第9話
天才少年編スタートです
三日前の話。
僕は放課後の図書室で、環境問題の課題を取り組むため、資料を集めていた。男女五人のグループだけど、今他のグループの人達はいなかった。その課題は一年生のクラス全部が対象となるため、課題は教室で取り組むように言われていたからだ。
僕はジャンケンで勝てたのでこのように資料集め係になれた。教室と図書室を往復する役目でもある。
僕のグループの課題は公害だ。それぞれのグループは環境問題から外れなければ自由に課題を設定できる。
僕が図書室で資料を探していると、六人が座れる机の席に座って、傍らに資料と思われる本を三冊積み、原稿の束を読んでいる女子を見た。
女子は流れるような長い黒髪をポニーテールにして、勝ち気
で生意気そうな目に眼鏡をかけていて、クールな美人といった印象を受けた。
僕は彼女に近づき隣りの席に座った。
彼女は僕を一瞥して、再び原稿に没頭した。僕には興味がないらしかった。
「こんにちは。何を読んでるの?」
女子は邪魔者を見るような視線を僕に向けて言った。
「うるさい。他の空いてる席行け」
女子の言うことを無視して僕は言った。
「君も環境問題の課題やってるんだろ? こんなところでサボっていていいの?」
女子は本当にウザそうに僕を見た。
女子はため息を付き積み上げられた資料の上に原稿の束を置き、それを抱きかかえて立ち上がった。
その時にチラッと、原稿の束の一ページ目に書かれたタイトルらしきものが見えた。
「『天使の涙、悪魔の微笑み』? 君が書いたの?」
女子は僕を見下ろして嬉しそうに言った。
「これは友達が書いたんだ。本名は言えないけどペンネームはかずふみ、一二三と書いてかずふみ。私が独り占めしてる作家だ」
それだけ言うと女子は、じゃあなと言って、図書室を出て行った。
一つわかったことがあった。
あの女子は僕に興味がないということだ。




