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Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
アルビノ少女・一条璃子
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第6話

今回短い

 私と月見はあれから三十分くらい後に職員室から解放された。三人の男は未だに職員室で拘束されているが。

 私達は廊下を並んで歩いている。


「月見ちゃんの所為で散々だよ~」

「悪かったよ」


 別に気にしてないけどね。

 私は横目でチラッと月見を見た。月見はどうしたの? と言わんばかりにニコッとした。

 こいつ……もしかして巻き込んだ自覚ないのか?


「月見ちゃんは~。この後どうするの~?」

「私は文芸部に顔出すよ。荷物も部室だし」

「ふ~ん。じゃあ私は帰るね~」

「わかった。じゃあね」

「バイバ~イ」


 私と月見はお互いに手を振り別れた。

 そういえば璃子は部活終わったのかな? さっき職員室に入る時に見たけど。

 私はなんの気もなく携帯を取り出し、リダイヤルから一条璃子の表示を確認し電話をかけた。数回のコール音の後に璃子が電話に出る。


『もしもし? ハアハア 』


 璃子が電話に出る。


「あっ! 出た~」

『ハアハア。何?』

「さっき職員室に入る前に見えたから~。まだ学校にいるかな~て思って……どうしたの~? 息切れしてるよ~」


 私は璃子の息切れに疑問を抱く。

 演劇部は声を出すために腹筋などの筋トレをやっていると聞いたことを思い出す。

 でも携帯使ってるし……学校にいないのか?


『ハアハア。ちょっと──』


 璃子の後ろから車──おそらくトラックの走る騒音が聞こえた。


「え?! 聞こえない! 今どこにいるの!」


 トラックの音が聞こえなくなり私と璃子の間に沈黙が訪れる。

 やっぱり聞こえなかったか。

 私はどこにいるかもう一度聞こうとすると璃子が喋り始める。


『ハアハア。えっと……あさやま──が!』

「え?」


 しかし私に聞こえたのは璃子が喋っている時に聞こえたのは、璃子の何か痛みを内包した声。そして携帯に何かがぶつかったような音。その音はぶつけたというより携帯自身が落ちた音。

 私に嫌な思考が渦巻く。


「ちょっと! 璃子! 璃子! 何があったの?! 大丈夫なのか?! 璃子!」


 私は周りの目も気にせず大声で怒鳴り散らす。全然反応がない。


「ねえ! 聞こえてるのか?! 璃──」


 その時、ガンと電話越しに音を聞き電話が切れた。まるで私の世界と璃子世界を切り離すように。

 ヤバい! これは何か事件に巻き込まれた!

 私は廊下を走り下駄箱のある玄関で上履きから靴に履き替えた。

 校庭を全速力で横切り校門を出る。あてのない私はとりあえず、璃子といつも一緒に帰る道を走る。

 その時、私は走りながら携帯で璃子の家に直接電話をかける。数回のコールの後、電話が繋がる。


「もしもし! 一条さんのお宅ですか?! 高田です!」

『これは高田さん。いつもお嬢様がお世話になっております』


 電話越しに頭を下げていそうなくらい丁寧に相手は対応している。

 木下さんか。ちょうどいい。

 木下さんは璃子の執事で、穏やかな笑みが印象的な老齢の男性だ。


「単刀直入に言う! 璃子さんは帰ってますか!」


 私は内心緊張する。帰っているのなら帰っているで別に構わない。できれば杞憂になってほしい心配だ。

 しかし返ってきた言葉は期待を裏切る。あるいは予想通りだったと言うべきか。


『お嬢様は帰っておりませんが』


 私は手を頭に当てた。


「木下さん! もしかしたら璃子さんは事件に巻き込まれたかもしれません!」

『何ですと!』


 木下さんが驚いた声を上げる。


「朝山です! もしかしたら朝山町にいるかもしれません! 忙いでください!」


 私は有無を言わさずに電話を切った。

 あの娘の家族に知らせれば後はいろいろするだろう。

 しかし私は走るのを止める気はない。

 とりあえず私は璃子の帰り道を辿ることにした。そして思考する。

 そういえば璃子の奴走ってたな。あの娘は体力もないし足も遅い。そう遠くには行けないと思うけど……。

 私が考えている時に、通学で璃子との待ち合わせに使っている公園に差し掛かった。

 広いわけではないが遊ぶのには十分な公園。

 私は公園の中をチラ見すると幼稚園に通うくらいの女の子がベンチに座っている。外はもうけっこうな暗さになっている。私にはその女の子が誰かを待っているように見えた。

 いつからいるか知らないけどあの年の子が外にいるのは危ないな。

 私は公園に入り女の子の元に向かった。

 理由は二つ。璃子を見なかったか聞くこと。女の子に帰るように言うこと。

 私は女の子の目の前に行き、女の子の目線に合わせるためにしゃがむ。


「こんばんは」


 私は言う。


「こんばんは」


 女の子も頭を下げて返す。ちょっとした育ちの良さが伺える。


「この辺りで白くて長い髪の毛のお姉ちゃん見なかった?」


 私は首を傾げて言う。


「もしかしておめめがあかい?」


 おっ? もしかして見たのかな?


「そうそう。どこで見たの?」


 その時女の子の目に涙が溜まる。


「おねえちゃんね。いちごをとったへんなひとをおいかけていったの」


 いちご? 人形か何かかな?


「おねえちゃん。わたしといっしょにいちごをさがしてくれたの」


 なるほど。なんとなくわかった。つまり璃子はこの女の子がなくした物を一緒に探していて成り行きで不審者を追うはめになったのか。

 私は今まで起こったこと、女の子の話を統合して考えて結論を出す。

 ヤバい! 最初から狙いは璃子だったのか! ということはこの女の子は利用されたのか。璃子が追いかけて引き剥がされないなんておかしいしね。おそらく不審者は追いつかれないように引き離さないように走ったんだ。そしてどこかに誘い込んだ。


「そうなんだ。お姉ちゃんはどこに行ったかわかるかな?」


 女の子は私が来た道を指した。


「ありがとう。ここはこのお姉ちゃんに任せて、あなたはもう帰りなさい。もう真っ暗だよ」


 私は立ち上がる。


「でもおねえちゃんは……」


 女の子は渋っている。

 なんとなく危ないとわかって責任でも感じてるのかな?

 私は女の子に諭すように言う。


「大丈夫。いちごちゃんはちゃんと白い髪のお姉ちゃんが明日持って来るから。だから帰ろう。ママが心配してるよ? ね?」

「うん。わかった」


 できれば女の子を家まで送って行きたいがこっちも切羽詰まってる。


「またね」

「ばいばい」


 私は再び走った。公園を見ると女の子が私に手を振っている。

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