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不思議な露天商  作者: 樋口 涼
人の形

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35/91

心の在り方

「理想の彼女を手に入れた」そう思っていたのに…。と、男は目の前の露店主を睨みつけた。

しかし、手は出せない。


目の前に居る…相手は顔が見えず、性別こそ分からないが自分よりも背が高く、顔や体形を隠すあの布の下は…男だろう。と見当をつける。


自分がこんな所に来た、理由は分からない。

それでも、彼女に渡さないと…俺を大事で大好きな彼女に答える為に。

アニメの彼女の絵が、動きが脳裏に過る。

仕方ない…。


「代価を払えば良いんだろ」


男はポケットにあった小さな代価を一つ差し出した。


「それをいただいても無理です」


店主は毅然とした態度で断った。


「あなたと話をしても無駄だと思います…なので、私は和麻さんの方を…」

「俺のは拒否して!ジジイのを受けるのか!!」


男は叫んだ。

カロンは少し何かを考える様に、男を眺めた。


「では、一緒に行きますか?」

「は?」

「一緒に行きましょうか。…どうせ一緒の場所ですし」


カロンが手に鈴を持ち、店の外へ出て来た。

そこで、ふっとガラス管の代価の一つが消えた。


和麻から一つ代価を受け取ると、カロンは手に持つ鈴を掲げた。


ちりんっ


一度鳴らす。

目の前の川に船頭が乗った船がスーッと音も立てず着いた。

滑るように船へ近づくカロンに、和麻と男は付いて行った。


「いいのか、カロン」

「これも…仕方ない事だ…」


船頭がちらっと後ろに視線をやる。


「…ま、そうだな」

「また…骨折り損になりそうだが…な…」


カロンは船に乗り、代価を船頭に渡す。


「さあ、あなた方も」


カロンの言葉に和麻が代価を取り出し、船頭に渡す。

男は代価を渡したくなかった。

自分には一つしかない代価を、得体の知れない奴に渡したくは…。


「ご自由に…」

「待て…」


出発しようとする三人を、男は止める。

老人の持つ代価をちらっと見る。


「他人の代価では払えませんよ」


見透かしたかのようにカロンが声を掛けた。

図星だった。


待つか…行くか…。

悩んだ男は、一緒に行く事にした。


「こんなクエスト…すぐに終わらせてやる」


そう呟いて、船頭に小さな代価を渡した。

音もなくゆっくりと船は動く、いつもなら手を振る露天商の店主達は、微動だにせず、カロンと和麻を眺め見守った。

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