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 ……大丈夫ですか、リルシェさん、


 そんなのを完食しちゃうなんて。


 いかに旅の相棒とはいえ、そこまで気を遣ってくれなくても……



「我がラルシエ家におけるお料理の評価法は、大別すると2種類」

「美味しいか美味しくないか、と、好きか嫌いか、です」

「流石は召喚者ウェイトさん、これまでに食べたことのない不思議なお味のお料理でしたよ」

「私は、このお料理、大好きですっ」



 ……ありがとうございます、リルシェさん。



 俺、ちょっと泣きそう。


 きっと麺類の神様も、リルシェさんの優しさに、


 草葉の陰で号泣していることでしょう。




 ---




 それはそうと、調べ物の方はどうでした。



「問題は、魔導具の不調なのです」

「私たちのチームは不意の強敵の襲来に備えて、"緊急救援要請システム"という他のチームへの増援要請が可能な魔導具を、全員が所持しております」

「もちろん先ほどの襲撃の際も起動したのですが、緊急通信はモノカたちには届かなかったようで……」



 ふむ、もしかして通信を魔族領の大結界に阻まれた、とか?



「その可能性もありましたが、まずは魔導具の方をチェックしてみようと」

「この『Gふなずし』には、これまでの全ての操作状況を確認出来る"ログチェッカー"や、故障の有無を確認出来る自己診断機能が搭載されております」

「それによると、正確とは言い難い異常なログデータや、他の魔導具とのリンクが途切れるような動作不良の痕跡が、残念ながら複数見受けられました」

「しかも、本来なら警告されるべきそれらの重篤な不具合を、自己診断機能が認識出来ていないようなのです」



 えーとつまり、現在『Gふなずし』本体にヤバい不具合が……



「あの数の襲撃者を探査モードで感知出来なかったというのは、不具合では済まされないのです」

「実はこれまでも、探査モードの警戒網をすり抜けてくるような難敵が若干名おりました」

「ただ、転送魔法での強襲でもないのに数十名もの敵性存在の接近を許したのは今回が初めてなのです」

「連中を引き渡す際に、怪しい魔導具を持っていないかをしっかりチェックしたのですが、結局その手の阻害系魔導具は発見出来ず、もちろん個人の魔法やスキルの類いでもなかったようですし……」



 もし『Gふなずし』の周辺警戒システムが信用出来ないとなれば、


 まさに今みたいな野営中にも強襲される恐れあり、と。



「残念ながら私では魔導具の修理はもちろん、整備・調整すら満足には出来ません」

「それで先ほどアリシエラさんへの連絡を試みたのですが、今回は問題無く通信が繋がったおかげで不具合の件を報告することが出来ました」

「これからこちらに全速力で向かうとのことでしたが、何せ魔族領内ですし、到着まで数日かかるかと」



 エルサニア王国から魔族領内ニルシェ王国への直接転送は、


 流石のアリシエラさんでも無理でしたか。



「いえ、過去には何度か、魔導装置での魔族領内転送を成功させた実例があるのです」

「ただ今回の不具合の件で懸念されているのは、複雑な魔導回路を使用している魔導具が、魔族領内特有の原因で何らかの悪影響を受けている可能性」

「それゆえ転送事故の危険を避けるため、転送以外での最速の移動方法でこちらを目指す、とのことです」



 ふむ、魔導装置に頼らない最速移動方法……きっと優秀な早馬なのでしょうね。


 それでは俺たちは、これからニルシェ王都へと向かい、そこで安全な宿を確保、


 アリシエラさんが到着するまでの数日間を警戒しながら待機、ですね。



「今日はもう遅いですし王都行きは明日にして、私が夜番で警戒態勢しますねっ」



 いえいえ、あんなことがあったばかりでお疲れでしょうし、


 今日は俺が夜更かし警戒モードしますから。



 何かあったら、セクハラにならないような感じで起こしますので、


 リルシェさんは安心しておやすみモードしてくださいな。



「むう、つまりは夜番の座を賭けての勝負ってことですよねっ」

「先輩冒険者として、チームモノカ乙女騎士筆頭として、絶対に負けられない闘いなのです!」



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