第24話
結局、優勝は月見のチームだ。
私は月見の作戦に利用された。月見は『鏡華をみんなで倒すまでお互い手出だししない』という密約を交わした。正直な話、私はここまで予想していた。予想していた上で作戦は、十分経過したらどこかのチームに攻撃を仕掛けるようにシオンに指示を出していた。そうすれば敵が減り、私の生存率が上がる。そういう予定だった。
問題はこの先だ。それぞれの私のチーム含めたそれぞれのチームに月見の協力者がいたのだ。協力者は宝ボールを陣地から出し、月見のチームメンバーがそれを回収した。私への集中攻撃はそれぞれのチームの防御を手薄にするためのものだったということだ。
「なんで私だけこんな目に会うんだ」
私は二年生のいない文芸部室で呟いた。楽しいはずの昼ご飯の時間が暗い。私の所為で。
「高田さん、そう落ち込まないでよ。あの状況で五分も生き延びる方がすごいよ」
「そう! 鏡華さんがははさみ打ちから脱出する時カッコ良かった!」
伊集院と晴恋が私を慰める。だけど伊集院……傷ついたところはそこじゃないんだ。そもそもあんな事大したことじゃないだろ。
「鏡華、ごめんね。さすがにあれはひどかったと私も思うよ」
だからそこは問題じゃないんだ。別に大して顔は良くなくてもあの発言は傷付く。キモいと言われて良い気分になる奴なんていないだろう。
さすがにこの雰囲気は暗いと思った私は璃子に話を振る。
「そういえば璃子は午後にあるんだろ? 勝てそうか?」
璃子は伊集院を一瞥して言う。
「わかんないよ。原山君は勝つ気満々だけど」
「原山……ねえ」
原山大樹。重度の中二病を患っている男子だ。私の知っている限りだとたちの悪い中二病だ。実はあの嘘突きゲームの後に偶然、街中で会った。奴はチンピラに絡まれていた。なんでもチンピラに絡まれていた老人を助けてたらしい。そして、技の名前を叫びながらチンピラを倒していっていた。つまり腕っ節の強い中二病だ。面倒な人種だ。からかったら拳が飛んで来るからな。根は善良なのが救いだ。そこも含めてたちが悪いんだが。
「まあ、不可能ではないな」
「一条さん」
急に伊集院が璃子を呼んだ。
「何?」
「悪いけど手加減しないよ?」
だろうな。コイツは遊びに本気になる性格だから。だけど逆に原山のいる璃子のチームには好都合だろう。伊集院は天才だが、月見曰わく人心に関しては凡才らしいし。だとしたら原山の様なタイプは扱いにくい。
「う、うん」
璃子は伊集院に返事をした。
璃子も演劇部に入って体力はある程度改善されてるしな。でも──
「大丈夫か? 璃子の時間は一番暑い時間だぞ?」
「大丈夫だよ。先生が危ないと思ったら抜けていいって言ってたし。だけど……」
笑顔だった璃子が浮かない表情になる。
「どうした?」
「あのね鏡華ちゃん──」
その時、昼休みを終える予鈴が鳴った。
「私、もう行くね」
璃子は弁当箱を持って立ち上がった。
「ちょっと璃子──」
璃子は私の言葉も聞かずにさっさと部室から出て行ってしまった。
話を途中にして行くなよ。




