで屈んでもらえるかな?」
「これぐらいかの?」
僕の要求通りの高さまでレリックさんの身体が下がってきた所で、別の感謝の仕方を思いつき、今までの感謝の気持ちとこれからもお願いしますの意とちょっとだけさっきの異種返しの気持ちを込めて頬に軽くキスをする。
「ふむ? これはこれで嬉しいが準備に時間が掛かるとは思えないんじゃが?」
「これはレリックさんにだけの特別だよ」
腑に落ちない様子のレリックさんに何時もフィリエルさんがするのを真似てウインクをする。
「そう言われると悪い気はせんのう」
満更でもない感じのレリックさんを見ながら、ポーチから取り出した巾着を首にかける。
「僕が一生懸命頑張って作った物だよ」
レリックさんは僕の言葉から、かけられた巾着を手にして、
「ふむ……これは」
紐を緩めて巾着の中を覗いて目を見開く。
「僕の魔力を込めた物は身につけているだけで安らげるから……長旅にいいかなって作ったの」
無言のまま、巾着の中を見つめるレリックさんにおそるおそる作った理由を説明し、レリックさんを見上げるようにして反応を待つ。
フィリエルさんは喜んでくれたから大丈夫だと思うけど……それに駄目な時は止めるって言ってたからその時は諦めるしかないかな。
「これを作っておったから眠ってばかりいたんじゃな」
「といっても、巾着はフィリエルさんが作ったし、宝石はアルゴさんにお願いして分けて貰った物だよ」
どこか納得した様子のレリックさんに、自分の力だけで作ったものでは無いことを伝えると、
「宝石なんて金を出せばすぐ手に入るさ」
「巾着も材料さえあればすぐ作れるものよ」
二人は大したことはしていないと謙遜する。
「え……でも」
少なくとも僕には出来そうに無いことなだけに、小さく不満の声を上げると、
「魔力を込めることはリーラにしかできない事だからじゃよ」
頭から手の平がのせられた感触が伝わり、見上げると同時に嬉しそうに微笑むレリックさんによって優しく撫でられる。
「リーラの事じゃから、わしにだけ渡すという事はないのじゃろう?」
心地よい感触に目を細めながら、レリックさんの問いかけに小さく頷いて返す。
「シェリーさん、アルゴさん、ガーラントさんと……ここに来る部下の人達に渡す予定だよ」
「母上には無いのか?」
レリックさんへの解答を言い終えた直後、納得が行かない感じの表情でシェリーさんから尋ねられる。
僕の解答にフィリエルさんの名前が無いことを不思議に思ったのかな?
「私は最初に貰ったのよ。 キスを貰えなかったのはちょっと残念だけど」
フィリエルさんが悪戯っぽく笑いながらシェリーさんに答える。
「それは父上にだけらしいからな、仕方ないさ」
苦笑いで言うシェリーさんに、ガーラントさんとアルゴさんも同意するように頷いていた。
レリックさんにだけと言った手前、お願いされたら断らなければいけないと思っていたから、お願いが来ないことに安堵した。
レリックさんにお願いしたように、シェリーさん、ガーラントさん、アルゴさんの順に屈んで貰ってお守りを首に掛けていく。
「父上と母上ならともかく、私が貰っても良いのだろうか?」
「本当に私が貰っても良い物なのでしょうか?」
「まさか、こうして帰ってくるとは思ってなかったぜ、ありがとうな」
困惑する夫婦と満面の笑みで礼を言うアルゴさん。
「え、えっと僕からの結婚祝いだと思って受け取って」
二人の様子を見て、慌てて何か言わなきゃと思って出た言葉がそれだった。
思いつきで言ってしまったけど……僕からお祝いは渡して無かったと思うからいいよね。
「しかし……」
まだ自分の物とする事に躊躇う素振りを見えるシェリーさん。
「シェリーは嬉しくないのか?」
怪訝な顔で問いかけるレリックさんに、
「気持ちはすごく嬉しいのだが……」
歯切れの悪い答えを返す。
「それとも何か受け取りたくない理由があるの?」
続いてフィリエルさんが質問の内容を変えて問いかける。
「これを貰っているだけに……な」
シェリーさんは申し訳なさそうに胸元からネックレスの宝石の部分を取り出す。
「そういうことね」
フィリエルさんはそれを見て納得したように表情を緩める。
そっか……シェリーさんに直接は渡してないけど、僕からも貰ったようなものだから遠慮しちゃってるのかも?
