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不思議な露天商  作者: 樋口 涼
不思議な露天商の並ぶ街

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不思議な街

その街がどこの国にあるのか知る者はいない。

訪れる者はいつもその街の入り口、アーチの前に気が付いたら立っているからだった。


目に映るモノは青と紫の入り混じった空に、どこまでも続くかの様な川。

川は街の真ん中を流れ、挟む様に露天商が立ち並んでいる。

そして、売り物のランプやロウソク達が水を照らし、道を照らす。


ある者はお祭りを思い出し、ある者には異国に見えるだろう。

懐かしい感じと、不思議な感覚がその身を包む街。


露天商には各一人店主がおり、客人が来るのを待っている。

1番アーチに近い右側に、川を進む為の船が着けられていた。

船頭は黒い布を被り、顔は見えない。


足元の道はタイル張りになっており、そこから流れている川の始まりが何処から来て居るのか、見ようと振り返ってもアーチの外に続いていて見る事は叶わない。


立ち並ぶ露天商には目が眩む程の珍しい物が沢山並んでいるが、その中に一際気が向く店があった。

置いている物は他の店と大差無い様に見えるその店は、カロンと言う名の店主が立って居た。


「あぁ…今度は何ですか」


店先にきた客人をちらりと見て、不本意な声色で、やや呆れたように声をかける。

カロンは自分の店の物が買われる事が無く、またただの「橋渡し」を頼まれる事を知っていた。


コトッという音と共に、店の台に置かれた物を、ため息をつきながら手に取り眺める。

いつも物を眺めるとその先に「渡す相手」が視える。


「…渡しておきますよ…」


カロンの返事を受けると、店先の客人は川を渡る船に乗り、船頭の導きで川を流れて行く。

船頭に手を振る周りの露店の店主達と街は気楽に賑わったまま、カロンだけがいつも気が重い。

いつか、誰かが自分の店の物を買ってくれる事を祈りながら、今日も又、預かりモノを磨くのだった。

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