第15話①
原山 大樹 : はらやま たいき
ただいま十一連勝中。
一時間目の授業が終わり、二時間目までの十分間の休み。
この時間じゃ大した人数を捌けない。
「円藤君の傘がビニール傘というのが嘘」
「クソッ! なんでわかるんだ?!」
この時間の挑戦者は次で最後かな?
晴恋の前に右目に眼帯を付けて、無造作ヘアーの男子がいた。なかなかカッコいい顔付きかな。
「俺は一組のフェニックス=カオスだ。お前にゲームを申し込む!」
…………はい? フェニックス? カオス? え?
晴恋は混乱した。
この人、まず名前がおかしい。何かカッコいい単語を名前に羅列している。それ以前にこの人、バリバリの日本人なんだけど。だけどそんなことは些細なこと。一番の混乱理由はこの名前は嘘ではないということ。
「まあ。みんな俺のことを原山大樹と呼ぶがな」
これも嘘じゃない。正直な話この人恐いんだけど。
「えっと……ルールは君が言う嘘を私が見破れば私の勝ち、見破れなければ君の勝ち。単純でしょ?」
今までは手を抜いて来たけど今回は本気。だって最初に言ったフェニックスという名前が嘘なら晴恋が見抜けない嘘をこの人は言ったことになるから。
「スタート」
原山君は顎に手を当て考え込む。しばらくして原山君は言う。
「俺はな、フェニックスの生まれ変わりなんだ」
へっ? また原山君はトンチンカンなことを言い出した。しかも嘘じゃないってどういうこと……?
「前世ではカオスとの激闘の末に相打ち。俺とカオスは神の悪戯か悪魔の気まぐれか、魂が融合してしまいその状態で転生。そして俺は人間として生まれ(中略)」
晴恋は机に突っ伏している。原山君が今言ってることは嘘じゃない。
頭が痛くなってきた。何これ? 精神攻撃?
原山君は続ける。
「(中略)というわけで俺は今世で人間力を高めて神になる必要があるんだ。そのために俺はお前に挑んだわけだ」
こんだけ喋って未だに嘘がないんだけど。
「それで俺はさっき高い壁にぶつかったんだ」
ここで言う高い壁は比喩表現だよね? 嘘ではないらしいけど……。
「社会という壁に!」
「…………終わり?」
「ああ」
あっけなさ過ぎる! なぜこれが嘘なのかわからないけど晴恋は嘘を指摘する。
「社会が嘘」
原山君は驚いた顔をして言う。
「なぜわかった。俺が一時間目に受けた授業が社会ではなく国語だ。絶対に俺の転生した時の話に引っかかると思ったのに」
原山君は悔しそうな顔をする。
「パンは私が指示した時に買ってね」
「わかった。じゃあな」
原山君が教室からいなくなってから私は言う。
「この時間はもう終わり」
挑戦者であろう他のクラスの男子も教室から出て行く。
晴恋は伊集院君をチラッと見る。
どうやら彼は今のところ挑戦する気はないようだ。




