不死者《ゾンビ》
目の前に見えるのは、最近ようやく見慣れた天井。
俺は重たい体を起こした。
「俺の部屋…。いつの間に寝たんだ?」
昨日…いや、最近は0時には普通に起きてるし、正しくは今日か。
今日、寝る前の出来事を思い返す。
!!!
そえだ!狼男が屋敷に現れて、俺は殺されかけて、それから……?
それから…どうした?
………
ダメだ。そのあとが全然、思い出せない。
キィ…と扉が開く音がした。
「目が覚めましたか?」
「グレイ…」
グレイが俺の部屋に入ってきた。
「気分はいかがですか?」
「大丈夫…。それより、昨日の狼男たちはどうしたんだ!?俺、あいつらにやられたんじゃ…!」
「昨日の刺客たちは狼男ではなく、ウェアウルフです」
ウェアウルフ?狼男とはどう違うんだ?
「狼男は満月を見たとき以外は人間の姿ですよね?ですが、ウェアウルフは満月がなくてもあのような姿になれるんですよ」
俺の思考を察したのか、グレイはウェアウルフと狼男の違いを説明をしてくれた。
すると、グレイは俺の目の前に時計を差し出した。
時計なんて俺に見せてどうする……って!
「学校に遅れる!急いで着替えないと!!」
「着替えたら食事室へ……」
「時間がないからいい!!」
メシなんて食ってる暇なんかない!
俺は急いで着替えるとそのまま屋敷を飛び出していった。
朝からあわただしく屋敷を出たレオンを見たルリは呆れていた。
「朝からあわただしいわね。深夜でのことをまったく覚えてないみたいね」
「“みたい”ではなく、本当に覚えてなどいない」
朝には聞くことのない声。
その声にルリは驚き、声がした方向を振り向く。
ルリとは逆にグレイは驚くことはなく、ニコニコと微笑んでいた。
「朝に起きるなんて珍しいですね、ルイン様」
「忘れていたことがあってな……。レオンが行ってしまったのならかまわないが」
「レオンになにかご用があったのですか?」
「あいつ、吸血鬼になってから一度も吸血をしていなくてな」
「えぇ!?」
さすがにこれにはグレイも驚いたようで、表情に出ていた。
吸血鬼ならば、血を飲まなければ生きていけない。
吸血鬼が血を飲まないでいると、いずれは死んでしまう。
それ以前に血を飲まないでいるなんて我慢できないはずだ。
「学校は人間がたくさんいるからまずいのではありませんか?人間の血を吸いつくすかもしれませんよ?」
「というかなんで血を与えなかったのですか?」
「俺は与えようとしたが、レオンがそれを拒んだんだ。自分が吸血鬼だということをまだ理解できないのだろうな」
「レオンに血を与えにいきますか?」
「昨日まで大丈夫だったんだ。今日も大丈夫だろ」
ルインはあくびをして寝室に戻っていった。どうやら、また眠るようだ。
グレイとルリは少しレオンを心配していた様子だったが、自分の仕事に戻った。
……今日はいつもより気分がすぐれない。
いや、日増しに気分が悪くなってきている。
血を飲んでいないからか?
でも、血を飲むことには抵抗がある。俺には血を飲むことは……。
「―――オン!レオン!」
「ん?サクヨか……。どうした?」
「どうしたはこっちのセリフ!レオン、顔色悪いけど大丈夫?」
俺に話しかけてきているこいつは幼馴染の“櫟サクヨ”。
俺が吸血鬼だということは知らない。
「ああ、だいじょう……」
「緑木君!顔色、悪いんだって!?大丈夫?」
突然、クラス中の女子たちが俺の机の前に現れた。
心配してくれるのは嬉しいが、うるさい。
女子たちは毎回毎回、俺の前に現れて騒がしくする。
「大丈夫だから、気にしなくてもいい」
「でも、本当に顔色悪そうよ。保健室に行った方がいいんじゃないの?」
「じゃあ、あたし緑木君の付き添いに立候補!」
「ずっるーい!あたしが緑木君と行く!」
女子たちが騒ぐ……。うるさい……。
ただでさえ、気分が悪いっていうのにうるさくされるとさらに気分が悪くなる。
……人間から血のにおいがする……。
あの女たちの血はうまいのだろうか?まずいのだろうか?
