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解けぬ誤解

翌日。

目を覚ますと、隣にはもうフィリエルさんは居なくて、慌てて起き出して行く。

……食事の準備がすでに終わっていて、僕が最後にテーブルにつく。

今日も寝坊して手伝えなかった事にがっくりと肩を落とすと、

「おはよう、良く眠れたみたいね」

フィリエルさんが微笑みながら挨拶をする。

「どうした朝からえらく沈んでいるな?」

不思議そうに僕を見つめるシェリーさん。

「おはようございます……今日も手伝えなかった」

手伝うって決めてから二日連続で手伝えてない事に悲しくなり俯いてしまう。

「うん? 昨日は父上の手伝いをしっかりしてたと思うが」

首を傾げながら言うシェリーさんの言葉に、

「シ、シェリーさんが来る前にも寝坊した日があったから」

僕は慌てて言い訳を並べて様子を窺う。


「昨日、一昨日と色々な事がありすぎて疲れただけだろう、父上も母上も寝かせておこうと言ってたしな」

「でも……僕からやりたいって言った事だから」

シェリーさんからの僕の言い訳への追求はなく、寝坊は気にするなという風に言ってくれたけど……昨日レリックさんを手伝ったのはフィリエルさんなので、僕は昨日も今日も寝坊しちゃった事になる。

シェリーさんには言えないけど……。

「次を頑張ればいいさ」

シェリーさんはぽんぽんと僕の頭の上に手のひらを乗せるように叩くと、

見上げる僕に微笑みかける。

「寝坊したのは私と夜話したせいだろう、すまない」

二人には聞こえないように耳元で小さくささやく。

僕が興味本位でシェリーさんの後を追ったわけだから気にしなくっていいのにね。

でも、会って間もない僕を気遣ってくれる事は嬉しかった。

「前も言ったが徐々に慣れていけばよいんじゃよ、朝は駄目でも昼夜は確実に出来るじゃろ?」

レリックさんの言葉に頷くと、

「それじゃ、お昼は手伝ってね」

ふんわりとした笑顔でフィリエルさんに言われ、再度頷いた。


「はい、リーラちゃん」

何時ものようにパンを手渡してくれるフィリエルさん。

そして食事が始まって少しすると、レリックさんとシェリーさんが僕とフィリエルさんを交互に見る。

どうしたのかなと手を止めると、

「二人ともどうしたの?」

フィリエルさんにが不思議そうに声を上げる。

僕も同じことを考えていて、何か可笑しいところがあったのかなと少しだけ考え込む。

「なんというかのう……」

「母上とリーラのパンの食べ方があべこべになってるんだ」

苦笑いしながら返答する二人に、

「「あっ」」

フィリエルさんと僕は同時に声をあげてしまう。

「リ、リーラちゃんがいつも美味しそうに食べてるから試してみたの」

「ぼ、僕も時にはフィリエルさんみたいにゆっくり食べてみようって」

昨日は気をつけたのに、昨日と同じ食べ方をしていたので、二人一緒に慌てて言い訳を並べる事になる。

僕だけじゃなくてフィリエルさんも一緒にやってしまうなんて……元に戻って安心しきっていたのかな?

フィリエルさんへ視線を向けると困ったような笑顔を返してくる。

「そうか、たまには気分を変えるのも良いかもしれないな」

なるほど、といった感じにシェリーさんが言うと、

「二人同時にやるでない、何かの悪戯かと思うではないか」

レリックさんはやれやれといった感じに深く溜息をつく。

シェリーさんが帰ってくる前に起きた……というより僕が起こした騒動を思い出しているのかも。

「「あはは……」」

前科というか同じような事をやってしまっている為に僕とフィリエルさんは乾いた笑いを漏らすしかなかった。

シェリーさんが居る手前、入れ替わったままかどうかを確かめるにもいかないからね。

でもその辺りは、戻った事をフィリエルさんが伝えてるよね。


結局、そのままの食べ方で朝食は進み、

「食事の後に出発しようと思う」

シェリーさんから思いがけない言葉が告げられる。

「急すぎるのう、まだゆっくりすればいいじゃろうに」

「まだ返ってきて少しじゃない。そんなに急ぐ事なの?」

レリックさんとフィリエルさんは反対みたい。

二人の様子からすると、何時もは長く滞在してるのかな?

