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赤い月夜の館  作者: 琶苑
3/4

赤い服の悪魔払い《エクソシスト》




見慣れた天井…。



「まただ……」



また、昨晩の記憶が途中からない。



あの女に殺されそうになったところまでは覚えてる。

そこからは記憶がない。



女の攻撃に当たって気絶したんだろうか?

でも、特に体が痛いわけじゃない。

吸血鬼だから治りが早いんだろうか?




……そうだ!

ルイン様は大丈夫なのか?グレイは?ルリは?

あの女はどうなったんだ?



レオンは起きあがると昨日から着続けていた使用人服のまま部屋を出た。




レオンが強く扉を開けたため、扉を開ける音は屋敷中に響く。



「どうしたんですか?」



驚いた表情でグレイはレオンを見ていた。



「グレイ!」



レオンはグレイを見て安心して自然と笑みがこぼれた。



「無事だったんだな。ケガは大丈夫なのか?」


「魔族は回復力は人間の倍以上ありますからね。それに、ケガはそれほどひどくはありませんでした」


「そっか…。

ルイン様とルリは?」


「ルイン様は無傷です。ルリなら今部屋に…」


「ちょっと!大人しくしなさいよ!」



うわっ!ビックリしたぁ。


ルリの部屋からルリの元気な声が聞こえた。


思ったより元気みたいだし、心配して損した感じだな…。



つーか、何を騒いでるんだ?



「朝からうるさいぞ」


「ルイン様、申し訳ありません」




ルリの声で目覚めたのか、ルインがまだ眠たそうな顔をして自室から姿を見せた。


ルインはレオンがいることに気付くとレオンに近寄りジーッと顔を見た。



「あの…?」


「顔色は良さそうだな。体調はどうだ?」


「体調は悪くありませんが?」



ルイン様に聞かれて初めて気付いた。

そういえば昨日より体調が全然いい。

むしろ、健康っぽい。


なんでだ?




レオンが腕を組んで考えていると、ルリの部屋の扉がバンッと開き、ルリが誰かを引っ張って部屋を出てきた。



「ご主人様、グレイ、できましたよ!」


「ほぅ…」



ルリは男性陣3人の前にツインテールの髪形でルリと同じメイド服を着た女を見せた。


女は少し渋そうな顔をしていた。



「なぜ私がこんな格好を…」



どうやら女はいまの格好が気に入らないらしい。



「これがこの屋敷の制服だもの。仕方ないでしょ」


「なぜ髪形まで…」


「女の子なんだから少しは身だしなみに気を使いなさい」


「……」



嫌な顔をしている女にグレイは近づいて話かけた。



「似合っていますよ」


「そうなのか?」


「えぇ」


「まあ、私のコーディネートがいいからね」



ルリが自慢気に言う。

そんなルリをグレイはただニコニコと見ていた。



女を見てから首を傾げていたレオンはルインに聞くことにした。



「ルイン様、あの女の子は誰ですか?」


「もう忘れたのか?昨晩、襲撃してきた女だぞ」


「えぇ!?」




そう言われれば顔が同じだ…。

昨日と全然身なりが違うから気づかなかった……って!



「なんで襲ってきた人が普通に屋敷にいるんですか!」



「屋敷の使用人になったからに決まっているだろう」



使用人!?

いやいや、有り得ない。

どうして襲ってきたやつが使用人になるんだ?



「それでは私がお前のために使用人になったみたいな言い方になる」


「何か間違っているのか?」



ルイン様と俺の会話が聞こえたのか女が会話に横入りしてきた。



「私はお前の為ではなく、自分の為にここにいるんだ。

使用人になったのはここに住まわせてもらっているかわりに働くにすぎない」



下宿料ってやつだな。

まあ、昨晩の格好を見る限り持ち合わせている金があるように思えないし……。

あれ?なら、こいつどうやって生活してたんだ?



「お前、レオンだよな?」


「そうだけど?俺に様でもあるのか?」



俺が考えごこをしていると、女が話しかけてきた。

俺の名前は多分、ルイン様にでも聞いたんだろうな。



「いや、ただ確認してみただけだ」



確認?確認って名前の確認か?



「そういえば俺、お前の名前知らないんだけど…」


「名前…?」



名前を聞くと、何でか顎に手を添えて考え始めた。

俺、何か変な質問をしたっけ…?



「そういうことか…」


「何がだよ?」


「なんでもない」



なんで一人で納得してるんだ?

変な女だな。



「名前だったな。

姓は水無月、名はキキョウだ」



水無月キキョウ、か。



「キキョウって人間、だよな?」



昨晩のグレイたちとの戦いを見た限りだと、使ってたのは普通の銃とかだったし…。



「“元”がつくがな」



元人間?

今は人間じゃないってことか?



