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不思議な露天商  作者: 樋口 涼
ピンクの象

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17/91

不幸と幸福の背中合わせ

弟は中学生になるとぐんぐんと育ち、圭太の背を追い抜いた。

姿勢の良い弟は背を丸めた圭太と比べると、スタイルが良く見えキリッとした印象で周りからの評価も良かった。


「出来の悪い兄と出来の良い弟」


そう親族や周りに言われ始めた。

弟は自由だ。

圭太はそう考えていた。


「何が違ったのかな…」


同じ兄弟でも育つ順番と、時期が違えば…違う物だ。

弟は勉強も部活も精力的にし、女性からの人気もあった。

なのに、圭太とは違い男の友達も多くいた。


圭太は机の上の本や、服を整理し鞄の中に突っ込む。

人の目に怯え、背中を丸めた自分の姿が鏡に映った。

高校の卒業旅行に、行きたくもないエジプトへ行く準備をしながら、惨めな気持ちを荷物の中に一緒に押し込む。

行き先は何故かくじ引きで決めた。

一緒に行く四人で行きたい所を箱に入れて、引いたのはじゃんけんで勝った奴だ。

圭太は…白紙を入れていたが、それが引かれていたらどうしていただろうか。


「誰だよー」


なんて、ごまかして過ごしていただろう。

誰とも一線を引いた距離感で過ごした三年。

中学の時の友達すら連絡先を知らない。

そんな希薄な関係の為に、圭太は背中を曲げ肩を内側にし、愛想笑いをし続けてた。


「兄ちゃん…気を付けてね…」


遠慮がちに弟が声をかけてくる。

一緒に遊んだ記憶なんてほぼ無かったし、面倒を見た覚えもない弟。


「あぁ」


そっけなく返事をした後、父親の車で空港に送ってもらった。

車内で父親が独りでしゃべっていたが、圭太は流れる窓の外の景色に目を向けたまま、一言も話さなかった。

エジプトの土を踏んで、日本人が珍しいのか好奇心と不審を込めた視線が突き刺さった。

視線の意味を短時間で圭太は理解した。

自分達以外に若い…子供だけで来ている人間が居なかった。

ガイドも居ない。ツアー客と一緒でもない。男四人。

見かねた観光客の一人が「行ってはいけない場所」を地図に書き、渡してくれた。


「男だからと気を抜いて夜に出るな」


そう念を押して去って行った。

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