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ただ今、野営中。
場所は、例の襲撃現場とニルシェ王都の中間地点くらい。
街道から少し離れた場所に、目立たぬよう一軒家テントを設営。
いつものように、魔物避け結界と敵性存在接近警報で備えは万全。
リルシェさんからの休憩宣言での野営ですが、
ようやく落ち着いた一軒家テント内の居間で、
さっき話しかけられたとおり、お話しを聞くことに。
もしかして、勝手に『道連れ』を使って危ない目に遭わせてしまったこと、
怒っているのかも……
「いえ、違いますよっ」
「実はニルシェ王都到着前に、急ぎ調べたいことがあったのです」
「詳しくは後ほど説明しますので、ウェイトさんはあの乱戦での疲れを癒してくださいねっ」
リルシェさん、いそいそと自室へ。
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何だか、ほっとしたような、申し訳ないような……
だってさ、事前の相談全く無しで危険なスキルをアドリブしたのは、
いかに結果オーライとはいえパートナーとして問題あり過ぎ。
……もっとちゃんと話し合うべきだよね、いろんなこと。
ふたりっきりの旅の相棒だもん。
リルシェさんの調べ物が済んだら、
これからのことも含めていろいろお話ししたり、
いや、まずはこれまで苦労をかけてきたあれこれを労ったり……
ふむ、そろそろ夕食どきですし、
お詫びやら感謝やら、いろんな気持ちも込めまして、
お疲れさま会ちっくなお食事会でも。
つまり、お忙しいリルシェさんのお手を煩わせぬよう、
今日は俺が夕食作りを頑張っちゃうぞ、ってこと。
実はこう見えて、美味しいものには一過言あるのです。
カップ麺の、湯温と待ち時間の相互関係における仕上がり具合の妙とか。
バーガーチェーン店、各店それぞれの、
メインとサイドメニューとドリンクとスイーツの各種組み合わせの妙とか。
……駄目じゃん、俺。
そういえばこのふたり旅、食事に関しても全てリルシェさんにお任せだったよ。
ゼハリアまでのひとり旅では、アネス干しとかの保存食ばっかだったし。
……なんすかね、俺。
駄目亭主感、丸出しじゃね。
って、嫁さん呼ばわりはリルシェさんに失礼千万過ぎるってば。
そもそも、仮とはいえ旅の相棒なら、
なんもかんも任せっぱなしじゃいかんでしょ。
そう、ここは一発、一念発起。
こういう時こそ頑張れ、俺。
って、あれ?
食材って……どこだろ。