「!?」
俺は何を考えていたんだ!?
血を呑もうなんて考えていたのか?
ここは人が多すぎる。
「レオン?本当に大丈夫なの?保健室行った方がいいんじゃないの?」
「その必要はない。サクヨ、早退するから先生の言っておいてくれ」
「うん、わかった……」
レオンは教室を出て、そして学校に背を向けて歩きだした。
しかし、レオンは屋敷に帰る途中でさらに気分が悪くなったのか、膝をついた。
「くそっ!血を飲まないだけでここまで弱るなんて……。吸血鬼の体も不便だな」
「あの……」
「ん?」
レオンの目の前にいつの間にか赤い髪の女が立っていた。
ストレートだが、手入れをしっかりしていないようで、少しボサボサだ。
女性なのになぜか男物の和服を着ている。
「大丈夫ですか?気分が悪いんですか?」
「ああ、大丈夫……。少し休めば気分がよくなると思う」
「お水、飲みますか?」
女は冷たい水が入っているペットボトルをレオンに手渡した。
レオンは水を受け取り、飲むと先ほどより顔色が少しよくなったようだ。
「ありがとう。少し、気分がよくなったよ」
「それ、あげます。それじゃあ、私は行くところがあるので失礼しますね」
女はそう言うと、立ち去ってしまった。
「……あの女、見たところ俺とあんまり年齢変わらないよな?学校に行ってないのか?」
しばらく、休んでいると歩けるようになったのでレオンは立ち上がり屋敷に向かって歩いていった。
その日の夜。
俺はルイン様に呼ばれ、今その人の寝室にいる。
用件はなんとなく理解できる。
「血を呑め、レオン」
「……」
「呑まなければ、お前死ぬぞ。何のために吸血鬼にまでなって生きたんだ?」
そんなことは分かってる。死にたくなかったから吸血鬼になったんだ。
でも、血を飲むなんてやっぱり……。
ん?なんだか部屋の外が騒がしい。
また、客でも来たのか?
でも、この騒がしさは昨日のあいつらと似てる気がする。
「まさか……」
おそるおそる扉を開けてみると、やっぱり予想してた通りだった。
グレイとルリが昨日とは違う別の化け物と戦ってる…。
「あいつら、何だ?今度は牛男か?」
「今度の刺客はビーストだな。牛男でもあながち間違いではない」
「ビースト……」
「力は強いが、知能はほとんどない中級魔族だ」
「じゃあ、あんまり強くないんですね」
「あの数ならば、グレイとルリだけでも大丈……」
ルインが「大丈夫」と言おうとした時だった。
突然、外から銃声が響き、玄関の扉を突き抜けて銃弾が全てのビーストに当たった。
ビーストたちは痛そうではあるが、倒れることはなく攻撃された外へと通じる扉へと向かっていく。
しかし、ビーストが外へと出るまえに、銃弾を撃ったと思われる人物が先に屋敷の中へと入ってきてビーストたちを銃で撃ちまくった。
さすがに何発も当たるとビーストも倒れ、それからピクリとも動かなくなった。
「あれ?あいつ……」
見覚えが……?
レオンが突然現れた人物に見覚えがあった。
ボサボサの赤髪、男物の着物…。
あいつ!俺が道で苦しくしてたときに水をくれた女、だよな。
どうしてここに?
女は無言のまま、銃口をグレイとルリに向けるとそのまま2人に向かってうった。
「!?」
なんだ!?あの女も魔界からの刺客ってやつなのか?
