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ようやくここまで来ましたよ。
目的地ニルシェ王都まであと少し。
多様な魔族さんたちが暮らしている大都市、
楽しみで、ちょっとだけ足取りも軽くなったり。
「いけませんよ、ウェイトさん」
「こういう時こそ油断大敵」
「うわついた旅人が油断している姿、悪党たちは見逃してはくれませんよっ」
ごもっともです。
「いいこと言うねぇ、そこのお嬢ちゃん」
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突如現れた大集団は、明らかにヒャッハー方面な方々ばかり。
ってか、どっからどう見ても皆さん、悪党丸出し。
特に、声を掛けてきたリーダーっぽい大男は、
ハリウッドで助演男優賞ノミネート間違い無しってな感じの強烈な悪役オーラ。
いや、人を見た目で判断しちゃいかんよ、ってことくらい、
この異世界に来てからの実地体験的なアレコレでとっくに履修済みなのですが、
やる気まんまんな強面たちが武器を構えて取り囲んできてるんですから、
素直に悪党呼ばわりしてあげるのが通すべき筋ってもんでしょ。
「そっちの兄ちゃんは、危機感ってヤツがイマイチ足らんみたいだな」
いえいえ、お気遣いなく。
流石にこの人数に取り囲まれたら、
リルシェさん頼りってわけにはいかないのは重々承知してますから。
「いいんだぜ、これだけの戦力差なら勝ち負けはもう分かってんだろうから、ふたりして思う存分足掻きな」
「俺たちも、本気で意趣返しさせてもらうぜ」
ほう、意趣返しってことは復讐案件ですか。
「……喋り過ぎたか」
「まあいい、そろそろ死んでくれ」
ひのふのみの……30人以上いるね。
この絶体絶命な状況での俺の役目は、
リルシェさんの負担を減らすため、ひとりでも多く道連れにすること、だよな。
自前の『収納』に入れていた斬れ過ぎ片手剣を取り出したら、
不殺なんて考えず、自滅覚悟で一心不乱にブン回すのみ!
おっと、自滅覚悟の『道連れ』……