「すまない、気持ちが固まっているうちにガーラントにぶつけようと思う……他にも聞きたい事ができたしな」

シェリーさんの真剣な面持ちの中に決意が表れているみたい。

聞きたい事って多分昨日の夜の事だよね……事情を話せないから誤解されたままかも。

ごめんなさい、誤解解くの頑張って……。

ガーラントさんがこれからすると思われる苦労に心の中で謝るしかなかった。

「聞きたい事って何かしら?」

フィリエルさんが首を傾げながら疑問を口にする。

「すまない、その事は戻ってきたときに話すから今は聞かないでほしい」

シェリーさんは軽く頭を下げてお願いする。

「ふむ、娘に頭を下げられては聞くわけにはいかんな」

「いいの? 何か突拍子もない事をするかもしれないわよ?」

仕方ないと引き下がるレリックさんをフィリエルさんは不満そうにして口を挟む。

「そうじゃのう、フィリエルの血を引いているからありうるかもしれん」

レリックさんは顎に手を当てて考え込むような仕草をする。

「レリック!」

フィリエルさんが抗議するように名前を呼ぶと、

「昔、この前のリーラと同じ事をしたのを忘れたか?」

「もう何十年も前の事でしょ……」

レリックさんの一言にフィリエルさんは俯いてしまう。

僕もあの時のことを思い出すと申し訳なくなっちゃうから、フィリエルさんも同じなのかな?

「父上、その事を詳しく教えて欲しいのだが」

興味深そうにシェリーさんが言うと、

「そうじゃのう、ガーラントに会って戻ってきたら教えてやろう。 シェリーもその時に話があるみたいじゃからのう」

レリックさんはそこで区切って咳払いを一つする。

「これでお互いに聞きたい事が出来たじゃろう? わしらに伏せている事を気にせずに行って来なさい」

シェリーさんはその言葉に納得したように、

「父上にはかなわないな……わかった、どうなるか分からないが頑張ってくる」

苦笑いしながら頷いた。


食事が終わると、シェリーさんは身支度を始めだす。

その準備の邪魔にならないように、寝室でフィリエルさんと待つことに。

誤解を与えてしまって、解く事もできなかったから……僕に何か出来ないかなと思って考えていると、

「リーラちゃん難しい顔して何考え込んでいるの?」

気が付けばフィリエルさんの顔が目の前にあって……驚いて後ろに倒れそうになったところを支えられる。

「そんなに驚くなんて、何を考え込んでたの?」

フィリエルさんは苦笑しながら僕に問いかける。

「シェリーさんに何か出来ないかなって思って」

「シェリーに?」

名前をオウム返しして僕を見つめ返す。

「うん、告白って勇気のいることだと思うから……」

「そうね……両想いみたいだから大丈夫だと思うけど」

フィリエルさんが考え込むように少し俯く。

レリックさんとの時はどっちが告白したのかな……ちょっと気になったけど今考える事じゃないよね。

でもお互いが信頼できて一緒に居ると安らぐような人じゃないと……あ、心安らぐものならもしかしたら……。

「僕の魔力を込めれそうな宝石ってないかな?」

「無い事はないと思うけど……どうして?」

フィリエルさんは僕の言葉に首を傾げて聞き返す。

そうだよね、普段宝石の事を全く口にしないから……普段の生活に必要ないしね。

「えっとね……僕の魔力を込めた宝石って温かさを感じられから……お守り代わりにシェリーさんに渡せないかなって」

「シェリーの事を考えてくれるのは嬉しいけど……いいの?」

ちょっと躊躇いがちに僕へと問い返す。

僕の魔力の事を言うかどうかを気にしているのかな?