女の攻撃には隙がなく、グレイとルリは銃弾を避けるのに精一杯のようだ。
しかし、そんな状態が長続きするわけもなく、やがて弾切れとなった。
すかさず銃の弾を補充しようとするが、せっかくできた隙を見逃すグレイとルリではなかった。
ルリはナイフを女の持つ銃に投げつけ、銃をはじいた。
女は銃をはじかれ、手から離れてしまった。
「今よ、グレイ!」
「分かりました!」
ルリの合図でグレイは一気に女に詰め寄り、剣で女に斬りかかろうとした。
「これで終わりです!」
「!?」
グレイの持つ剣は女の脇腹にささった。
女は致命傷を負った。
グレイそう思った。
しかし、女は顔を上げてグレイのを見た。
「なっ!?致命傷を受けた筈!動けるわけが…!」
女は隠し持っていた短刀を抜くと、グレイの右の胸を短刀で刺した。
グレイは女とすれ違うように倒れていった。
「グレイ!」
「ルリ、来たぞ」
「え?」
ルインにそう言われ、ルリは自分の目の前に女がいたことに気付いた。
「いつの間に!?」
ルリは咄嗟に手にしていたナイフで女を攻撃したが、女はいとも簡単に短刀でルリの攻撃を防ぐと、右足でルリの腹部を攻撃した。
「カハッ!」
ルリはその場で膝をついてうずくまってしまった。
「あとで始末してやるから、そこで待っているんだな」
女は落ちた銃を拾うと、ルインを睨みつけ、ルインの所に移動をし始めた。
「グレイ…ルリ…。なんなんだよ?あの女…」
レオンとルインの前にやってきた女は銃口をルインに向けた。
すると、レオンはルインを庇うようにルインの前に立つ。
「お前は昼間の…。そこをどけ」
「嫌だ」
「できれば人間は殺したくない」
「俺はもう人間じゃない!!」
その言葉を聞いた女は、目を丸くし驚いていた。
「だが、お前からは血の匂いが……」
「血の匂い?」
女は言いかけた言葉を飲み込む。
「お前が人間でないとすれば、私はお前を殺すだけだ。だが、今はそこの真租の吸血鬼からだ」
「ルイン様を殺すなら俺を殺してからにしろ」
「……殺して欲しいならお前から殺してやってもいいぞ。あそこで倒れている奴らと一緒にあとでまとめて殺そうと思ったんだが……」
女はレオンに近付き、短刀で刺そうとした。
女の持つ短刀がレオンの心臓を目の前にし刺そうとした時、短刀の動きが突然ピタリと止まったのだ。
なぜなら、短刀を持つ女の腕をレオンが掴んでいたからだ。
「!?」
「また現れたか、シオン」
「躯に死なれたら困るからな」
シオンが女の腕を掴んだのだった。
「今回はどんな奴がレオンを殺そうとしたんだ?」
シオンは口元を釣り上げながら女の顔を見た。
女は空いている方の手で銃も構え、シオンをうつ。
咄嗟に銃に気付いたシオンは女から手を放し、銃弾をよけた。
シオンの後ろにいたルインも流れ弾をよける。
女は続けてうつが、全てシオンによけられてすぐに弾切れになった。
女は銃を投げ捨てると、短刀でシオンを攻撃する。
シオンはナイフで女の攻撃を全て防いでいる。
「化け物でもない女を傷つけるのは気が進まないが……」
シオンはそう言って、女の心臓部分にナイフを突き刺した。
「躯を殺そうとするなら話は別だ」
突き刺したナイフを抜きとると、支えを失った女は床に倒れた。
床に敷いてあるじゅうたんは女の血で染まってゆく。
シオンはナイフについた血を払うと、ルインを向きナイフを向けた。
「今回は邪魔も入らない。ゆっくりお前を殺すことができるな」
「……いや、邪魔する者はまだいるぞ」
「何言ってるんだ?お前の使い魔は下で倒れてしばらくは動けない。さっきの女も見ての通り、ナイフを心臓に突き刺した。生きてるわけがないぜ」
