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今日もてくてく、ふたり旅なぶらり旅。
道中での俺の立ち回りは相変わらず素人に毛が生えたようなもんですが、
我ながら、スキンヘッドが五厘刈りになった程度の進捗はあるかと。
世直し旅の荒事の方は、まあ、それなりに。
実は今まで荒事の際は、ショボい木刀片手に右往左往していたのですが、
「基礎体力も良い感じに付いてきたことですし、そろそろ本格的な武器を解禁しましょうっ」
というリルシェさんのお墨付きをいただきまして、
それで現在、いろんな武器を片っ端から試している次第。
まずは基本の近接武器。
短剣・長剣・両手剣、槍や大鎌、片手斧やらモーニングスターやら。
はたして、俺に合う武器とは……
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「刃物は……まだ早かったのでしょうか」
……ですね。
たぶん、いや、間違い無く、
刃物をぶん回すほどに自傷自滅コースまっしぐら。
ってか、リルシェさんが『収納』倉庫に入れている刃物系武器って、
どれもこれもハンパ無い切れ味なんですが、
シロウトは絶対触っちゃ駄目でしょ、これ。
「実はこれって全て、ウェイトさんへのプレゼントだったのですが……」
「いつもお世話になっている魔導具技師 兼 凄腕鍛治師さんが、ウェイトさんのためにと精魂込めて鍛え上げた自信作ばかり、とのことでしたが、どうやら頑張り過ぎていろいろと込め過ぎちゃったみたいですね」
あー、もしかして、
リルシェさん愛用の素敵な変装魔導具をこしらえた天才魔導具技師さんですか。
鍛治師としても凄腕だったのですね。
「アリシエラさんは本当に多芸多才な才媛乙女なのですよっ」
「魔導具・鍛治・建築・裁縫、どの方面でも超一流」
「本職だったメイドのお仕事から裏稼業の怪盗まで、何でもござれな素敵なネコミミメイドさんなのですっ」
ほう、ネコミミメイドさん、ですか。
「そういえば、アリシエラさんが言ってました」
「今回作製した武器の中で一番しっくりくるモノが決まったら、ぜひ呼んでくださいって」
「魔導具も武具もしっかりジャストフィットさせたいなら、使用者本人としっとり交流して、人となりをばっちり見極め、その人の人生にがっつり寄り添えるように、きっちり調整すべきでありますっ、と」
うほっ、素敵なネコミミメイドさんとしっとり交流……
「お触り禁止っ、ですよっ」
我慢も鍛錬のうち、頑張れ、俺……