でも、それは今回は気にしなくていい事、いつかは言わないといけないと思うけど。

「うん、僕が魔力を込めてフィリエルさんがあの十字架に魔力を込めた人に貰ったって言えば大丈夫」

「そうね……それならシェリーは喜んで受け取ってくれそうね」

僕の言葉にフィリエルさんは成程といった感じに頷く。

思い付きみたいなものだけど、この方法なら多分シェリーさんも納得して受け取ってくれるよね。

「そうと決まったら、魔力を込める宝石ね……」

フィリエルさんは思案顔になりしばらく考え込んでいると、何かを思いついたように首の後ろに手を回す。

何かを取ろうとしてるのかなと見ていると、両手に何かを紐みたいなものを摘んで、両手を合わせるようにして、手のひらに取り外したものを広げる。

銀色の紐を目で追っていくと真ん中に透明な宝石と思われるものが付いている。

「この宝石って……」

「そうね、こないだリーラちゃんが魔力を込めた宝石と同じダイヤモンドよ」

しげしげと見つめる僕にフィリエルさんはにっこりと微笑む。

「これはね、私とレリックが夫婦になるときに、ドルゴさんとロレンスさんに頂いたものなの」

フィリエルさんが由来を説明する中で聞いた事の無い名前の人があがる。

一人の名前が僕の知ってる人で毛の無い職人さんの名前にすごく似ているのが少し気になって、

「ドルゴさんってもしかして……」

「リーラちゃんの思っている通りアルゴさん身内でお祖父さんよ。 ロレンスさんはガーラントさんのお父さんなの」

お祖父さんなんだ……アルゴさんとは知り合いとは言ってたけど、昔からの付き合いなんだね。

「でもこれって……大切な物なんでしょ?」

思い出も詰まった記念の品に僕が魔力を入れていいものかと途惑ってしまう。

「気にしなくてもいいのって言っても無理かしらね」

フィリエルさんは困ったような微笑を浮かべながら、ネックレスを僕に手渡すと、

「シェリーが生まれたときから決めてたのよ、この子が結婚する時に持っていかそうってね。少し早いけど……両想いみたいだから先祝いみたいなものね」

僕へと微笑みかけ「お願いね」と一言。

「でもそれなら……フィリエルさんが魔力を込めた方がいいんじゃないかな?」

魔力を込める事に躊躇する僕に、フィリエルさんは首を横に振る。

「今からだと、私の魔力では間に合わないのよ……それにリーラちゃんの折角の提案に答えれそうなものはこれしかないの」

フィリエルさんは僕の改めて出した提案が難しい理由を説明すると、

「親としては、娘によりいい物をあげたいのよ」

笑顔で言われ、僕の戸惑いが取り除かれていく。

それだけ僕を信頼してくれているってことだよね。

「わかった……始めるね『ブレッシングマテリアル』」

精一杯信頼に答えよう、その想いを胸に魔法を唱える。

魔力を持っていかれる感覚は心地よくないけど、それ以上に僕を信頼して任せてくれる事が嬉しくてそれ程気にならなかった。

しばらくすると、宝石の部分だけ白いもやが宝石の部分への視界を歪めるようにかかる。

宝石から感じる温かさは十字架を作る時に魔力を込めたダイヤモンドと同じかな。

「これでいいかな?」

フィリエルさんにネックレスを手渡すと、それを手に満足そうに僕に微笑む。

「リーラちゃんありがとう」

フィリエルさんの言葉にうまくいったかなとホッすると共に眩暈を覚えて、体に力が入らずその場に座り込んでしまう。

入れ替わりで消費した魔力まだ回復しきってなかったかな……。

「リーラちゃん?……まさか」

「あはは……魔力がちょっと足りなかったかも」

その様子にフィリエルさんは目を見開き、僕は誤魔化すように乾いた笑いを漏らす。

見開かれた目は次第に閉じられていき、鋭い視線に変わると僕に突き刺さる。

その視線に耐えられなくなって、僕は肩を落とす。

