第2話
今日は私の通う中学校の入学式。
今日から中学一年生になる私は鏡の前で制服を着て身仕度をしていた。
「ヨシヨシ。どう見ても模範的な女子生徒だ」
小学生のポニーテールから一転、二つの三つ編みお下げにして、ちょっとオシャレな眼鏡を掛けた。
「これならオーケーだな」
私は鞄を持ち部屋から出てそのまま玄関に向かった。
「鏡花ーー! ママ達は後から行くからね!」
ママが見えない所──おそらく台所から声を掛けてきた。
「わかってるよママ! じゃあ私、璃子と待ち合わせしてるから行くね! 行って来ます!」
私は革靴を履き、ドアを開けて家から外に出た。
空は祝福するように自身を青に染め、太陽は光は歓迎するように私に浴びせてくる。
「さて、早くしないと璃子が怒るな」
私は待ち合わせ場所に走った。
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私は中学校の通り道にある公園の入口で彼女が来るのを待っている。
かつての彼女がよくしていた髪型のポニーテールしている。彼女みたいに綺麗な黒髪じゃないから映えないかもしれないけど。
正直……嫌な予感がする。
彼女は一週間前、唐突に中学生になったらイメチェンをすると言い出した。小学生までの自分を心機一転したいらしい。彼女は当日になるまでどのようにイメチェンをするかは秘密と言っていた。
だけど実は私は予知能力でどのように見た目、中身共にイメチェンするかは知っている。そしてその予知が外れてほしいと願っている。
予知能力……私のは予知夢だけどね。これは彼女にも家族にも言ってない私だけの秘密。彼女には時が来たら言うつもりだけど。
「り~こ~ちゃ~ん」
私はギョッとして声がする方へ振り向いた。
そこには息を切した振りをして可愛らしく遅く走る彼女の姿があった。それに彼女は私を璃子ちゃんだなんて呼ばない。
どうやら予知は狂いなく当たってしまったらしい。
「おはよ~。璃子ちゃん」
「お、おはよう鏡華ちゃん」
「ごめんね璃子ちゃん。鏡華、身支度終わってからすぐに家を出て走ったんだよ?」
おそらく彼女の言ってることは事実だとは思う。嘘は言ってないと思う。嘘はね。正確には走ったけといえば走ったけど本気で走ってないが正解でしょう。彼女が本気で走ればここまで来るのに五分と掛からない。既にキャラ作りが始まってるようだ。
「そんなことより、その格好どうしたのよ?」
「ちょっと視力が落ちたから眼鏡作ったの~。三つ編みはイメージチェンジだよ~」
確かに一週間前、彼女は眼鏡を作るって言ってた。三つ編みも似合ってる。
「その喋り方は?」
彼女は一瞬困った顔をした。そしてすぐにチョキを横にして顔の傍に持っていきウィンクをした。
「本当の私デビュー☆」
かなりうざい。見た目はいいとして、キャラをどうにかしてほしい。
まず勝ち気な目が眼鏡で隠れていないのでキャラと合ってない。キャラがクールなら正にクールビューティーという感じで彼女に最高に似合っているはずだ。
どうやら私がかつて尊敬し、羨望し、恋い焦がれた彼女は死んだらしい。
「はあ~」
私は深い溜め息を付いた。
「どうしたの~璃子ちゃん?」
彼女は顔を覗き込んできた。
「何でもないよ。もういいの鏡華ちゃん。もう行こう?」
「そうだね。早くしないと遅刻だよ~」
私は下らない悲しみを胸に彼女と二人並んで歩いた。
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私は夢を見ている。予知夢をしている時は夢を自覚できる。
私が見ている夢は微妙に抽象的な夢。
この場所には私の他に小さな女の子二人と人間の形をした影のようなものしかいない。そして異様なのはみんな人形の操り糸みたいなものが手足に付いてる。
状況としては私の隣りには女の子が一人いて、もう一人の女の子は離れたところにいる影に頭を掴まれて生気のない顔で浮いている。
「いちごちゃんをはなして!」
隣りの女の子が影に向かって叫ぶ。影はその言葉を無視し、影は後ろを向いて歩いて行く。私はその後を走って追う。隣りにいた女の子はついてこない。
私が追いつくと影が急に私の方に上半身を捻り振り向いた。私はびっくりして立ち止まる。私は距離を取って後退をしていると、影の腕が伸びて私の脇腹をすり抜けた。
痛くはない。しかし、すり抜けた部分が影に飲まれたように黒くなる。私はその部分を見て触る。何も異常はない。
びっくりしたが異常がないとわかり影を見ると影が体ごと襲いかかってきた。
私は避けようとしたが、それは私を細いロープのようなものに変わりながら追尾し私を拘束した。




