表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Student War ──羅刹女──  作者: 天井舞夜
中二病少年・原山大樹
25/86

第22話

 全校生徒は暑い中列を作り、球技大会が始まるにあたって、体育委員の話を聞いている。全員半袖のためか太陽光が直接肌を焼き汗だくだ。

 私は列をから外れ、木陰で休んでいる璃子を見た。璃子は体育着の上にジャージを着ている。璃子はジャージで色素の欠落した肌を守っている。体質の問題で仕方ないとはいえ、この状況で木陰とは羨ましい限りだ。


「以上! 球技大会『ドッジバトル』のルール説明でした!」


 いつの間にか球技大会のルール説明が終わっていた。私は事前に配布されたルールの書かれたプリントを見た。




・一チーム十五人程でその中でキーパーを一人決める

・ボールは通常ボールが複数と宝となるボールが各チームに一つある

・勝利条件は①宝ボールを制限時間までに回収されないこと ②宝ボールが回収されていないチームが複数ある場合、他チームから宝ボールを多く回収していること

敗北条件は①宝ボールを他チームに回収された場合 ②キーパーを除くチームメンバーが全員アウトの場合 ③制限時間を切った時に全チームが残っている場合

・チームの陣地には小さい内の円と大きい外の円が二重となっており、宝ボールを小さい円の中に置く。①大きい円の内側ではキーパーはボールに当たってもアウトにならないが、内側から別のチームにボールを当ててもアウトに出来ず、宝ボールを持つことが出来ない。 ②小さい円の内側に宝ボールがある時は宝ボールを回収できない。また小さい円の内側に他チームは入れない。よって他チームは通常ボールを宝ボールに当てて小さい円の外側に出し、宝ボールを回収する

・セーフの場合①首より上にボールが当たった場合 ②体にボールが当たりそのボールが地面に当たる前に自分もしくは自チームの他者がそのボールをキャッチした場合

・時間は五十分

・それぞれのグループで優勝したチームのメンバーは体育の成績が五になる




 この程度のルール説明でなぜ十五分も使ったのか意味がわからない。

 このゲームのルールを簡単にまとめると、ドッジボールとドロケーを混ぜたようなルールだ。


「それでは最初は二年生の前半グループから始めます。それ以外の生徒達は校舎に入ってください」


 ゲームは一年生、二年生、三年生をそれぞれ半分に分けた六グループ、されにそれを五チームで分けて行われる。ちなみに私のチームは二番目だ。

 私が混雑を避けるため遅れて校舎に入ると、下駄箱のスペースで今回私のチームの一人であるシオンがいた。


「こんにちは鏡華! 今日の『ドッジバトル』楽しみですね!」

「そうだな。楽しみだ」


 私達のチームのゲームは二番だ。つまり二年生の前半グループが終わってすぐだ。


「本当に楽しみだ……。月見のいるチームとゲームなんてどんなエグい作戦使ってくるか……」


 私は頭を抱えた。小学生の時の運動会は確かリレーで私のクラスの女子を一人仲間にして、その女子にバトンを遠くまで投げさせるとかやったな。おかげで負けた。


「けど今回は私も黙ってやられてたまるか! シオン! あの作戦は覚えてるな?!」

「もちろんです。私も鏡華とは一度一緒に戦いたかったです。忘れるわけありません」

「嬉しいこと言ってくれるな」


 私はシオンの胸に目が行った。とても同じ中一とは思えない。


「鏡華はスケベですね」


 シオンは腕で大きな胸を隠すような格好で言った。


「私達女同士だろう」

「ジャパニーズジョークです」


 それのどこがジャパニーズジョークジョークかはわからん。ていうか腕で胸が潰れてる。


「鏡華、早く二階に行きましょ? 一度どんな感じにやるか見ときましょう」

「そうだな」


 私達は二階の教室に向かい、他のチームメンバーと合流した。


****


 私はチームメンバーと合流するため、教室に向かっていた。

 クラスの列から外れ、一人木陰にいた私は疎外感を覚えていたが、これから行われる球技大会は楽しみだ。しかし、問題は──


「あの予知夢だよね」


 私は一人呟いた。

 久々に見た自分自身に関する予知夢。短くてあっけない予知夢。だけど強大な恐怖を与えた予知夢。


「どうしたホワイトプリンセス? 廊下で独り言言って」


 私は体をビクッとさせ後ろを向いた。そこには同じチームメンバーの原山大樹君がポケットに手を突っ込んでいた。


「原山君、そのホワイトプリンセスってやめてくれないかな?」

「じゃあ何プリンセスがいいんだ? デーモンプリンセスか?」


 デーモンプリンセス……? 悪魔姫? 鬼姫?


「いいよもう……」


 鏡華ちゃん曰わくこの人は痛い人らしい。中二病の設定系とかいう重症らしい。けど悪い人ではないとも言ってた。


「そんなことより大丈夫なのか? お前日射に弱いんだろ?」

「一応ジャージは着るよ。幸い黒だから光通りにくいし」

「そうか」


 それだけ言うと、原山君はたぶん教室に向かって歩き出した。私も原山君に並ぶ形でついて行く。


「友達のお前から見てルーラーとムーンウィッチだとどっちが勝つと思う?」

「えっと……」


 原山君がちょっとカッコいい単語を言い私は困った。

 ルーラーとムーンウィッチて誰だろ?


「悪い。高田鏡華と滝沢月見のことだ」


 ムーンウィッチ……月の魔女。月見の名前の月と魔女でムーンウィッチ? これはわかるけど──


「なんで鏡華ちゃんがルーラー?」

「謎のカリスマ性があるだろ」


 カリスマ……。確かに小学生の時は学校を支配してたけど……。それはカリスマというより恐怖で支配してたはず。


「まあ。そんなことはどうでもいい。どっちが勝つ?」

「他の三チームの可能性は?」

「ねえだろ」


 原山君ははっきりと言った。それは置いといて、原山君の興味はわからなくもない。


「滝沢さんじゃないかな?」

「なぜそう思う?」


 原山君が好奇の目を私に向けて言った。


「直接本人同士だけの戦いだったら鏡華ちゃんだよ。それにルールのあるゲームやスポーツだったら鏡華ちゃんはほとんど負けないよ。鏡華ちゃんはイメージが先行してるからよく誤解されるけど頭もいいしね。だけど──」

「だけど?」

「滝沢さんは鏡華ちゃん以上に頭が良い。それにこれは個人戦じゃなくてチーム戦のうえに複数チームが混在する乱戦。下手すると既に鏡華ちゃんのチームに裏切り者がいる可能性もある」


 原山君は顎に手を当て考える素振りをしてから言う。


「策謀の月見と攻略の鏡華か……。なかなかの好カードだな」

「そうだね」

「ルーラーとムーンウィッチのバトルが始まる前に、俺達も作戦会議しようぜ。俺達の相手にあの伊集院がいるんだからな」


 私は黙って頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