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不思議な露天商  作者: 樋口 涼
人の形

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31/91

渡すモノと渡されるモノ

「これを渡してきてくれ!」


向き直った露天商の店主に、男は台の上のモノを指さしながら偉そうに言った。


台の上には温かさを持った「想い」だった。

大きく、重く色々な色が混じった…形容し辛い色の…物体でもあり…物体でもない。


「彼女にこれを」


カロンは手を伸ばし、触れてみた。


「…無理です」

「なんでだ」

「…渡す相手は…生きている者では無いでしょう」


2人のやり取りを横で聞く和麻が、ぴくっと反応した。


「彼女は生きている!」

「いいえ、あなたが渡したい相手は…生きていませんから…」

「彼女は生きている!!」


カロンは聞く耳を持たない男にため息を付いた。


「あの…、死んだ者には届けられないのですか?」


和麻が割り込む無礼を謝りながら、店主に聞く。


「代価を貰えれば渡せます。なので、和麻さん、あなたのそれはお渡しいたします。その話を先程したかったのですが…この方が割り込んで来られたので…中断してしまってすみません」


彼女は生きている!と「想い」を抱え込んだまま、叫ぶ男を横に置いて、店主と老人は台の上と店の横で話し始めた。


「おい!俺の話を聞け!」


横に居る2人が話し始めた事に気が付いた男が、店主の肩を掴んだ。

冷たい視線が店主から…そして周りから向けられたが、男は気が付かない。


「手を御放し下さい」


カロンの言葉に手を離した。


「んっん…。俺は…」

「名前は結構です。あなたは客人ではありません」

「なんだと…」

「生命をそもそも有さない無機物はこちらには来れませんので…」

「彼女は生きている!感情もあるんだ、俺に微笑みかけてくれるし」

「いいえ、あなたの渡したい相手は機械です」


男の顔がみるみる赤くなる。

しかし、男の握りしめた拳が、カロンに向かう事は無かった。


スクッと立ったカロンの方が背が高く、肩幅が広い。

それに男が気付き、怖気付いたのだ。


「あなたが届けたいと思っても、どこにも居ない者にこの『モノ』は渡せません」

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