「なら、今はなんなんだ?」


「不死者」


「ゾンビ…?」



よくゲームや映画に出てくる死体が動くアレのことかな?



「でも、ゾンビって脳は死んでるから意志とかはないんじゃ…」


「それは腐敗者グールの方だ」



俺の知ってるゾンビと違うことで悩んでいると、ルイン様が教えてくれた。



「グール?」


「ゾンビは不死者と書くが、グールは腐敗者と書く」



不死者と腐敗者?



「不死者は死霊術師によって肉体から離れた魂を死神につれていかれる前に再び肉体に戻すんだ。元々、肉体は死んでいるから不死者が死ぬことはない」



つまり、死ぬことができない人間って感じか。



「腐敗者は生きている人間が“死徒”の吸血鬼によって血を吸われると身体や脳が腐敗する。

生ける屍というやつだな」


「“死徒”?」



また新しい単語が出てきた。

吸血鬼って真祖とブラッドの他に死徒もあるのかよ。



「吸血鬼には三種類ある。

人間を吸血鬼にすることができる“真祖”。

真祖によって吸血鬼にされた“ブラッド”。

そして、人間を腐敗者にする“死徒”だ」



真祖に死徒にブラッドか…。

確かルイン様は真祖だよな。



「レオンさん、お話中すみませんが…」


「グレイ、どうしたんだよ?」


「学校に行かないのですか?」


「あぁ!」



時間がない!

この屋敷、町外れにあるから遠いんだよ!


制服に着替えて行かないと!




レオンはあわてて自室に行き、制服に着替えて屋敷を出て行った。


慌てて出て行ったレオンを見て、キキョウは何がなんだかよくわかっていない様子だった。



「レオンはなぜ慌てて出て行ったんだ?」


「学校に遅刻しそうだったからでしょ?」


「学校…?」


「勉学を学ぶところですよ」


「なるほど。現代の寺子屋か」


「寺子屋って…。あんた江戸時代の人間じゃあるまいし」



ルリはキキョウがおかしな言い方をするものだから、笑ってしまった。


グレイも軽く笑ってしまっていた。



「何を言っている。私が生まれたのは、江戸の幕末だぞ」


「え?」



キキョウの衝撃的なカミングアウトにグレイやルリだけでなく、ルインまでもが驚いていた。



「16、7歳にしては落ち着いているとは思ってたけど、まさか100年以上生きてるおばあちゃんだったとは思わなかったわ…」


「確かに不死者は歳をとることはありませんが…」


「不死者は成長事態が止まるからな」




“死ぬことがない”ということは、歳をとって死ぬこともない。

不死者は不老不死そのものである。



「キキョウさん」



グレイに名前を呼ばれ、キキョウは顔をグレイに向けた。



「屋敷の仕事を教えたいのですが、よろしいですか?」



キキョウは今日から働き始める新参者。仕事の仕方が分からないのは当然なので、教えなければならない。



「わかった。まず、何をすればいい?」


「まずは、屋敷内の掃除からです」



キキョウはグレイに任せてルリは自分の仕事をするため、台所へ向かった。


ルインは欠伸をして自室へ戻る。

どうやら、もう一度眠るようだ。

























桜月学園--


レオンの通う学園である。



なんとか、ギリギリ遅刻せずにすんだレオンは一時間目を終え、教室で次の授業の準備をしていた。


すると、レオンの所にサクヨが近づき話しかけてきた。


「昨日と比べて随分と顔色がいいわね。体調はよくなったの?」


「まあな」



本当に体調がいいな。

なんでだ?


……俺の記憶の中に吸血した記憶はないし……。



「ところでよ、レオンって前に住んでたアパート出たんだろ?」



前の席から話しかけてきたこの男は、森之宮ユウジ。

中学からの親友だ。



「払う金もないしな」


「なら、今はどうやって生活してんだ?」


「そういえば、私も聞いてないわね」


「住み込みで働いて生活してる」


「へぇ~。どこで住み込みで生活してんだ?」


「金持ちの屋敷だよ」


「屋敷!?」



嘘はついてないはずだよな?

まさか、「吸血鬼の屋敷で働いてる」なんて言えないし。


ルイン様、魔界じゃあ公爵だって話だし、屋敷も立派だから金持ちだよな?



「ここら辺に屋敷なんてあったっけ?」


「ここら辺にはないよ。町外れの場所にある」


「金持ちの屋敷かぁ。行ってみてえな」



いや、来られるのは非常に困る!

ルイン様や俺が吸血鬼だってバレたらマズいって!



