第13話
プロローグ的な話です。
頭脳戦(笑)主体の章です。無茶苦茶な理論は仕方ないです。何も考えないで読むと調度いいかもしれません。
ただいま50連勝中
六月も終盤に差し掛かり、外は雨が降っている放課後の寂しい教室。
晴恋は今、学校中の生徒──一年の生徒達相手にあるゲームをしている。
嘘突きゲーム。
ルールは簡単。晴恋に対して嘘を吐き、晴恋が嘘を見破る。挑戦は一人一回。
ただそれだけのこと。
まあ。普通にゲームするのもつまらないので挑戦者にはパン一個、晴恋は自身を一日中好きにする権利を賭けている。
予想通り男子が多い。モテなさそうな男子からモテそうな男子という印象。変な男子もいたがあれは特殊でしょ。ある意味一番大変だったけどね。
女子も僅かながらいる。その中に面白い女子が一人いた。昼休みの事、自作小説を賭けて晴恋を文芸部に入れようとしに来た女子が。正直意外な人だったけど面白そうだからその賭けに乗ったけどね。同時に一番苦戦したかな?
晴恋的には晴恋を打ち破るとしたら同じクラスの伊集院君が一番可能性が高いと思う。その伊集院君は晴恋に未だ挑戦に来てないけど。
それにしても暇。一応、今日の挑戦は四時半まで。後十分か。
その時、扉が開いた。
そこにはポニーテールで眼鏡をかけた女子がいた。勝ち気な目が印象的。
その女子は机越しに晴恋と向かい合うとポケットからトランプを一枚取り出し、それを一瞥してから裏向きで伏せた。
「私は高田鏡華。あんたに嘘突きゲームを申し込む」
高田さんという女子はよく通る声で晴恋に宣戦布告をした。
「オーケー。今日はあなたが最後ね」
スタートと晴恋が言おうとした時、高田さんが待ったを掛けた。
「賭けの対象を変えましょう」
賭けの対象を変える?
それ自体はさっき違う女子が提案したこと。
「通るだろ?」
「通るよ」
高田さんは不敵な笑みを浮かべる。
「それじゃあ私が賭けるものは私を自由にする権利でどうだ?」
大きく出たものだ。
晴恋は興味で高田さんに聞く。
「それは自信?」
高田さんは腕を組んで答える。
「まあな」
嘘。だけど自信がないわけではないらしい。
「それでだな。あんたに賭けてもらいたいものは、さっきあんたが賭けで手に入れた自作小説だ」
さっきの自作小説?
晴恋もさっきの自作小説には興味あるんだけどね。でも晴恋が負けるなんてありえないし別にいいかな。
「いいよ」
「交渉成立だな」
晴恋は縦に頷いた。
「それじゃ今から始めね。スタート」
「その前にいいか?」
またもや高田さんは制止を掛ける。
「何?」
晴恋は少しキツく聞き返した。
「これは私の嘘をあんたが見破るゲームでいいのか?」
今更ルール確認?
そういうのはゲームを始める前にまとめて質問してほしい。
「そうよ」
「そうか」
高田さんは含みのある笑みを浮かべた。
晴恋は再びスタートと言い、晴恋と高田さんの間に少しの沈黙が訪れる。やがて高田さんは口を開いた。
「私さっきまでトランプをやってたんだが……後一枚で上がれそうなんだが負けそうだったんだ。それでここに来たんだ」
今のところ嘘はない。
晴恋は高田さんの勝ち気な目と合った。高田さんは微笑を浮かべる。
「さて……このカードはジョーカーである」
晴恋の体に冷や汗が流れた。