「遠慮する気持ちはわかんでも無いが、どちらもシェリーの為にリーラが魔力を込めたことには限りない物じゃからな。 気持ちよく受け取りなさい」
レリックさんに優しく言われ、シェリーさんは頷いた後、
「……父上の言うとおりだな。 ありがとう、大事にする」
僕へ柔らかい微笑みを向けてくれた。
「レリック殿の言うとおりですね。 私達への気持ちのこもった結婚祝い、しかと受け取りました」
ガーラントさんは小さく頷いた後、巾着を握りしめて胸に当てると、表情を引き締めて深く頭を下げた。
「大袈裟に見えるかもしれんが、ガーラントが一番価値に見合った礼の言い方をしているのかもしれんのう」
レリックさんは自分の髭を撫でながら苦笑いで言い、
「そうね。 私達はリーラちゃんの意を汲んで素直に喜んでいるけど、レリックの言うとおりガーラントさんの行動が一般的よ」
続いてフィリエルさんが微笑みながら補足してくれた。
目を丸くした僕の心を見透かしたような二人の説明によると、僕から見ればガーラントさんは大袈裟に受け取っているように見えるけど、巾着の価値を考えれば、正しい事みたい。
でも……最終的に皆喜んでくれたみたいだから僕としてはやって良かったと満足かな。
ポーチの中に入っている残りを見つめながら、部下の人達も喜んでくれるかな。
そんなことを考えているうちに、土を踏みしめる音が聞こえてくる。
「来たようじゃな」
レリックさんが言うとすぐに、正面の下り坂から、一人、また一人と人の頭が現れる。
以前、ここに来た時のように、全身を包む金属の鎧をまとっていて、一歩、また一歩と進む度に金属のこすれる音が聞こえてくる。
近づく度にその音は大きくなり、四人目が見えた時に小さな違和感を感じたけどそれは直ぐに解消される。
四人目、五人目は軽装で二人で一つの荷物を載せたリヤカーを引いていた。
前を歩く三人は僕達から少しだけ離れた場所で止まり、後方の二人の到着を待ち、揃った所で中央の一人が一歩前へ出る。
「出迎えて頂きありがとうございます。 隊長の要請により、レリック様が戻られるまでこちらの守備に着かせて頂きますグレイ以下四名、本日着任致しました」
張り上げるような声で説明するグレイさん。
「そう堅苦しい挨拶は必要ない、遠路はるばるご苦労だった。楽にすればよい」
応えるようにレリックさんが声をかけたけど、「はい」と威勢のよい返事返すけど同じ姿勢のままで、
「ガーラントさんの部下らしいわね」
それを苦笑いで見るフィリエルさんの一言に僕は思わず頷いてしまった。
その後荷降ろしや、水を汲む場所、今までに魔物が出てきた場所や備えの確認で日が暮れてしまった。
夕食の準備はフィリエルさん、シェリーさん、ガーラントさんで行うみたい。
僕も手伝いたかったけど……。
「まだ本調子ではないのだろう? 私たちに任せておけ」
シェリーさんにやんわりと断られ、
「それにリーラはまだやる事があるだろう?」
ポーチを指さされてハッと気付く。
そうだった……隊員さん達にまだお守りを渡せてないんだった。
さっきまでのやり取りを思い出しながら部屋の中を一望する。
人数が約二倍に増えたので、別の部屋のテーブルを持ってきて並べている。
そのテーブルについて、雑談というよりは情報交換をしてるみたいで、聞いたことも無い地名に、地図をなぞる指。
時折僕の名前が出て、難しいかもしれん、いけるじゃろう等聞こえる度、僕の為に道順が変更されているように感じて、申し訳ないという想いが増していく。
「リーラちゃんどうした? 思い詰めたような顔してるぞ」
アルゴさんに唐突に声を掛けられ、どう返して良いのかうまく思いつかず、「え、えっと……」そう返すだけで答えに詰まってしまう。
僕の為にやってくれている事が原因だなんて言えないし……。
黙り込んでしまった僕を見て、何かを思いついたのかアルゴさんはポンと手を叩き、レリックさんの耳元で囁く。
それを聞き終えたレリックさんは小さく頷いて、グレイさんに向き直る。
「グレイよ、一度外に出て横に並んで貰えるかの」
「?……わかりました」
レリックさんの要請に、首を傾げながらも承諾するグレイさん。
アルゴさんはレリックさんに何を言ったのかな?