「そう思うなら後ろを見てみろ」
シオンは半信半疑でルインに言われた通り、後ろを振り向いた。
後ろを振り向いた瞬間、シオンは目を疑い驚いた。
「なん……だと……」
心臓にナイフを突き刺され、死んだと思われた女がゆっくりと立ち上がったのだ。
仕留めそこなったのかと思い、シオンが女の心臓部分を見たが女の心臓部分からは血で汚れた服がにじみ出ていた。
「なんで立ってるんだ?人間ならとっくに死んで……いや、人間でなくても心臓を突き刺されて生きてる奴がいるわけない……」
「シオン、まだ気づいていないのか?殺しても死なない存在に」
ルインにそう言われ、シオンは顎に手を添えて考えた。
「殺しても死なない存在……。まさか、お前不死者か!?」
「そうだ……私は不死者だ」
女は自分が不死者だということをシオンにこたえると、唇をかみしめた。
女が不死者だと分かると、シオンはあきらめたように両手をあげた。
「不死者が相手ならさすがの俺も諦めざるをえないな」
「今のお前はどっちだ?」
「?」
女にそう言われ、シオンは首をかしげた。
「そこの吸血鬼を護った方か?それとも殺そうとしている方か?」
そういうことかとシオンは苦笑する。
「今は後者のほうだ。だけど、この体の持ち主はレオン……この性悪吸血鬼を護った方だ」
「お前はその体を借りているわけだから、表に出てきたのか」
「俺はルインを殺すために躯が必要だったからな。この体に死なれちゃ困る」
「待て。その吸血鬼を殺すのは私の役目だ」
「吸血鬼を殺すなら他の奴にしろ。俺は吸血鬼じゃなく、こいつを殺したいんだ」
いつの間にかどっちがルインを殺すかでもめていた。
自分の目の前でそんな話をされているルインはあまりいい気はしないだろう。
しかし、ルインはそんな言い争いが面白いのか笑っていた。
ルインが笑っている間も二人は言い争いを続けている。
「だいたい、お前はこいつに会ったことでもあんのか?」
「ない。今日が初めてだ」
「だったら、なんでこいつを殺そうとすんだよ?」
「私が人間に戻るには一人でも多くの化け物を殺さなければならないんだ」
女が言ったことを聞いて、ルインは笑っていた顔を一瞬で真剣なものにし、言い争う二人の間に割って入った。
「“人間に戻る”とはどういうことだ?」
「私を不死者にした死霊術師が『1万の魔族を殺せば人間に戻せる』って言ったんだ」
「確かに、死霊術師なら1万の魔族の命を奪った不死者を人間に戻すことは可能だ。……しかし、死霊術師が現代に存在していたとは……」
「そういうわけだから、私を人間に戻すために殺されろ」
そう言ってルインに短刀を向ける女に対し、納得のできないシオンは再び文句を言う。
そして二人はまた言い争いを始めた。
「フッ……クックックッ……」
突然、ルインが笑い出したことにギョッとしたシオンと女は言い争いをやめ、ルインを見た。
当然ではあるが二人は驚いている。
「長生きしすぎてついに頭がおかしくなったのか?それは大変だ、すぐに俺に殺されろ」
「いや、だから私が殺す」
「女、お前の名は?」
女はいきなりルインに名前を聞かれ、驚いたが深呼吸をして心を落ち着かせると、ルインをまっすぐ見て自分の名前を口にする。
「キキョウ。水無月キキョウ」
「なら、キキョウ。俺と契約を結べ」
「!?」
ルインに『契約を結べ』と言われ、どういうことか分からないキキョウとそれを聞いていたシオンは首をかしげる。
そんな二人に説明をするようにルインは話を続ける。
「俺は今、魔界からの刺客に命を狙われている。そこでだ、ここで住み込みで働き、やってくる刺客を殺せ」