「屋敷の主人に許可もらわないと中には入れないと思うぞ」


「行きたいけどよ、今は部活が忙しいんだよ」


「私も委員会で忙しいから……」


良かった~。

心の底から良かった。


吸血鬼のことがバレるのも困るけど、いつ来るか分からない刺客がいるのに二人を危険な目に合わせずにすむ。





その後、レオンは授業をすべて終え、あっという間に放課後になった。





















部活動も委員会も入っていないレオンだが、今日は先生に呼び出され帰るころはすでに夕暮れ時だった。



「今日は遅くなったなぁ。まあ、仕事をする時間も減ったしまあいいか」



レオンは屋敷への帰り道を歩いていたが、突然足を止めた。




あそこにいる奴ってもしかして……。



「キキョウ!?」


「レオンか」



キキョウは白い生地のワンピースを着てレジ袋を持っていた。


キキョウを見てレオンは驚いている。



「お前、どうしてここにいるんだよ?」


「この町の地形を覚えるついでに買い出しを頼まれた」


「他には何か買うのか?」



レオンにそう言われ、キキョウはポケットからメモ用紙を取り出して他に買う物がないか確認した。



「……他にはない」


「なら一緒に帰ろう」


「……お前は“帰る”というんだな」


「え?」


「あの屋敷はお前にとって帰るべき場所なんだな」


「キキョウは違うのか?」


「帰る場所は140年前に失っている」



ひゃくよんじゅう!?

140年前って…幕末!?

キキョウってもしかして、見た目よりずっとおばあちゃん?


不死者って歳もとらないのか……。



「どうした?私の実年齢を聞いて驚いたか?」



驚いているレオンを見て微かに笑っているキキョウ。



「驚くよ…。俺と同い歳くらいだと思ってたし。

キキョウって幕末の生まれなら、やっぱり新選組とか見たことあるのか?」


「……見たことは、ある」




あれ?今一瞬淋しそうな顔した?

