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Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
人気アイドル・姫路姫都
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第32話

 唐突なガールズラブタグ

 別に女性同士の恋愛を書いたつもりわないんだけどね。

 そもそも、最初は姫都の設定は女装少年だったわけだ。だけど、微妙だからやめたわけ。

 だからといってあれをやらなきゃ後につなげられないし。



正直、すみませんでしたm(_ _)m

『え~、それじゃあ姫! 高田選手にキスを!』


 私と姫都は対面している。今は私が優勝賞品として姫都からキスしてもらうという場面だ。

 よく考えると悪趣味を詰めたような番組だな。

 ちなみに私は眼鏡をかけていない。壊れたからな。あの男の下敷きになって。

 私は目を瞑る。小説とか漫画とかされる側はよく目を瞑るしな。


「そ、それじゃあ鏡華ちゃん! いただきます!」


 いただきます? 姫都さん。ちょっと意味がわからないんだが。

 近くから姫都の息遣いが聞こえる。

 そういえば私、汗臭くないか?

 そして──

 私の肩を掴み、唇に何かが当たる感触がした。

 あれ? ほっぺじゃないのか?


****


 私の目の前には目を瞑った鏡華ちゃんの顔がある。

 綺麗な顔だな~。羨ましい。

 私は鏡華ちゃんの肩を掴んで、キスをした。

 私の手を鏡華ちゃんの長い髪が撫でる。

 鏡華ちゃんが目を開ける。その目には困惑が浮かんでいる。拒絶の目じゃないだけマシかもしれない。

 私は鏡華ちゃんと目が合うと唇を離した。


「姫都……ほっぺで良かったんだぞ?」


 鏡華ちゃんが冷静に言った。


「え?! 嫌だったかな?!」


 私は慌てた。


「別に嫌じゃないが……」

「そう? 良かった~」


 嫌れてないみたい。

 気が付くと会場が静寂に包まれていた。司会もそれに気付いて静寂を打ち破る。


『え~と、今回の優勝者は姫の友達、高田鏡華さんでしたー!』


****


 私が姫都にキスされた後、微妙に時間が余ったため、姫都が歌を歌いキスサバイバルは終了となった。

 今、私は姫都のマネージャーに車に乗せられ、後部座席で姫都と一緒に座っていた。


「鏡華ちゃんは昼山だよね? その内遊びに行くね!」

「ああ」


 私は適当に返す。

 正直私は眠かった。この四日間体力を使い過ぎたためかなり疲れが溜まっていた。しかし、さすがに人前で寝るのもどうかと思い起きているが。


「あ! そうだ! 8月1日に昼山の祭りあるでしょ? 仕事で朝山の祭りは行けないけどその日はオフなの。一緒に行こう?」


 私はフワフワな意識の中頷いた。


「やった!」


 姫都が嬉しそうに言った。

 ほとんど初対面の相手によくここまで言えるな。もしかして相当懐かれてるのか? あ~、彩七に帰りが遅くなること連絡してないな。


「じゃあ祭りの日に改めてお礼するね!」

「別にお礼なんて……されるようなことしてないぞ」

「……もしかして鏡華ちゃんはあーゆうことよくするの?」


 よく思い出せばひと月に一回は人助けしてるな。主に暴力で。

 ヤバいな私。女子どころか人間としてろくでもないな。

 私は自虐の笑みを浮かべる。


「よくするな」


 あーゆうことといえば北乃先輩から『悪意』について詳しいこと聞かないとな。


「鏡華ちゃんはなんで私を助けたの?」

「誰も助けようとしなかったから」

「ナンパの方じゃないよ」


 ああそっち。


「さあ? 忘れた」


 マジで思い出せん。相当疲れてるらしいな。


「そうなんだ」


 私は姫都の言葉を聞き微睡んだ。


****


「鏡華ちゃん起きて!」

「う……ん。何?」

「家わからないからとりあえず昼山駅に着いたけど……」


 私が揺さぶりながら起こすと鏡華ちゃんは目を開ける。その目はトロンとしている。


「わかった」


 今の鏡華ちゃんはなんか喋り方が子供みたい。いや子供なんだけど。なんていうか威圧的じゃない。

 あの男子っぽい喋り方は意識的なのかな?


