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クロ先生こと黒井チェルさんも、実は召喚者。
戦争していた頃のエルサニア王国で、
即戦力とするための勇者候補として召喚されたけど、
武力行使方面では固有スキルがイマイチだからと、
早めに見切りをつけられ放逐されたそうです。
でもそこからが、俺のような残念系召喚者とはひと味違う人生。
あちらの世界の医療知識とこちらの薬学・魔術を融合させた独自理論を、
知識系チートな固有スキルで活用するという合わせ技で、
これまでに無かったようなイカれた医薬品を生み出せるようになったのです。
闇医者稼業という立場上、放浪の旅をしながら目立たぬよう医療活動に従事。
そんな旅路の途中、ひょんなことから特使勇者モノカさんと出会い、
まるで生き別れだった仲良し姉妹のごとく意気投合。
それからは、チームモノカ主治医として大活躍な才媛乙女。
ご本人は、漆黒の白衣もお似合いなインテリ系スレンダーお姉さま、なのです。
何と言いますか、俺の厄介な人見知り結界を余裕でスルー出来ちゃうほどの、
清々しいまでのスレンダーっぷり。
「何だかスレンダーのところだけ妙に強調されている気がするね」
「まあそれはそれとして、快気祝いってことで景気付けに一本どうだい」
ちょっと、クロ先生。
それってさっきの"抗欲薬"でしょ。
「どうやらウェイトさんは、スレンダー乙女じゃ物足りないほどのお盛ん紳士みたいだからね」
「ノルシェくんとのこれからの健やかな冒険者生活のためにも、欲望のコントロールは絶対に必要だよ」
いえいえ、お気遣いなく。
俺にとって重要なのはスレンダーとかグラマラスとかでは無く、
存分にモフれるかどうか、ですから。
っていうか、一軒家テントでの隔離生活はマジご勘弁、
怪しげな薬はもうごめん被ります。
「ノルシェくんも因果な殿方と縁が出来たようだね」
「まあ、気が向いたらいつでも私のラボへ遊びに来てくれたまえ」
「実はモノカのお仲間には、素直にモフらせてくれる素敵なケモっ娘さんも多いんだよ」
ほほう、モフり放題……
この後、何故かお怒り気味のリルシェさんから、
メチャクチャ鍛錬されました……