まあ、幕末のころってこいつの家族とかいたわけだしな。こいつの友達だっていたわけだし。

いない奴を思い出して淋しいんだろうな。




「……レオン、止まれ」



キキョウがそう言ったのは人の姿がまったくない道にさしかかったときだった。

日は完全に落ち、辺りは完全に暗かった。



「どうしたんだ?」


「私たちに何の用だ?」


「いえ、人間に紛れて化け物がいるなぁと思いまして。その駆除に来たんですよ」



二人の背後からした第3者の声。

「なんだろう?」と思いレオンが後ろを振り向くと、赤い帽子と赤いマントを身につけている黒髪の男が笑顔で立っていた。

キキョウも少し遅れてレオンと同様にその男を見た。



「なんだよ、あんた?それに駆除って…?」


「はじめまして。私は『月神つきがみセンリ』と申します。短い間ですがよろしくお願いします」


「短い間?」


「ええ。あなた方を始末するんですから、短い間の付き合いでしょう!」



センリはそう言い放つと同時に、何かを二人に投げてきた。


レオンは突然の行動に反応できなかったが、すぐに反応できたキキョウが体を押してくれたおかげでセンリの投げた物に当たらずにすんだ。

キキョウはセンリを押したあと、自分自身もよけた。



「一体なんなん……だ……」



レオンはセンリが投げた物を見て顔を青ざめた。

センリが投げたであろう30cmほどの長さの銀でできた針が地面に刺さっていた。



「よけられてしまいましたね。残念です」


「あいつ、なんなんだよ?」



レオンはキキョウに尋ねると、キキョウは買い物袋を地面に投げ捨て隠していた短刀を取り出した。

冷や汗を流しながら、レオンの質問に答えた。



「奴はおそらく教会公認の悪魔払い《エクソシスト》だ」


「悪魔払いって……俺達って悪魔なのか?」


「表では悪魔払いと名乗っているが、実際は化け物専門の殺し屋だ」


「化け物って……」



吸血鬼であるレオンと不死者であるキキョウは完全に当てはまっていた。



「下がっていろ。こいつは私が始末する」



レオンにそう告げると同時にキキョウは短刀を自分の前に突き出し、センリに向かって走り出した。


キキョウがセンリに向かって走っている間もセンリは針を投げつけていた。

キキョウはセンリの投げる針をよけたり、はじいたりしている。


そして、キキョウがセンリとの距離が1歩2歩というところまでつまった。



「これで終わりだ」


「まだですよ」



キキョウの短刀をセンリは針3本で受け止めた。



「!?」


「あんな細っこい針3本だけで剣を受け止めた?」



遠くから見ていたレオンは驚く。

キキョウもレオン同様驚いている。


その時、キキョウに隙ができセンリは懐から今までより太い針を取り出した。



「あっ!」


「これで終わりです!」



センリはキキョウの心臓部分にその太い針を刺した。

太い針には血が流れ落ち、キキョウの着ていた白いワンピースには赤い血が目立った。



「キキョウ!!」



レオンがキキョウの心配をしていたが、その心配とは裏腹にキキョウはつらそうな顔をしながらも太い針を体から抜きとった。


そして、傷口を抑えながらも目の前にいるセンリを睨みつける。



「ん?あなたもしかして……」



センリは心臓を貫かれても立っているキキョウに興味を持っている。



「魔族の弱点である銀で心臓を貫かれても生きている……。

あなたは不死者でしたか」


「不死者をどうやって殺す?悪魔払い」


「腐敗者ならば殺せるんですが、不死者となると殺せませんね。というわけでこうさせていただきます」


「っ!(早い…)」



キキョウの目では捕えることのできない素早い動きでキキョウの短刀を持っていた左手の甲に1本の針を刺した。



「不死者だから死なないが、痛覚は普通にあるのだぞ」


「痛覚はあっても死なないのが不死者です。だから、あなたの動きを封じさせてもらいます」


「動きを……!?」



キキョウは突然、地面に膝をつきそれからまったく動くことがなかった。

首はなんとか動かせたので、顔をあげ睨みつける。



「何をした?」


「その針には麻痺薬がぬられていましてね。しびれて動けないでしょう?

その間にそちらの化け物を始末させていただきましょう」



センリはそう言って今まで戦いを遠くから見ていたレオンの方を向いた。

そして、30cmの針を3本取り出すとゆっくりとレオンの方に近づいていった。



「レオン逃げろ!!」



レオンは逃げようとしたが、センリはレオンに先ほどキキョウを攻撃したように針を投げつけた。


当然、最初の一撃をよけれなかったようにレオンではよけることはできない。

しかし、レオンはその針は逆に掴むと逆にセンリにその針を投げつけた。



「!!」



レオンの投げ返した針はセンリの頬をかすった。



「まさか……」



一部始終を見ていたキキョウは一つの答えが脳裏をよぎった。



「シオン、か?」


「レオンも毎回毎回よく危険な目に合うものだ」



シオンは最近よく危険な目に合うレオンに対して、ため息をついた。


センリは先ほどまでと違う雰囲気に冷や汗をかいている。



「あなたは……?」


「今回はお前か。しかも、今度はちゃんとした人間だ」


シオンは隠し持っていたナイフを取り出し、刃をむき出しにする。



「お前がレオンを殺そうとするなら、俺の敵だ」



センリは針をシオンに向かって何本も投げつけながらシオンに向かって走り出した。


シオンはセンリの投げつけた針をよけたりナイフではじいたりして当たらないようにしている。



センリはシオンの近くまで来ると、太い針1本取り出しそれでシオンに向かって何回も突く。


そんなセンリの攻撃をシオンはその攻撃をよける。


シオンはよけながらも反撃する隙を探していた。



「そこだっ!」



ガキィンと金属音が響いた。



センリの手にあった太い針はなくなっいた。

シオンがナイフでセンリの太い針をはじいたのだ。

シオンはナイフの刃の向きをセンリに向けると続けてセンリにナイフを振り下ろした。



その攻撃を読んでいたのかセンリは振り下ろされる前にシオンと距離をあける。



「危ないじゃないですか。私はあなたが方化け物と違うんですよ」


「お前は人間とは思えない動きをしているがな」


「お褒めいただきありがとうございます」



センリは笑顔を絶やさずにそう言うと、シオンに背を向けた。



「どこに行くんだ?」


「今日のところは帰ります。持ち合わせの針がなくなってしまいましたし」



「帰る」と言ったセンリだが、その足はいまだに動くことのできないキキョウの方に足を向けた。

そして、キキョウの腕を掴み無理やり体を抱くと、キキョウに口づけをした。



「!?」

「!?」



口づけをされたキキョウとそれを見ていたシオンは驚きのあまり言葉を失った。

キキョウは抵抗しようにも、薬のせいで体が動かない。


キキョウの喉が「ゴクリ」と何かを飲む音が聞こえた。


キキョウが何かを呑むと、センリはキキョウを解放した。



「お前!何を飲ませた!?」


「痺れをとる薬ですよ。あなたが動けないのであれば私が飲ませるしかありませんからね。

しばらくすれば痺れは取れますよ」



センリはそうキキョウに告げると、帽子を脱いで頭を軽く下げるとその場を立ち去った。



「……」


「どうしたんだ?」



センリが立ち去ってからずっと黙っているキキョウ。

そんなキキョウが気になったのか、シオンが話しかけてきた。



「いや……別に……。それより帰るなら先に帰ってくれないか?あの男の言ったことが真実ならばしばらくすれば痺れは取れるだろう」



キキョウは自分を置いていくように言ったが、そんなキキョウの願いとは逆にシオンはキキョウを横抱きにした。


シオンの行動にキキョウは驚いた。



「どういうつもりだ?」


「お前に借りを作っておくのも悪くないと思ってな」


「……嫌な男だな」


「そこは親切と思って欲しいところだな」



体がうまく動かないから当たり前だが、キキョウは文句を言いながらも黙ってシオンに抱えられていた。













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