黙り込んでしまったことへの追求が無いことにホッとしているものの、外でする事の意図が掴めなくてグレイさんと同じように首を傾げてしまった。
レリックさんの要請により、グレイさん達五名は横一列に気を付けの状態でビシっと並んでいる。
「再び出て貰ってすまんのう」
「特に問題はありませんが……何を始められるのです?」
何をするのかピンと来ない様子のグレイさん達と僕。
「わしではなくリーラがお主達に用事があるのじゃよ。 さっきお主達に言われたことに取り乱してしまったからのう」
「私達に……ですか?」
レリックさんはそう言いながら僕へ振り向いて微笑み、グレイさん達は申し訳なさそうに僕を見ていた。
急に話の中心へ入れられ、自分を指挿して目を丸くしてしまう。
そこに、肩へ手の平を乗せられた感触に振り向くと、
「さっき落ち込んでいたのはお守りを渡す機会を逃しちまったからだろう?」
爽やかな笑顔で言うアルゴさんに、それもあるけど違うとは言えなかった。
渡さなきゃと思っていたのは事実だし、僕を気遣ってくれることはすごく嬉しいからね。
……荷降ろしや、色々な場所への案内の前にこんな事があったのだ。
挨拶が終わった所で、グレイさんと他の隊員さんが僕の目の前に来て一斉にひざまずき、
「リーラ様のおかげで前回の討伐は大成功に終わりました。 こちらへ戻ってきた時に目覚められておられなかったので、改めてお礼を言わせて頂きます」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
グレイさんが代表して話し、最後に五人で一斉にお礼を述べる。
急に様付けで呼ばれて大音量で一斉に言われ、混乱しかけて後退りしそうな僕は、
「ほらほら、しっかり応えてあげないと駄目でしょ」
にっこりと微笑むフィリエルさんによって後退り出来ないように背中を支えられた。
「ぼ、僕の方こそチョコレートなんて高級な物をもらっちゃって……すごくすごく美味しかったよ」
焦りながらもなんとか応えると、
「隊長から聞いております。 泣かれる程喜んで頂いたそうで……それに可愛らしい小話のお土産を皆楽しく聞かせて頂きました」
グレイさんは嬉しそうに話し、僕に微笑みかけてくれる。
……可愛らしい小話ってなんだろう?
心の中で首を傾げ、思い当たる要因を記憶の中から探っていく。
ガーラントさんからの小話のお土産……頭の中で繰り返しながらガーラントさんと話したことを一つ一つ思い出していく。
「あっ……」
小さく呟いて、ガーラントさんがチョコレートを持ってきてくれた日の事を思い出す。
突っ伏した僕とその日の出来事を語るレリックさんへ耳を傾けるガーラントさん。
……つまり、グレイさんの言う可愛らしい小話というのは、誤ってお酒を飲んだ僕の行動のことで……。
事実に気付いた僕は顔に熱が集まって行くのを感じ、
「あうぅぅぅ……」
両手で顔を覆い、その場にへたり込んで頭を抱えてしまう。
正直、叫びながら転がってしまいたったけどなんとか堪えた。
その後、ガーラントさんから「本人の前で言うなと言ったはず」と叱りつけ、グレイさんは「再び会う事が出来た嬉しさでつい言ってしまった」そう言いながら僕に謝っていた。
結局、この事を知らなかったシェリーさんとアルゴさんにも知られる事になり、穴があったら入りたい気持ちで一杯になった。
記憶に新しい出来事を思い出し、頭を抱えたくなる衝動をぐっと堪える。
アルゴさんとレリックさんが用意してくれた機会を逃すわけにはいかないからね。
「リーラ様?」
声をかけられてハッと見直せば、いつの間にかグレイさん達はひざまずいていた。
大仰に感じちゃうけど、グレイさん達にとってはこれが普通なのかも。
大きく息を吸い込んで、何とか心を落ち着かせ、
「留守を守ってくれるグレイさん達に、僕が作ったお守りを渡すね」
駆け足気味に一息で言い切る。
「わ、私達にですか?」
驚いたように返事をするグレイさんに僕は頷いて返す。
取り出した巾着を一人、また一人と首にかけていく。
一人一人がかけられた巾着を手に取り、驚いて僕を見返す。
「こ、これを私達が貰っても良いのですか?」
グレイさんが代表して確認をとるように尋ねられたので、頷いて返そうとした矢先、
「わしらが留守の間だけ貸すと言うことにしてくれんかの」
レリックさんが口を挟む。
「レ、レリックさん?」
思いも寄らぬレリックさんのお願いに思わず声を上げてしまう。