「ごめんなさい」

俯くようにして謝ると、視線が穏やかなものに変わる。

「どうして無理しちゃうのかな」

溜息混じりに言うフィリエルさんに心配かけてしまったかなと申し訳なくなり俯いてしまう。

「シェリーの為を想ってしてくれた事なのだから、怒るに怒れないじゃない」

少し呆れたような声が聞こえ、背中を押すように力がかかったかと思うと、強く抱き締められていた。

「困った子ね……」

ホッとするような心地よさに、しばらくなすがままに抱き締められていると、

「どうした、リーラは調子でも悪いのかの?」

レリックさんの声がするので見上げてみると、フィリエルさんの後ろから覗き込むように僕を見ている。

「えっと……」

事の顛末をレリックさんに説明すると、

「ふむ……シェリーの事を想ってしてくれた事は嬉しいが、いつの間にそれ程の事をさせる関係になったんじゃ?」

納得いかない様子でレリックさんは僕に問いかける。

「それは……」

僕は言葉に詰まってしまう。

シェリーさんに与えてしまった誤解へ罪滅ぼしに近いものだけど……昨日の夜シェリーさんと話したことはいえないし、誤解を解くには魔法の事を話さないといけない……。

両方に対して隠さないといけない事が僕を板ばさみにする。

「そんな顔するでない、後でわしの質問に答えればよい」

表情に出てたのかな? レリックさんは僕に困ったような表情で言う。

「フィリエル、ちょっとリーラから離れてくれるか?」

「分かったわ」

フィリエルさんは僕への抱擁を解くと同じくらいにレリックさんが僕に近づく。

体に触れたかと思うと僕を急に抱き上げ、お姫様抱っこをされてしまう。

どういって言いかわからずに沈みかけていた僕の感情は一気に驚きに変わり、目を見開いてしまう。

「魔力の使いすぎで立ち上がれんのじゃろう?」

「うん……」

やれやれといった感じにレリックさんに言われ、僕は力なく頷く。

「シェリーを見送りにいくかの」

レリックさんは僕を抱えたまま歩き始める。

「このままで……?」

「仕方ないじゃろ、リーラをここに残してフィリエルと二人で見送っても、シェリーが気にしてしまうじゃろう?」

僕の質問にレリックさんは苦笑しながら答える。

「皆で気持ちよく見送ってあげないと、リーラちゃんはその方が楽でしょ?」

「そ、そうだけどシェリーさん変に思わないかな……?」

フィリエルさんの言葉に頷きながらもこの状態で見送りなんて少し恥ずかしいので、やんわりと聞いてみると、

「大丈夫じゃ、わしに考えがある」

楽しそうに僕へと微笑むレリックさんを見て、この状態での見送りが確定した事を確信する。

あうあう……こんな状態で見送りなんてやだよぉ。

心の中で恥ずかしさを必死に抑えていると、キィとドアの開く音が聞こえ外へと出ると、シェリーさんが来た時と同じ姿で佇んでいるのが見える。


「待たせたの」

「大丈夫だ、そこまで焦って行く事でもないしな」

レリックさんの声に反応するようにシェリーさんの視線がこちらに向くと、

「顔色が良くないようだが大丈夫か?」

僕の顔を覗き込むようにジッと心配そうに見る。

「ちょっと寝不足かも、シェリーさんを見送ったらしっかり休むから大丈夫」

精一杯の笑顔を作って返すと、シェリーさんの視線が厳しくなる。

あうあう……やっぱり無理してるのがわかっちゃうのかな。

「わしに甘えるようにして平気な事をアピールするんじゃ」

レリックさんは僕にだけ聞こえるように小さく囁く。

意図は掴めないけど僕が弱っている事をそれで誤魔化せるならと、レリックさんの首に両腕を回して肩へともたれる様にする。

力が入るならぎゅっと抱き締めるようにして甘えた振りを出来るんだけど今の僕にはこれが精一杯。

シェリーさんから注がれる視線が強くなった気がする……もしかして逆効果?

