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Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
イベント・『悪意』オークション
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第69話 3人目

 私は昨日の逃げた事を朝早くシオンに謝りに行った。しかし、シオンは怒った様子もなくむしろ慰められた程だ。

 放課後。私は昨日と同じく教室で今日のデート相手を待った。本当は校門前で待つ予定だったが相手が急遽待ち合わせ場所を変えたため校門前から戻って来たのだ。理由は教えてくれなかったが大体わかる。そして今相手がどこにいるのかも。

 私が本を読みながら待っていると今日の相手の足音が聞こえて来た。

 やっと来たか……。

 私は本をバッグにしまい、代わりに数学の教科書とノートと問題集を取り出して机の上に置く。足を組み、指を絡めて膝の上に置き開かれるドアの方を見て言う。


「災難だったな。さあ、お勉強デートの始まりだ」


 原山は引きつった笑みで私をただ見つめる。




 私と原山は机を向かい合わせて一緒に問題集を解いていく。といっても原山は私より10ページ程前のページを計算しているが。別に私が進んでいるわけではない。原山が遅れているだけだ。


「大体あの先生もいきなり抜き打ちテストをやるかぁ? できるわけないだろうが!」

「原山、確かあんたのクラスは私のクラスより2時間分位進んでるはずなんだが、なぜこうも問題集が進んでいないんだ? おかげで私は予習と復習を一緒にやっている状態なんだが」


 数学の先生はいきなり抜き打ちテストをやる先生で一学期の頃も璃子が犠牲になり今の原山と同じ事をやっていた。赤点を取った者は問題集の指定されたページを全問正解するまで居残りし、次の日の放課後には再びテストをやる。これで赤点を回避しなければ大量の問題プリントを渡さるわけだ。つまり、ただ答えを教えるだけでは意味がなく、しっかり頭に内容を叩き込む必要がある。ちなみに璃子は私の必死な教えが実ったのか家に帰って勉強したのかわからないが85点を取っていた。


「しかし、確かにあの先生の抜き打ちは応用問題が多いからな。原山の言い分も一理ある。簡単な内容なのに応用問題ばっかのせいで私のクラスも結構赤点いたな」

「だろう」

「まあ、再テストは応用省かれて基礎中心になるから余裕だろう。そういうわけで基礎問題は自分でやれ。応用問題は答え教えるから」


 原山はしぶしぶながらも問題集を再び解き始める。

 私が残り一問というところで原山は人差し指と親指を立て──所謂手を銃の形にして私の額に人差し指を当て、パァン! と言った。私は原山を見つめる。原山が言う。


「ビックリしたか?」

「ビックリはしてない。いきなり何だ?」

「いや、学校でテロ起こらないかな~て思ってな」

「妄想か……。くだらない妄想してる暇があるなら手を動かせ頭を動かせ」

「手も頭も動いてた」

「言い方が悪かったか? 手と頭を働かせろ。それとも手と頭で遊ぶなと言えば良いか?」

「すまんすまん」


 私はシャーペンを置いて考える。

 本当にくだらなくてよくある妄想だ。男子のテンプレ妄想過ぎるだろう。大体学校にテロする理由とかゼロだろうに。確かに人数が多ければ交渉には成功し易いだろうが難易度は高そうだ。


「それで? どのくらい終わったんだ?」

「5ページ終わった。お前は?」

「今終わったところだ」

「早っ!」

「あんたも早く終わらせるんだな。時間がなくなるぞ」


 大体私も応用問題は合ってるかどうかわからない。一回で全問正解するかわからない。




 何とか原山に基礎を叩き込み問題集の指定されたページを全部終わらせた。

 今は職員室から教室に戻って来たところだ。夕の光が差し込む教室で私と原山は机を挟んで向かい合う。


「やっと終わった。かなり疲れたぞ」

「ああ俺もかなり疲れた」


 私は机に手を置き身を乗り出して原山に顔を近づけて言う。


「原山……何か私に言う事あるんじゃないか?」


 原山は顔を赤く染めている。さすがに女子が顔を近づければ照れるだろうな。

 だけど私は月見やシオンのような女子相手にドキドキしたわけだが。


「えっと……今日はありがとうな高田」

「よろしい」


 私は原山から顔を離すと原山はさらに顔を赤く染めて私から顔をそらす。そういうあからさまな反応メチャクチャ困るんだが。

 その時、私の耳は何か音を捉えた。聞こえた方向──真後ろを振り返るとクラスメイトの個人ロッカーが見えるだけ。

 何だ? 何か違和感が……。


「どうした高田?」


 原山の言葉を聞き私は笑顔を作り振り返る。


「いや、何でもない。さて、帰ろうか。それともこのままどっか行くか?」


 原山はワイルドな笑顔を私に向けて言う。


「今日、親が出掛けてるんだ。どっか食べに行かないか?」

「食事のお誘いか。いいだろう。どんな高級料理店に連れて行ってくれるか楽しみだな♪」


 原山は先程と打って変わって顔が青色になる。


「いや、そんな高級料理なんて……」

「……冗談だから気にするな。じゃあラーメンでも食べるか? 原山が良かったら私が作って上げに行ってもいいぞ?」


 原山は青から赤に顔色を変えて嬉しそうな顔になる。リトマス試験紙みたいだ。


「それは料理の事だよな?」

「当然だろう」

「俺……オムライス食いてえ」


 オムライスか……面倒だけど手が込んでないからいいか。


「この前は私の料理褒めてくれたからサービスしてやろう」

「マジか?!」

「だけどオムライスの店みたいなトロトロの奴は期待するなよ」

「むしろ俺トロトロの奴あまり好きじゃないんだよな」

「ふっ、奇遇だな。私もあれは大して好きじゃない。ところで原山のところはケチャップと卵はどのくらいある?」

「卵は2人分、ケチャップも結構残ってたぞ」


 原山の知識豊富なんて今更信頼してない。確かに知識は豊富なんだがな。超能力とか魔法とか武器の知識は群を抜いてる。


「よし! お勉強デートの次は買い物デートだな」


 原山は豪快な笑みで一言言う。


「おう! 楽しみだ!」


****


 俺はリビングで明日の再テストに備えて勉強をしていた。

 今日は俺の家にルーラーこと高田が来た。俺のためにオムライスを作ってくれた。庶民的だがどこか上品な味付けでかなりおいしかった。

 オムライスって卵とケチャップかなり使うんだな。

 今日、高田は嫌な顔一つせずに勉強に付き合ってくれた。オムライスを作ってくれた。それに──


「あの笑顔! 本当にあの笑顔は反則だよなあ」


 職員室から教室に戻った時に高田は俺に顔を近づけた。あれはヤバかった。相当。だけどそれ以上に高田が顔を遠ざけた時の笑顔だ。よろしい、という一言とあの笑顔のコンボは反則過ぎる。

 俺は前世を覚えている。不死鳥だった。不死鳥は死なない。だけど死んだ。前世は何が原因で死んだのかも知っている。ただ言えるのは前世の記憶なんて持ってても良い事などない。だけど一つだけ前世の俺に同意できる事がある。人間はやっぱり笑顔が大事という事だ。


「高田、明日は絶対に赤点免れてやる」


 その後、帰って来た母親に高田が家に来た事がバレた。母親のテンションがうざかった。

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