「ごめん。寝てた」

「ううん! 全然大丈夫!」

「そうか。ありがとう。正直助かったよ」


 助かったのは私だけどね。

 鏡華ちゃんが目を擦りながらバッグを背負う。

 私は素早くケータイを取り出し操作する。


「鏡華ちゃん!」

「ん?」


 私は鏡華ちゃんの腕を引っ張り引き寄せる。私と鏡華ちゃんの顔が近づいた。私はケータイを構えた。画面に私と鏡華ちゃんが写るようにケータイの位置を調整。

 ピロリンと音がなりケータイに私と鏡華ちゃんのツーショットが写った。


「おい……撮るなら撮るって言え。顔変じゃないか?」

「ふっ……後で送ってあげるよ」


 私は人差し指を立てて言った。

 鏡華ちゃん……喋り方戻った。


「まったく……」


 鏡華ちゃんは髪をかきあげながら呟いた。

 鏡華ちゃんはドアに手をかけて言う。


「マネージャーさん送ってもらってありがとうございます」


 鏡華ちゃん、一応年上の人には敬語使うんだ。司会の人には使ってなかったけど。


「いえ、こっちも最悪の事態は避けられたからむしろお礼したいくらいよ」


 マネージャーさんがたぶん本心を鏡華ちゃんに言った。


「気にしないでください。あんなの大したことじゃありませんので。友達のやることに比べたらヌルいですから」


 鏡華ちゃんは普段どんな生活を送ってんだろう?

 鏡華ちゃんは車から出ると、中を覗き込んで言う。


「マネージャーさん、それじゃ失礼します。じゃあな姫都」


 鏡華ちゃんはドアを閉めると手を振り去って行った。


「じゃあ次は姫都の家ですね」

「うん」


 鏡華ちゃんが見えなくなるとマネージャーさんが車を発車させた。


「それにしても本当に最悪の事態を避けられて良かったわ。アイドルが一般男性とキス? そんなことしたらアイドル生命終わっちゃうじゃない」


 マネージャーさんが運転しながら愚痴る。


「そうですね。ドッジストーンランの時、ハラハラしましたよ」

「あれはすごかったわね。普通無理よね。思わず魅入ったわよ。そんなことより姫都……」

「なんですか?」


 私はケータイを操作し、さっき撮った画像をメールに送付して鏡華ちゃんに送った。


「なんで高田さんとキスしたのかしら?」

「テンパっちゃったんですよ! けど確かに女同士とはいえ初対面でキスはおかしいですよね……」

「まあ確かにおかしいけど。男とキスするより問題にならないからいいけど」


 私は鏡華ちゃんの唇の感触を思い出した。




 だけどまさか私と鏡華ちゃんのキスが後にある事件の引き金になるなんて知らなかった。


****


 私が家路を歩いていると不意に携帯が震えた。

 そういえばあれから携帯見てなかったな。

 私は携帯を取り出しメール画面を開いた。

 新着100件以上。

 とりあえず私は最新のメールを見た。

 相手は姫都だ。なんかいろいろ書いてあったが割愛。とりあえず添付されている画像を開いた。

 私、寝ぼけ眼じゃないか! だらしない顔だな。

 一緒に写ってる姫都とは雲泥の差だった。


「まあいいか」


 私はメールを5通見た時点で面倒になり携帯を閉じた。




 翌日、部活動のため学校へ行った私は男子と女子から嫉妬と羨望の眼差しを受け、部員達からは笑顔を作れという羞恥プレイをやらされることになる。


****


 また、この頃から『悪意』によって歪んだ者│(物)が朝山、昼山、夕山、夜山に氾濫することになる。

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