レリックさんに言われる通りにしたつもりだけど何か間違えたかな。

少し不安になるけど、レリックさんは「それでよい」と言ってくれた。

「久しく私もやってもらってないのだが……」

ポツリと呟くように言うシェリーさん。

もしかして僕を射抜いていた視線の理由は自分もしてもらいたかったからなのかも。

フィリエルさんも以前「ずるい」って言ってたし僕が今居る場所は特別な席なのかな?

「それを要求するのはわしではなくガーラントにするのじゃな、特等席を用意してくれるじゃろ」

レリックさんの言葉にシェリーさんは少し肩を落とす。

昨日の誤解が解けないままだから自信がちょっと無いのかな。

「もし駄目だった時は……父上に要求してもいいか?」

「そんな考えでどうするんじゃ……駄目だった時は駄々甘に甘やかしてやるが、手抜きをしてはならんぞ」

レリックさんは少し呆れながらも、シェリーさんを気遣う言葉をかける。

「わかった、精一杯想いをぶつけてくる」

その言葉がシェリーさんの表情を明るいものに変える。

駄目だった時はしっかり慰めてくれるという父親の言葉がすごく嬉しかったのかな?

そのやり取りを目を細めて見守っていたフィリエルさんがシェリーさんに近づいていくと、

「少しの間じっとしていてね」

シェリーさん首を抱くように両腕を回すと首の後ろの辺りで何かをしている。

「もう動いても良いわよ」

「母上……これは……」

フィリエルさんが離れると、シェリーさんの首にネックレスがつけられていた。

「うまく行きますようにってお守りみたいなものよ。ガーラントさんと夫婦になったらそれはシェリーにあげるわ」

「しかし……これは母上と父上の……」

「大事なものよ。 私とレリックの代わりだと思って持って行きなさい」

「母上……ありがとうございます」

二人のやり取りをレリックさんと目を細めて見つめる。

親から子へ引き継がれていく……かいいなぁ。

「このネックレス……傷を治してくれた『母上』のような温かさを感じるな……」

シェリーさんは宝石の部分を手に取り呟く。

「その方にお願いして魔力をこめてもらったのよ」

「そ、そうかどうりで……」

フィリエルさんの言葉に納得したようにシェリーさんが頷くと、

「それを身に付けていれば落ち着いて行動できるはずだから」

と言ってシェリーさんを抱き締める。

「しっかりと自分の気持ちをぶつけるのよ」

フィリエルさんが激励するように声を掛けると、

「母上……ありがとう」

気持ちが伝わったのか、少しだけ見えるシェリーさんの目の辺りに透明な雫が見えた気がした。


抱擁を解くと、シェリーさんは僕達の方へと近づいてきて、

「そういえば村の中では私はリーラの母親だったな。 薄情な母親と噂されるかもな」

シェリーさんは苦笑いしながら僕の頭を少し強く撫でる。

「あはは……」

どう言って良いのか分からず苦笑いを返すと、

「迎えが来ても私の結果報告を聞くまではここに居て欲しい」

「うん……頑張ってね」

小さく頷いて、応援の言葉を述べる。

「二週間で戻る、約束だぞ」

「うん」

僕が再度頷くと、満足そうに優しく頭を撫でてくれる。

「それでは、ガーラントの性癖を叩き直して振り向かせるために行ってくる」

「うむ」

「頑張ってね」

そういってシェリーさんは振り返って歩き出す。

ガーラントさんの時と違って振り返る素振りもせずただ真っ直ぐに進んでいく。

最後の言葉に首を傾げている両親を背にして。

読了感謝です

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