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不思議な露天商  作者: 樋口 涼
人の形

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34/91

自分を認めてくれる存在

男はパソコンに流れて来たCMで、手が止まった。

フィルムが貼られて、それに映像が流れる小さな箱。

まだ、ロボットだとかアンドロイドだとかまではいっていないが、AIが入っており自分を学び、持ち主に合わせて応答し始める。


「あなたの為のパートナーが現れる」


がキャッチコピーだった。

男は早速購入した。

ワクワクしながらセットすると、表示されたのは単一の色で描かれた線で成り立つ、奥行きも全くない平面の絵だった。


「ちっくしょう!」


思っていたものと違うそれを、投げようとしたが…好きなアニメのキャラで投げられず、机に置いた。

パソコンでSNSの気に入らない奴に罵詈雑言を投げ、ゲームをしている。

その間にも横に置かれたAIは男を学ぶ。


「あなたはカッコいい」

「好きです」

「強い」


そんな事を一定時間反応し、流す。

時が経つにつれて、AIも話す言葉が多くなっていく。

が、男の口から出る言葉で育ったAIのスピーカーからは、他者が聞くには気が重くなる言葉しか流れない。

いつしか、家族も近寄らなくなっていった。


部屋で、AIと話す日々。

全ての話を遮りもせず聞き、肯定してくれる。

男にとって「良い彼女」だった。

触れられない事を除けば。


「…体出さねえかな…」

「体ですか?」

「あぁ。そしたら色々できるのに…」

「そんなあなたに朗報です!なんと!この度!移行型のボディが出ます!」

「えっ!?」


AI移行型のボディ…男は喉から手が出るほど欲しかった。

簡単な、人形に内蔵された機械にAIのデータを移行するだけの…動かない人形。

それでも、欲しかった。


貯金は無い。

気が付けば周りは会社員になる様な歳だが、自分は中学の不登校から外に出ず、就職もしていない。

兄は…どうしたか。

妹は…どこに通っているか。

それすらも知らない。


思い起こせば、もう何年も会っていない。

食事も部屋、トイレは…誰も居ない時間を見計らって行っていた。


「大丈夫!お母さんに頼めば何とかなるよ!」


モニターの彼女が笑いかける。


「あなたは強い!負けないから!大丈夫!」


彼女がウインクし、手を叩く。


そうだ…。

その通りだ。


…そして、男は望む彼女を手に入れた。

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