「まず話を聞くんじゃ。 それで納得出来ないのならば、その時にわしに言えばよい」
穏やかな口調で言われ、レリックさんの言うことだから何か意味があるはず、そう思いかけてふっと以前言われた事を思い出す。
僕が自分から魔法を使うことは止めないが、良くない方向に行きそうな場合は止める。
その事を思い出して口を閉じた。
「例えば、その巾着を持って帰ったグレイが急死したとする。 遺品は家族の元へ届くじゃろう。 何も知らない家族が巾着の中身をみたらどうなる?」
「……成る程、レリック様の危惧されている事がよくわかりました。 私共はお借りできるだけで十分です」
レリックさんの例え話にグレイさんは理解を示し、他の隊員さんも頷く事で同意を示していた。
もしお金に困って売り払ってしまったりしたら困るってことだよね。
以前、売ってお金にする事を口にして怒られた事を思い出す。
「正直、取り上げてしまうようで心苦しいが、わしらが戻って来た時にはわしが武器を作り、フィリエルが属性を入れた物をそれぞれに渡してやろう」
レリックさんはグレイさん達に代わりの物を用意することを提案すると、
「お気持ちは嬉しいですが、このお守りをお借り出来るだけで十分です」
その申し出を丁重に断っていた。
折角だから、作って貰えばいいのに……。
「リーラちゃんには難しいかもしれねえが、この場合断るのが正解なんだぜ」
考えている事を見透かしたような言葉に首を傾げる僕を、アルゴさんは苦笑していた。
今までにない大人数での夕食がはじまり、テーブルの上には二つの大皿があり、片方には蜂蜜バターの白いパン、もう片方には大蒜バターの黒いパンが積まれていて、その真ん中に深底の大きな鍋にたっぷり入ったスープがあり、大容量の夕食に「わぁぁ……」とかすれるような小さな声を上げた。
「隊長はこちらに来られるときはいつもこんな感じなのですか?」
黒いパンをひとつ手に持ちながら尋ねるグレイさん。
「そんな事はない。 普段は焼いただけの黒いパンにこれより野菜の種類を減らしたスープのみだ」
ガーラントさんはいつも僕やフィリエルさんに接する時とは違い、厳しい口調で返す。
接し方の違いに戸惑いそうになるけど、上司と部下になるから仕方ないのかな。
「その通りね。 リーラちゃんと暮らすまではそんな感じだったわね」
フィリエルさんがガーラントさんに同意する。
僕の為に食事を豪華にしてくれてる事を知ったときに落ちこんだ事も懐かしく感じちゃうのはそれだけ長くここに居るからなのかな。
二人の会話からぼんやりとそんな事を思い出していた。
「一応、食料に関しては村のお店に頼んでおいたから定期的に取りに行ってね」
「わかりました。 お気遣い感謝致します」
フィリエルさんは思い出したように必要となることを伝え、グレイさんは深く頭を下げてお礼を述べた。
「明日ここを立つ予定じゃが……まだ聞きたいことはあるかの?」
「大丈夫です。 十分過ぎる程のお気遣いを頂きました」
レリックさんからの質問にグレイさんは小さく首を振った。
「ふむ……おおそうじゃ、お主達の使っていた荷車をわしらが使ってもよいかの?」
「必要であればどうお使い下さい」
ふっと思いついた感じのレリックさんの要望をグレイさんは快諾した。
いつもより賑やかに感じた食事は終わりを告げた。
寝室へ行き、フィリエルさんと一緒にベッドに横になる。
「明日……出発するんだね」
レリックさんとグレイさんのやり取りを思い出して呟く。
「そうね。 やっぱり不安を感じちゃう?」
「うん……目的地はわかるけど、そこまでの道のりが想像もつかないからね」
僕を案じるフィリエルさんの言葉に、小さく頷いて思っていることを話す。
心配を掛けまいと強がっても、今までの経験から逆効果になっちゃうからね。
「そっか、リーラちゃんにとっては初めての長旅になるものね」
フィリエルさんは目を細めて理解を示し、
「大丈夫、皆一緒に行くのだから寂しくは無いはずよ」
僕を優しく抱きしめてくれる。
ここに来て何度も抱きしめて貰ってるけど、これが僕を落ち着かせたり、安心させる一番良い方法なのかな。
伝わる温かさにそれを実感できる。
「明日へ疲れを残さないようにしっかり眠ってね」
続いて手櫛によって梳かされる心地よさに、緊張して眠れないかもと思っていた僕の心配は、意識を手放すことによって杞憂に終わった。
読了感謝です