20話
司達を仲間にしてから1月が経った。
魔核の4人は2つ目の魔核を発現させ、朱音は18までレベルアップしていた。
放課後にうちの教室に集まってからダンジョンに移動が常になっており皆が集まるのを待っていた。
「霧崎はいるかー」
真希先生が教室を覗き込みながら呼んでいた。
「いますよー」
「おっ、今時間あるか?」
「これからダンジョンなんで、手短にお願いします」
「ちょっと困った事になっててな」
真希先生は困った顔をしながら話し出した。
「お前らはインターン制度でクランの育成枠でEランクまでのダンジョンに入れるだろ、それが不公平だと生徒の一部から上がってきてな、しばらく自粛をしてもらえるか?」
「俺たちだけですか?3年もインターンしてる人いましたよね、その人達はどうなりますか?」
「それを言われると痛いんだよな」
真希先生は苦い顔で答えた、制度としてあるものを利用しているだけなので法律的にも問題はない。
不公平と言う生徒の気持ちは理解できるが、自分の努力不足を棚に上げて言う事じゃない。自分の売り込みが足りないのではと思う。
「学院の方針はどうなってますか、インターンは3年だけになりそうですか?」
「まだ揉めているが3年だけになりそうだ」
うーむ、どうすべきか。ここで育成を止めるのはしたく無い。ばあちゃんのプライベートダンジョンに週末だけ通うか、いっそのこと夏休みに国際Cランクを取りに海外遠征するかな。
「霧崎、何考えてる?」
「いや伝手があるのでプライベートダンジョンに通うか、海外遠征して国際ライセンスを取りに行くかですね」
真希先生は片手で顔を覆い唸る。俺は構わず言葉を続ける。
「正規の手順で育成をしているのにそれを阻むなら、正規じゃない方法で育成します。それこそ公平性を欠く事になっても。
それに高ランクの探索者の多数は幼い時から訓練してますよ。それこそ海外やプライベートダンジョンを使って」
真希先生は言い返す事ができず肩を落としていた。先生をいじめたい訳じゃないので、しばらくは魔法や技術の練習に励むと伝えて別れた。
カフェ『迷い道』に全員を集め、今後について話を始めた。2年生のインターンは凍結ではないが自粛して欲しいそうだと、みなに告げた。
今更Gランクダンジョンに入るメリットは無いので、しばらくは魔法と技術の練習に費やす。
週末はばあちゃんのダンジョンに行くか休みにする。問題は夏季休暇をどうするかだ
「案としては、1つ海外遠征して国際ライセンスの取得を目指す。この案だと後々ダンジョンに入り放題だけど、とても忙しくなる。
2つ、ばあちゃんのダンジョンで育成、こっちは時間にゆとりがあるから遊ぶことも出来るが、今後のダンジョンに入れるか未定。
どっちが良い」
「オレは海外遠征がいいけど金がなぁ」
「遠征資金はクランで負担するから気にしなくていい。あと涼子ちゃんにも声かけておいて」
「マジか、だったら海外で」
「アタシも海外で」
「司達はどっちがいい?」
「「海外で」」
「だ、そうです」
「雫と紫苑で旅のしおり作っておいて」
「はーい」
「まあ、私達はいつも海外だったしね」
こうして夏季休暇は海外遠征が決まった。