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Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
アルビノ少女・一条璃子
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第8話

今回でアルビノ少女編が最終話になります

 あの後、私はすぐに璃子に追いつき、木下さんに保護された。

 病院に行くと璃子は全治一ヶ月の入院。

 私は無傷だったため木下さんをつれて家に帰った。家に帰るとママはいろいろな理由で私を怒った。わざわざ木下さんをつれて来た意味はほとんどなかった。

 ところで、あの女だが無事逮捕された。警察が旧朝山トンネルに行った時には魔法陣の中心で放心していたらしい。タフな女だ。

 それが昨日の話。

 今日、私は約束を破ってヌイグルミを持って公園にいる。ベンチに座り女の子を待っている。

 今日は学校であるため昨日と同じで制服だ。ただ違うところは三つ編みの下ろしたツインテールからポニーテールにしているところだろう。

 今日は学校でいろいろあった。昨日の喧嘩の件と璃子を助けた事件が学校中に広まっていたこと。私のポニーテールに似合うという声。喧嘩した上級生が私を姉御と慕ってきた。ほとんど英雄扱いだった。

 私は携帯の時計を見た。

 来るかな? あの女の子。

 よく考えるとおかしい点はいくつかあった。最初の前提を間違えると迷宮入り。事実既に今回の事件は迷宮入りだ。私も璃子から話を聞かなければわからなかった。私の推測が正しければ今回の事件は稀に見る知能犯罪。

 私はふと神童という言葉が浮かんだ。

 いや。悪神童とでも言うべきか。

 私は自分のセンスに苦笑した。


「お姉ちゃん!」


 女の子は出入口から私を呼び、天真爛漫の笑顔で私の前まで走ってきた。


「こんにちは」


 女の子はぺこりと頭を下げた。私も優しい感じの声で応じる。


「こんにちは」


 女の子はくまのヌイグルミを見て嬉しさに満ちた声を上げる。


「あっ! いちごちゃんだ! あの変な人から取り返してくれたんだね! ありがとうお姉ちゃん!」


 間違えたら恥ずかしいぞ。

 私は腕を組み、足を組み、他人が見たら偉そうな格好で女の子に言う。


「単刀直入に言う。あんたでしょ真犯人……いや計画犯」


 私の推測が違うなら違うで別に構わない。できれば違ってほしいとすら願っている。

 私の唐突な発言に女の子は目を丸くする。しかし、すぐ様その顔は微笑んだ。


「馬鹿そうなお姉ちゃんだと思ったら意外に頭良いんだ。びっくりしちゃった」


 こっちが本性か。


「でもおかしいな~。ボロは出してないと思うんだけど」

「確かにあんたはボロを出していない。ただ運悪く私というイレギュラーが出てきたのが問題だった。違う?」


 女の子は私の隣りに座り言う。


「違うよ。お姉ちゃん自体はイレギュラーじゃなかったよ。ただ、事情をある程度知っていたのがイレギュラーだったんだ」

「なるほど。あの娘に言われて正直に公園で待っていたのは最初から誰かに声をかけてもらうためか」

「ピンポーン! 正解!」


 私は女の子の言葉を無視して導き出した恐ろしい推測を言う。


「あんたがこの計画を実行したのは単なるお遊び。幼児がおままごとやヒーローごっこをするのと同じ感覚。もっと言うなら蟻を踏み潰すのと同じ感覚じゃない?」


 で、と女の子は促す。


「つまりあんたは、私にはどのような経緯で知り合ったかわからない狂った女とおそらくたまたま見かけたあの娘で人形遊びのように遊ぶことにした。そこに私という人形を持った私があんたの遊びに割り込んだ」

「お姉ちゃんの言いたいことはわかったよ。すごいと思うよ。だけどね。私はお姉ちゃんがどうやって私をわかったのか聞きたいの」


 私のここまでの推測に女の子は否定しない。むしろ面白いからもっと聞かせろという感じだ。


「いろいろ違和感があったんだ」


 あくまで矛盾とかじゃなく違和感。


「まず一つ目。仮にあの娘が馬鹿で抜けていたとしても、このそう広くない公園で三十分も徹底的に探せばヌイグルミくらい見つけられる。それなのに急に公園に現れた女が難なくヌイグルミを見つけられるはずがない」


 だけど本当にたまたま見つけられたのかもしれない。


「二つ目。その際のあの女に対するあんたの対応。いくらヌイグルミを見つけてくれたとしても怪しい格好の女を怪しいと思わなかったこと」


 問題は私が幼児の気分などわからないことか?


「三つ目はあんたが私にしたスムーズな対応だ。私はあの時あんたが言った『いちご』というものを知らかった。あの時、私はあんたの言葉から『いちご』というものを推測したに過ぎない。私は情報

不足のまま喋ってんだ。だけどあんたは、さっきあんた自身が言った通り私がある程度事情を知っている前提で話しをした。つまりお互同士、『いちご』の認識がズレたまま喋ってたんじゃないかという違和感」


 もちろん、私が今言ったのはほとんど違和感程度だ。正直、状況証拠ですらない。下手すればただの妄想だ。


「ふ~ん。違和感だけでそこまで見抜くなんて恐いよ」


 あんたの方が恐いよ。

 私はくまのヌイグルミを女の子に渡した。


「じゃあね。もうあんたとは会いたくないよ」


 私はベンチから立ち上がり鞄を持って歩き出す。


「お姉ちゃんどこ行くの?」


 私は振り向かずに答える。


「帰るんだ」

「でも私名前教えてないし、教えてもらってないよ?」


 冗談じゃない。こんな奴に名前がバレてたまるか。


「あんたの名前なんて興味ない」


 今度会ったら勝手に悪神童と呼んでやるよ。

 私は公園を後にする。


****


 しかし私は後にこの時に既に巻き込まれていたのを知る。歪んだ悪意の渦に。

書き終わった当初はこれの計画犯は読めないだろと思ったけど、そんなことないですね。推理物じゃないから別に構わないですけど。



次の話は『天才少年・伊集院風麿』です。ご都合主義全開です。

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