1話
世界中にダンジョンが現れて100年、魔法と科学が融合
し発展してきた。
ダンジョンの魔物から手に入る魔石が新しいエネルギー資
源となり、ダンジョンから持ち帰る者達を探索者と呼んだ。
カーテンの隙間から朝日が差し込み目が覚めた、寝ぼけ眼
で時計を確認した。AM6:00 そろそろ起きる時間だ。
俺はベッドから起き出し、着替えながらまだ眠る彼女に声
をかける。
「雫、起きろ〜、朝だぞ〜」
彼女は身をよじりながら返事を返して来た。
「うみゅ、起きる〜」
俺は返事を聞きながら部屋を出てキッチンへ向かう。
キッチンに着くと手早く朝食の準備をしていく、今日は軽
めにトーストとハムエッグだ。ハムエッグを2つテーブルに
並べ、トースターでパンを焼きつつコーヒーをドリップして
いると、かのじょがキッチンへやって来た。
「冬夜君、おはよう」
挨拶をしながら抱きついて来たので、片腕でそっと抱き返
し軽くキスをする。
彼女は満足げに微笑んで席に着く。
「ごめんね、準備させちゃって」
「いいよ、このくらい今まで一人でやってたし。それより早
く食べて学校にいこう」
「うん、やっと一緒に学校に行けるしね」
俺、霧崎冬夜は彼女である九条雫の通う国立探索者養成学
院へ編入する。
11歳の時、父と母が離婚し父に連れられ家を出た、母と
妹は家に残った。父は俺を連れ世界中のダンジョンを巡り、
5年が経った。
去年の年末に父はダンジョンで手傷を負い、ダンジョンを
出た所で力尽きた。父はもしもの時のために遺言書を遺して
おり、それを元に父の実家を頼って日本へ帰って来た。
父の実家に行くと祖母に引き取られ、高校に行く様に言わ
れ学院に通う事を決めた。
マンションを出て、二人で学院へ向かう。
「こうやって一緒に学校に行くなんて小学校以来だよね、あ
の頃は妹さんの小夜ちゃんも一緒だったけど」
「そうだね、これから一緒に通えるさ」
学院が近づくにつれ同じ制服を着た生徒が増え、視線が集
まって来る。確かに雫はすごい美少女だけど、これは集まり
過ぎではなかろうか、疑問に思い小声で雫に聞いてみた。
「雫、なんでこんなに注目されてるの?怖いんだけど」
「多分、私が笑顔で男の子と一緒に歩いている事と、冬夜君
が物凄くカッコいいからかなぁ」
「えっ、雫の笑顔ってレアなの?俺ってカッコいいの?」
雫は胸を押し付ける様にしながら腕を組んで来た、それを
見た女の子達からキャーと歓声が上がり、男子からは恨みの
籠った視線を向けられた。
校門の前まで来ると雫に声がかかった。
「し、雫っ、誰だその男は!」
雫は表情を消し振り向き挨拶をする。
「ご機嫌よう、雅也さん、智樹くん、小夜ちゃん」
そこに居たのは、こちらを睨む爽やか系イケメン、子犬の
様な少年、そして大きくなった妹の小夜だった。
「何故あなたが、ここに居るんですか。私達を捨てて出て行
った癖に!」
小夜は目に涙を浮かべながら睨んできた。
イケメンが小夜を庇う様に前に出、俺に言ってきた。
「お前誰だよ、小夜と雫に何をした!!」
「雫、コイツ誰?」
はぁっと、ため息をついてから雫は怠そうに答えた。
「家のお隣さんで、小夜ちゃんの今のお兄さん」
雫から聞いていたので、色々理解できた。
母は離婚して、すぐに再婚をしていた。コイツは再婚相手
の連れ子の様だ。
そして俺の代わりに小夜を気にかけて近くに居てくれてい
た雫に懸想し、自分に気があると勘違いしていると。雫は嫌
そうに言っていた。
俺は面倒くさくなり、雫を抱き寄せ先に行く事を決めた。
「あぁん、小夜ちゃんはいいの?」
「小夜、今度ゆっくり話そう」
そう言うと俺は雫と校舎へと向かった、後ろイケメンが何
か言っていたが無視を決め込んだ。
職員室の前で雫と別れ、俺は中に入り担任の下田真希先生
に挨拶をする。
「今日よりお世話になる霧崎冬夜です。よろしくお願いしま
す」
「ああ、話は聞いている。その歳で既にB級のライセンス持
ち学科も優秀と。お前さん学院に通う意味ある?」
「教師がそれ言います? まあ祖母と婚約者の希望なので」
「婚約者だとぉ!私には恋人もいないのにぃ!」
真希先生って美人なのに、ちょっと残念かも。
そう思いながら、先生の後に続き教室へ向かった。