6話
精霊洞ダンジョン 1層
ファイアエレメンタル、炎が人や動物などを型取っているモンスター。実態が無いので物理攻撃は効果がなく、魔力を用いた攻撃でしか倒せない。
普通の探索者から人気のないモンスターだが、俺や雫の様な魔核タイプには、とても美味しい。
魔核タイプは人やモンスターが死んだ時に拡散する魔力を
吸収し自身を強化する。
そしてエレメンタルは魔力の塊、俺たちにとって強化用モンスターである。ついでに魔石もCランクなのでお高いのである。
雫は周囲に10本の氷の槍を浮かべ一斉発射し、ファイアエレメンタル5体を同時に撃破。
こちらを振り向きガッツポーズを決めていた。
「どうだった?前より良くなったでしょ」
「そうだね、発動までが速くなってたよ。次は俺の番だ」
暫く進むとファイアエレメンタルが3体いたので戦闘態勢を取る。右手に青白い炎で剣を作り、近づき一閃し敵が消滅した。
「今日は帰ろうか」
「はーい、魔石はどうする?」
「面倒だから協会で換金しようか」
ダンジョンを出て協会の売買カウンターへ向かい換金を済ませ帰路につく。今日は4月18日、夜になるとまだ肌寒い
左腕に暖かさを感じつつ歩く。
「冬夜君はこれからどうしたいの?」
「Sランクダンジョンの攻略が最終目標、当面はBランクの攻略が目的かな」
「パーティはどうするの?2人だと厳しいね、私としては嬉しいけど」
「それもあるけど、日本で募集しても年上ばかりだしな」
「じゃあクラン作らない?それで学院でスカウトして育成、冬夜君の理想のパーティを作るの。面白そうじゃない?」
頭の中に思い描く、自分のクラン自分の為のパーティ、いいな。
問題もあるここは日本で加護が推奨され、魔核が下に見られている事だ。魔核持ちが最低でも2人は欲しい。
クランの話を聞き、心が湧き立つ。
雫を抱きしめてキスをした。
「ありがとう雫、最高の嫁だ」
「明日から忙しくなるぞ、その前に。
雫、俺の立ち上げるクランに入ってくれるかい?」
「よろこんで」
寄り添いながら俺たちは家路についた。
次の日、一緒に教室に入る。クラスメイトに挨拶をしながら席に着く、竜也が真剣な顔で話しかけて来た。
「冬夜ってWB(国際Bランクの略)だよな、頼むオレを強くしてくれないか。どうしても上級ポーションが必要なんだ、上級なら欠損部位を再生出来るんだろ?」
それを聞き考える、探索者としてランクが上がれば入手は
不可能では無い。だが俺の欲しい人材は頂点を目指す者だ、
どうすべきか悩む。
「上級ポーションが欲しい程度の人は冬夜君には必要ないかな、私達はもっと上を目指すの。それにね指導するにしても無料ってわけじゃ無いのよ?竜也君は私達に何を出せるの?」
雫が厳しい言葉を投げ掛ける、竜也はグッと噛み締め何かを考えている。
雫と目が合う何か考えがある様だ。おもむろにカバンの中からポーションを一つ取り出す。
「これが上級ポーション、市場価格で約1000万円。Cランクまで上がれば入手可能。
知ってる?Cランクの年収が約1000万、卒業生の殆どがCランク、10年頑張れば手に入れるチャンスはあるわ」
そこで言葉を切ると、ニッコリと微笑み更に続ける。
「アナタの10年を私達に頂戴、それでコレをあげるわ。
あと加護を捨ててもらうわ。
アナタを10年でAランクにして見せるわ」
雫は竜也を魔核持ちにしてクランメンバーにするつもりだ。確かに魔核持ちは欲しいけどウチの嫁さんは、いないなら作ればいいと考えている様だ。
ポーションを仕舞いながら、答えは明日でいいと言い会話を終える。
竜也は険しい顔で考えている様だった。隣で聞いてた朱音も考え事をしている。雫はドヤ顔でこちらを見ていたので、頭を撫でておいた。
何事も無く午前が終わり昼休みになった。
「俺たちは食堂に行くけど、2人はどうする?」
「オレもいくよ」
「アタシも〜」
今日も4人一緒に食堂へ、テーブルに着き食べ始めると竜也が真剣な顔で言い出した。
「朝の件だけど、お願いします。
オレの10年でポーションをください、加護が無くなっても構わない、それにAランクになれるんだろ?」
「竜也いいの?加護無しになるのよ!」
朱音が口を挟む。
「俺たちを信じられるか?」
「信じる、ポーションもあるし、その年でWBだしな」
「ねぇ、アタシでも加護捨てたらAランクになれるかな?」
「朱音ちゃんも、こちら側にくる?」
笑顔で答える、ウチの嫁さん小悪魔的でカワイイ。
「俺たちはクランを立ち上げる、俺の夢の為に。
その一員になってくれるか?」
「オレで良ければ」
「アタシは…… 」
「朱音ちゃん、よく考えてね」
「ポーションはどうする?帰りに渡そうか?」
「すまない家まで一緒に来てくれないか、物が物だけに怖くて持ち歩けない」
「分かった、その後に協会に行って手続きをしてくる。
朱音は良く考えて返事をくれ」
そう言って昼休みは終わった。