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不思議な露天商  作者: 樋口 涼
不思議な露天商

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82/91

18

街と外の境目には、一段と大きな篝火が立って居た。

崩れた街並みを、無残にも浮かび上がらせている。


その中で、いそいそと右往左往する影達。

誰かが率先して皆に指示を与えていた。


緑のサルを持っていた元客人と直だった。

2人を中心に何かが始まっていた。


崩れたアーチ前に居る2人に近付くと、足元に四角と棒の…絵。


「何をしている?」


カロンは直に声をかけた。


「おかえりなさい、カロンさん」

「これは?」


残っていた元客人達が、瓦礫をアーチの横に積んでいく。

それを使える物使えない物に分別していく者がいた。

使えない物はアーチの外へ投げられた。

どうやら、アーチの外へ出すと風がどこかへ運び、消えるかららしい。


「お前達は一体何をしようと言うのだ」


カロンは驚きを隠せなかった。


「街を復活させしようと…しています」


「元には戻せないとは思いますが」と、直は申し訳なさそうに付け加えた。


「どうして…」


戸惑うカロンに、直は作業をしている元客人達の1人を指さした。


「彼が…彼と…多分友人の人でしょうか。3人が一生懸命瓦礫を退けていたので」


緑のサルを持っていた者を中心に、他の者達より動く3人が居た。

「無理だろう」そう、カロンは思った。

それ程、街は壊れていたし、自分はもう船から降りられない。

手伝う事も出来ないのだから…と。


元露天商の店主達も諦めて、篝火を点した先人に続き街を出て行っている。

ここに来るまでも、代価を持たない亡者達の列を見た。

元客人もカロンが船に乗せ送るというのに…。


「誰も居なくなっても…僕がします」

「お前はまだ死んでいない」

「でも、このアーチからは…僕は帰れない」

「…」


崩れたアーチを、2人は眺めた。

街の瓦礫を退かそうが、店を作り直そうが、アーチだけは…無理だ。


「川も…渡れない…」

「はい。なので、少しでも。…償いにはならないでしょうが」

「…」


カロンは直の顔を見た。


「好きにしろ…俺がとやかく言える事ではない…」


そう言って、直から離れた。

数人の元客人が並んでいる所へ船を漕ぎ、着くとすぐさま乗せた。

動き出す船に視線を向けるのは、今回も乗れなかった元客人達だけで、後は忙しなく街を闊歩している。


「好きにしたら良いさ…」


「気が済むまで何でも…」そう、カロンは呟く。

ふと、地面に何かが描かれているのが見えた。

あの、緑のサルの者達3人が座っていた場所に。


四角に棒が付いた…店だろうか。

それが立ち並ぶ下に、きりんとかばと…さる。

そして、その真ん中に象が描かれていた。


何やら文字や記号も書かれていたが、カロンが読む前に川は船を流した。

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