そこまで言われ、シオンもキキョウも理解できたようだ。
「その代わり、私はお前を殺さないでいろと」
「その通りだ」
ルインからの提案にキキョウは短刀を持ち上げていた手をおろし、提案を受け入れるか否か答えを出すために考え始めた。
しかしすぐに顔を上げ、考える時間はごくわずかだった。
「その契約、結ぼう。私にとっては悪い話……いや、むしろ良い話のようだ」
「契約成立だな」
キキョウは契約が成立されたのが分かると、むき出しにしていた刃を隠し、短刀と銃を仕舞った。
キキョウがもうルインに敵対心を持っていないことが分かると、シオンはナイフを強く握りしめルインに向けた。
「これでゆっくりお前を殺せるな、ルイン」
「殺す殺すとさっきから言っているが……」
キキョウがシオンに話かけてきた。
シオンはナイフをルインに向けたまま目線だけをキキョウに向け、話を聞く。
「この真租の吸血鬼はお前の主人吸血鬼だろう?殺してしまってはその体はもたないぞ」
キキョウの話に興味を持ったのか、シオンはナイフを持っていた手を降ろし体ごとキキョウの方を向いた。
「どういうことだ?」
「ブラッドは主人吸血鬼の血がなくては生きてはいけない」
「なに!?」
その話しを信じられなかったシオンはバッとルインに答えを求めるようにルインを見た。
「残念ながらキキョウの言ったことは真実だ」
“残念ながら”と言っていたが、ルインの表情は笑顔だった。
「つまり俺はこいつが死なないようにこいつを護らなければならないってことか?」
「そういうことになる」
「千年間、こいつを殺すために躯を乗り換えてきたってのに……」
「安心しろ、シオン。俺の血は半年に1回程度飲めば問題はない」
「お前の血を飲んで生きることが……!」
シオンは突然の立ちくらみに襲われた。
自分の力で立っているのもつらく、手すりに手をかけてなんとか立つ。
「なんだ……?前も気分が悪かったが、今回はすごく気分が悪い……。それにいつもより喉が渇く……」
「本来ならば1週間に一度飲まなければならない血をひと月も飲まないからだろうな」
ルインが何か言ってるが、今の俺には耳に入らない。
目の前で血のついた服を着ているキキョウから目が離せない。
気がついたときには、無意識のうちにキキョウに抱きつき、そして彼女の首筋から牙で噛みつき、血を……飲んでいた……。
なんだ……?喉が潤う……。血がうまい……。
キキョウは血がなくなっていくせいか、体中から力が抜けていき立つこともままならなくなっていた。
しかし、そんなキキョウをシオンが抱きつき支えていたため、倒れることはなかった。
そんな様子を見ていたルインは唇を釣り上げて楽しそうに見ていた。
「!?」
シオンは突然、キキョウから手をはなす。
シオンから解放されたことでキキョウは支えを失い、床にペタリと座り込んだ。
……俺は何を……?
これじゃあ、ルインの奴と同じ吸血鬼だ……!
キキョウは虚ろな目でシオンを見て、そして力ない声を出した。
「…私が……不死者……でなか……たら……人一人……死なせる……勢いだった……ぞ……」
キキョウはそうシオンに言って、床に倒れこみ気絶した。
ルインはそんなキキョウを横抱きにしてから、シオンを見た。
「お前とレオンはすでに一心同体だ。レオンが吸血鬼になったのなら、その躯をつかっているお前も吸血鬼。本能には逆らえない」
そう言うと、キキョウを抱えてその場をあとにした。
その場にただ一人残ったシオンは床についたキキョウの血を見た。
「……今日、この躯を使っていられる時間も終わり…だな……」
そう言って、シオン……いやレオンは床に倒れこんだ……。