9話
ダンジョンを出て魔石の換金へと向かう。
夕方のピークタイムを外しはしたが、まだ人が多く初心者と思われるグループが幾つもあった。
俺と竜也は換金へ向かい、雫達には飲み物を買いに行ってもらった。
換金から戻ると2人の周りに、数人の男達が群がっていた。
とびきりの美少女2人に、お遊び気分で来ている若い男たち、事件は起こるべくして起こるのです。
「ねぇ、ご飯でも一緒にどう?」
「この後、遊びに行かない?」
「オレ、Eランクなんだけど一緒にどう」
雫は無言で壁に寄りかかり、目を閉じて立っている。朱音はオロオロしながら雫にしがみついていた。
さて、さっさと散らすかと思いながらを近づく。
「悪い遅くなった」
「なんだお前、俺たちは取り込み中なんだけど」
「見て分かんないわけ?」
「空気読めよ!」
男待ちと見て素直に引くかと思ったが、突っかかってくる。
加護を得て力を手に入れて調子に乗るってのは誰しもあるが、それで他人に迷惑をかけるのは頂けない。
俺はイラつきながら言った。
「はぁ、空気読めないのはどっちだよ。こっちは待ち合わせ、そっちは他人が話しかけて来ただけ。
空気読むなら、どちらが引くべきか分かるだろ?」
「テメェ、うっせえんだよ」
突然、魔力が飛んでくるが体に届く前に抵抗し霧散させる。
仕掛けてきた男に、一瞬で近づき左手で首を掴む。
「探索者にスキルを使うって事は、敵対行動って知ってるよな?殺されても仕方ないって分かってるか?」
「あがっ、うぐぅ…… 」
周囲を威圧しながら周りの男達を見る。
「国際探索者協会法 7条 探索者は探索者へのスキル使用は緊急時、又は同意がある場合以外は禁じる。使用者は法の保護を一切受けられない。
分かる? 俺がお前を殺しても問題にならない、それだけの事をしたのを。ライセンス講習で教わらなかった?」
ちょっとイカれた法律だが訳がある、探索者は自分のスキルを秘匿する者が多い。スキル構成がバレれば対策をされたり、迫害されたりする事もし。スキルによっては呪殺や毒殺などの遠隔殺人も出来たりするので、スキルを了承なしで使用するのは敵対行為と見なされる。
「冬夜君、そんゴミ殺しても面倒なだけだよ」
「それもそうか、よかったなゴミで」
男を放すと、男は直ぐに逃げていった。それを見た周りの男達も逃げ出していった。
「すまない、遅くなったせいで」
「い〜よ、よくある事だし」
「冬夜、マジでやるヤル気だったのか?」
「ハハハ、まさか。殺す気なら掴まずに刎ねるよ」
誤魔化しながら、今日の稼ぎを4等分し分ける。200円のGランク魔石50個で10000円、1人2500円少ないが学生なので小遣いになるかな。
「そうそう、クラン加入の書類渡すから記入して明日持って来てくれ。朱音はクランどうする?」
「アタシもいいの?」
「私達で鍛えるから、大丈夫だよ〜」
「よ、よろしくお願いします」
明日からの予定などを話しながら帰った。
翌日、昼休みになり食堂へ向かう途中、小夜と智樹君が話しかけて来た。
「お兄ちゃん、聞きたい事がある時間ある?」
「小夜ちゃんのお兄さんですよね、僕は剣崎智樹と言います。僕からもお願いします、時間を作って貰えませんか」
「みんな、すまない今日はキャンセルで。放課後に家においで、場所は分かる?」
「分かる、駅前のマンション…… 」
「待ってる」
自宅で小夜たちと向かい合う。
「さて、今日はどうしたんだい?」
小夜は、どう話そうか考えている様だ。雫がコーヒーを4つ並べてから横に座る。コーヒーを一口飲み話し始めるのを待つ。
「お父さんとお兄ちゃんは、どうして私達を捨てたの…… ?」
小夜の言葉に愕然とした。あの女、小夜に何も話してないのか。俺は怒りをぐっと抑え答える。
「今の言葉で大体分かった。
まず、父さんも俺も小夜を捨てたりしていない」
「じゃあ、どうして!!」
「離婚の原因は聞いてるかい?」
小夜は首を横に振る。
「あの女の浮気が原因で、それだけなら小夜を手放したりしなかっただろう。
小夜、お前は浮気相手の子供だ、父さんは親権を取れなかった」
「そんなっ」
「小夜、1つ聞きたい。雅也と何もないよな?」
「?…… たまに、イヤらしい目で見てくるくらい」
「何かされそうになったら、俺に言え。
もう1つ、お前の本当の父親は、雅也と智樹君の父親だ」
「うそっ!」
「本当のことよ、私は冬夜君に頼まれたのと、将来の妹の為に側にいたのよ」
「智樹君、君は何か聞きたい事はあるかな」
「僕の母さんが死んだ原因は、父さんなんですか?」
「君の母親が事故死ってのは知っているが、詳しくは知らない。君は小夜に良くしてくれてるのは聞いていた、ありがとう、これからも小夜を頼む」
「困った事があったら、なんでも言ってね。私達が力になるから」
しばらくして、2人は帰って行った。また昔の様になれるといいなと思った。