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あー、朝日が眩しいですね。
夜番当番を賭けた勝負は、お互いの能力差を考慮したものとなりました。
つまりは武闘派な肉体言語による闘いでは無く、
平和的なテーブルゲームによる真っ向勝負。
何故かテント内に常備されていたサイコロやらカードやらボードゲームやらで、
お互いのプライドも懸けた、手加減も忖度も一切無しのマジな真剣勝負。
そして結局、勝敗のつかぬまま幾度も繰り返されての、
徹夜、そして、朝。
えーと、本当のところ勝敗は誰の目にも明らかだったのですが、
あの生真面目な乙女騎士さまが、頑として敗北を認めなかったのですよ……
うん、後で忠告しなくちゃね、真剣に。
リルシェさんは絶対に賭け事には向いていないから、
取り返しのつかない事態に巻き込まれないためにも、
ギャンブル関連からは一切手を引くべきですよって。
「次の機会があれば、アランさんオススメの"野球拳"とやらで勝負ですよっ」
「男性召喚者なら絶対に断らない勝負ごとだとアランさんが力説していましたっ」
「すっごくエキサイトする勝負ごとだそうですし、ぜひ教えてくださいっ、ウェイトさん!」
この後、かなり強引に聞き出されました、
野球拳について、詳しく。
リルシェさん、超赤面。
あー、このように召喚者呼び過ぎ問題の波紋は、
確実にこの異世界を蝕んでいるのです。
ホント勘弁してくださいよぅ、アランさん……
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少々寝不足気味ながら朝の身支度は完了。
ふたり揃ってテントを出たら、一緒に朝の空気を深呼吸。
さて、野営撤収作業をさくっと済ませたら、
いよいよニルシェ王都へ出発ですよ。
「ちょっと待った!」