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Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
鳥の王・原山大樹
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第58話

イベントの多い二学期スタート!


だけどこれである


ギリギリセーフ(願望)

 私は夢を見る。

 朝山学園、昼山中学、夕山学園、夜山中学の複数の生徒が同時に誘拐される。

 私の友達も誘拐される。

 そして原山君が──


****


 未だに暑さが残る9月上旬。

 私は雀の鳴き声と寝│(暑)苦しさに目を覚ます。私は朝日を眩しく思いながらも、顔に当たる柔らかい感触、私の体に腕と足が絡まる感覚を意識した。

 まどろみの中私を抱き枕にしている人物に言う。


「月見、離して……」


 私は寝起きで未だに頭が働かない。いつもの口調を忘れていた。


「暑いから……」


 私は月見の手足をどけようとするがむしろ拘束がきつくなる始末だった。

 気持ち良さそうな寝顔して……。

 しかし今日は月曜日、つまり学校がある日だ。未だに海外に行ったきり親と彩七は帰って来ないので朝食は私自身が作らなければならない。

 そもそもなぜ月見が同じベッド、私のパジャマを着て寝ているかというと話は昨夜に遡る。


****


 私は家で涼しい夕方を一人すごしていた。

 私はその日に買った小説を読み終え、そろそろ夕食を作ろうとした時に携帯電話が鳴った。画面には月見の名前。私は通話に応じた。


「もしもし、どうした? 月見」

『あっ! 鏡華? いきなりで悪いけど今日泊めてくれない?』

「別に構わないが……。どうした?」

『今、モデルの仕事から帰って来たんだけどさ、鍵忘れたんだよ。親は泊まりで結婚式に行っちゃったし月読は入院中でしょ? 家入れないんだよ』

「わかった。来い。私のところも今誰もいないからな」

『ありがと! 鏡華』

「一応親に連絡しとくんだな」

『わかってるよ。じゃあね』


 電話が切れた。

 私はソファーに携帯を放り投げ台所に向かい、冷蔵庫を開ける。


「簡単なものと思ったけどピーマンの肉詰めにしよう」


 一応は客に粗末なものは出せないしな。




 ピーマンに肉を詰め終わったところでインターフォンが鳴った。

 私はエプロンをソファーに投げ出し、玄関に向かい扉を開けた。

 そうだ悪戯しよう。


「こんにちは鏡華」

「やあ、月見。ご──」

「じゃあ鏡華で」

「…………なんでわかった」

「鏡華の考えてる事はなんでもわかるよ」


 月見は笑顔で言った。

 なんて奴だ。私の考えを見抜いた上でさらに上をいくとは。しかもなんて危ない返しだ。


「とりあえず上がってくれ。もうすぐ夕飯もできるから」

「ありがと」


 私はリビングに月見を案内しキッチンに戻った。




 夕飯を食べた私達はゲームをしたり雑誌を読んだりして時間を潰し、お風呂に入って寝ようとする頃には既に零時を回っていた。

 私はソファーで隣に座る月見に言う。


「そろそろ寝よう。明日学校だからな」

「うん」

「月見は私の部屋で寝るか? 私は彩七の部屋で寝るから」


 月見は何か不満があるのか怪訝な顔で言う。


「一緒に寝るんじゃないの? さっき私そう答えたよね?」


 さっき……? もしかして来た時のあれか?!


