フェティシズム・ファンタズム〜VSハピエン厨〜
極まった性癖は、『能力』として顕現することはあまり知られていない。
性癖能力者たちが、己の存在を秘するからである。
なぜか。
性癖は、余人から知られると、恥ずかしいからだ。余人に知らせるものではないからだ。というか、己の性癖を認識し、言語化できて余人に発信できる時点で、性癖能力者として半分開眼している。
閑話休題。
ゆえに、性癖能力者たちは、日夜隠れながらバトルを繰り広げている。
なぜなら──恥ずかしいからだ。
◆
「俺は性癖 ハッピーエンド」
「まずは服を着ろ!」
性癖の終積地、シンオオサカ。
健全な学生たる俺たちが、学生の義務たる世論皆麺類の麺をすすりに出向いたら、シンプルに全裸の男に絡まれて、能力バトルに巻き込まれてしまった。
「ハッピーてのは、服がなく生もなく死がない状態だ。これ以上悪くなりようがないからな。いいか。服がなければ、少なくともこれ以上不幸になることはないんだ。だから、俺の能力はハッピーのために、衣服と生を奪い去る」
「拗らせすぎじゃないかしら……?」
「じゃあ、女。お前は、今から服がなくなったら、ハッピーでいられるか?」
「その前に、あんたをぶち殺すけど。こいつがね!」
思いっきり肉盾として、全裸男の真ん前に突き出された。
「"ハッピ エンド"」
謎の効果音と共に、俺の服が裂けた。
俺の全てがさらけ出され、頭ハッピー野郎は俺の股間を凝視した。そして、しばらく見比べて。
「ハッピー!!!!」
「死ねやお前!!!!!!!!」
「男ってすぐにそういうことするわね」
うるせえぞクソアマ。お前が俺をそもそも肉盾にしたせいだろうが。
「なら、あなたは私に、全裸になれって言うの?」
「男女平等ってそういうことじゃないか!"ハッピーーーーー!!!エンッ!!!!!!"」
最後まで言い終える前に女の能力の男同士ケンカップルが召喚され、ハッピーエンド野郎の首を絞める。俺は頭から、巨乳能力をハッピ~野郎にぶつけた。
だが。
「死なねえ!それはハッピーじゃねえから!」
「くっ……やられたわ。確かに、ハッピーエンドにおいて生存は必要条件。あと記憶喪失も」
「記憶喪失は別にハッピーじゃない」
「え?」
カルチャーショックを受ける女。女は膝をついた。再起不能かもしれない。
「あとは、巨乳能力者お前だけだ」
「くっ……!」
まずい。この全裸ハッピー男は、意外とつよいかもしれない。BL女が自滅しただけだが。
勝ちを確信したのか、余裕の笑みを浮かべるハッピー野郎。
そして聞こえるサイレンの音。
「警察や!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!警察エンドはハッピーじゃ、ない!!!!!!!!」
全裸野郎は爆発して、逮捕された。公権力はすごかった。
性癖能力者は、敗北したら爆発する。地雷だから。
俺は耐えた。被害者だから。




