プロローグ
人一人の命なんてちっぽけなもの。
ニュースで流れてくるように、どこで誰が何をして死亡したなんて近くでない限りは気にもしない情報。
可哀相になんて他人事のように言うだけのいつもの生活。
不満なんてない毎日学校へ行って、勉強して友人と楽しく歓談する毎日……満ち足りた日々だった。
一寸先は闇……だれもが口にする突然の不幸があった時の言葉。
それが自分自身に降りかかるとはだれが思うだろう。
気が付けば何もないただの白い世界に立っていた。
昨日も布団に入って寝たはずなのにそれは見当たらない。
「ここはどこ……?」
頭の中が状況に追いつけないままで周囲を見回すと、型遅れの昔の人生ゲームに出てくるような『神様』白いひげが耳の辺りからあごまでのびて、それより上には全く毛が生えてなくて、白い服を着た爺さんがすぐそこに居た。
「気が付いたかの」
独り言と投げかけた視線に反応するかのように爺さんが僕へ言葉をかける。
「僕はなんでここにいるの? ここはどこ?」
「お前は死んだからここに来た。ここはお前が知ったところで意味のない場所じゃ」
すがるように僕は説明を求め、爺さんは申し訳なさそうに言葉を返す。
「え……僕死んだの……なんで……」
返ってきた内容がうまく理解できず、独り言を言うように漏らしてしまう。
理由が思いつかない、昨日もいつもと同じように布団へ入り眠ったはずだ。
「それはわしのミスじゃ……すまん事をした」
「ミスって何だよ……元に戻してよ」
爺さんから紡がれる言葉に、激しく感情をぶつけてしまう。
夢であったらさめて欲しい……ミスってなんだよ……。
「それはできん……お前の死亡が確認され、火葬された」
「どうしてくれるんですか……僕の日常返してよ……」
爺さんの言葉に僕は崩れ落ちるしかなかった。
「代わりといってはなんじゃが……これを使うのじゃ」
爺さんが手を振った先にスロットマシーンが現れる。
これで気晴らしでもしてくれというのだろうか、元々まったく興味のない僕にはギャンブル道具なんてどうでもよかった。
「これでどうしろというの……」
「そこの棒を手前に引っ張るのじゃ」
正直怒る気力も無くなっていた僕は、言われるがままにスロットマシーンの棒を手前に倒す。
すると中心にある文字が回転し始めた。
「ボタンを押すのじゃ」
回転する文字の下に並んでいる3つのボタンを左から順番に押す。
ボタンを押す事によって回転が止まり、左から順に『エルフ』『女性』『12歳』の文字が並ぶ。
この文字が意図するとこが全くつかめないまま爺さんを見返すと、
「間違えて死なせてしまったお前を別の世界へ転生させるのじゃ……その中身を決める機械じゃよ」
終わった後に種明かしをする意図が全くわからない。
転生って……僕にいったい何を……。
そう思った直後、僕の視界が次第に白くなり意識が遠くなっていく。
「転生が始まったようじゃな……ちょっとした能力を与えておくからの」
爺さんの言葉が聞こえたのを最後に僕の意識はブラックアウトした。
初めてファンタジーを書きます。
のんびりと投稿していきますので温かい目で見てくださるとありがたいです。
2015/8/15 加筆修正