「いや、あれは冗談だなんが……。まあいいか。じゃあ布団持って来るよ」

「え? 別にいいよ。一緒のベッドで寝ればいいじゃん」


 気にしないでと言わんばかりの顔で月見は言った。


「暑くないか?」


 まだ9月上旬で少し暑いんだが。


「暑くないけど」

「それならいいが」


 私は月見に同意した。

 私と月見は歯を磨いて私の部屋に向かった。

 私の部屋のベッドはシングルベッドで一人なら十分広いが2人だと流石に狭い。

 私達は布団に入り込んだ。といってもタオルケットだが。


「私は大丈夫だが月見はタオルケットで大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

「そうか」


 電気の光が消えた暗闇の中、私と月見を照らすのは月の光だけだ。

 私は横向きになり月見も同様に横向きになり、お互い顔を見合わせる形となる。

 改めて月見は美人だと思った。

 天真爛漫と形容できるような明るい感じの顔立ちでありながら力強い目は美しさと可愛さを両立している。

 正直羨ましい。

 私と月見は目を合わせているというより見つめ合っている状態でお互い無言だ。

 どのくらいの時間が経ったか私は眠気に襲われ目を開けているのがつらくなって来る。

 やがて私は眠りに落ちた。


****


 そんなことがあった。

 しかし、私は私で月見を強く抱きしめたいくらい抱き心地がいい。いや、抱かれてる方だけどな。

 その内、月見は私の髪を弄り出す。

 最近、よく髪を触られるな。…………ん?

 私は月見の脇を指でなぞった。月見から笑いをこらえるような艶っぽい息が漏れる。


「起きてんだろう? 月見」


 目を開けた月見はトロンとした顔で言う。


「おはよう鏡華。なんでわかったの?」

「おはよう月見。寝てる時と息のリズムが違ったからな」


 正確には髪を弄られている途中でリズムが変わった。


「それは迂闊だったよ」

「どうでもいいが放してくれないか? 朝ご飯作れないんだが」

「それは大変! 手伝うよ」

「じゃあまずは放してくれないか」


 月見は私を放す。

 最近の月見はスキンシップが多いな。

 私はベッドから出てパジャマから制服に着がえようと脱ぐ。


「っ?!!」


 私はパジャマを脱ごうとするのを止め胸を抑える。


「どうしたの鏡華?」


 月見はいやらしくニヤニヤと笑みを浮かべながら私に言った。私は何事もなかったように努めて言う。


「なんでもない。気にするな」


 とにかく制服に着替えよう。……そういえば……。


「月見は制服どうするんだ?」

「あ~……そうか。どうしよう」

「一応スカートは冬服のがあるけどそれにするか?」

「そうだね。悪いけど貸してくれる?」

「ほら」


 私はタンスから冬服のスカートを出して、月見に投げて寄越した。

 月見はそれをキャッチしてベッドから出る。

 私達は制服に着替えて部屋から出た。顔を洗いキッチンに向かった。

 朝ご飯は私がみそ汁、月見が卵焼きを担当した。月見には、客だからくつろいでろ、と言ったが手伝うと聞かなかったので手伝ってもらった。朝ご飯を食べてから、私は月見にアレコレ言われながら身支度をした。

 私は月見のアドバイス│(?)によりツインテールにオレンジ色の縁の眼鏡だ。月見は私のアドバイスを聞き入れずサイドテールだ。

 私達は家から出ると学校に向かった。

 私は月見と喋りながら登校する。


「ていうかあんなに休みの生徒がいっぱいいるんだから休校にすればいいのにね?」

「私としてはそれはそれでやだぞ」

「なんで?」

「友達と会えないからな」

「なるほど、学校があれば日曜日以外は顔が見れるよね」


 本来この時間は璃子と登校しているが、璃子は今入院中だ。というより、あの事件で私の言葉で気絶した生徒以外はほとんど退院してない。今昼山中は全校生徒の4分の1が欠席だ。

 今のこの状態は異常だ。警察に頼れない。おかげでこの周辺は激増というわけではないが犯罪が多くなっている。しかも、知能犯が多く、超能力者による犯罪もあったという噂もある。また、人格破綻者による犯罪も増えているとか。だからといって住民も負けてない。犯罪自体は増えているが解決される事も多い。

 やがて私達は学校に着いた。私は名残惜しそうにしている月見と廊下で別れ、それぞれの教室に入った。




 そして今日、『悪意』によって歪んだ大事件が起こる。否、起こっていた。

 後に『朝昼夕夜の同時中学生誘拐大事件』と呼ばれる超能力犯罪が……。

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